更新日: 2024.11.03 その他税金

収入印紙のもらい忘れは「脱税」?8万円のベッドを購入したのですが、領収書に印紙が貼られていませんでした…問題ないでしょうか?

収入印紙のもらい忘れは「脱税」?8万円のベッドを購入したのですが、領収書に印紙が貼られていませんでした…問題ないでしょうか?
一部の契約書や領収書などに発生する「印紙税」。その印紙税を納めるためには、対象の文書に「収入印紙」を貼り付けなければなりません。
 
しかし、店員から受け取った領収書に収入印紙が貼られていなかった場合、もらい忘れを放置すると、「脱税」として扱われる可能性はあるのでしょうか。
 
そこで今回は、収入印紙をもらい忘れた場合のペナルティーなどについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

印紙税と収入印紙とは

ペナルティーを解説する前に、印紙税と収入印紙がどのようなものかを確認します。
 
印紙税は、経済活動で生じる文書の一部に課せられる税金です。受取金額が5万円以上の領収書は、印紙税法上の「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当し、文書作成者に200円以上の納税義務が生じます。
 
そして、印紙税を納める際に必要なものが「収入印紙」です。印紙税に相当する金額の収入印紙を文書に貼り付け、消印をすることで、印紙税の納付が認められます。
 
なお、国税庁によると、「納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税を徴収されることになり、また、貼り付けた印紙を所定の方法によって消さなかった場合には、消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収されることになっています」と記されています。
 
収入印紙の貼り付けと消印をどちらか一つでも怠ると過怠税の対象となってしまうため注意が必要です。
 

領収書に収入印紙を貼らなくていい3つのケース

通常、課税文書には収入印紙を貼らなければなりませんが、例外も存在します。表題の「8万円のベッドの領収書」であれば、以下の3つのケースのいずれかに該当している場合に、収入印紙の貼り付け義務が免除されます。
 

領収書にクレジットカード決済が明記されているケース

クレジットカードによる決済が明記されている領収書は、印紙税の対象外です。したがって、収入印紙も必要ありません。これは、クレジット販売が「金銭又は有価証券による取引」ではなく、信用取引と見なされるためです。
 
ただし、クレジット販売による領収書として認められるものは、クレジットカード決済の旨が領収書に記載されているものに限られます。記載されていない場合は、「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」として扱われ、印紙税の対象となります。
 

書式表示による納付の特例制度を利用するケース

特定の要件を満たせば印紙税を金銭で事後納付できる、特例制度があります。特定の要件を、国税庁「書式表示による納付の特例」を基にご紹介します。


(1)文書の種類は次のいずれかであること

・毎月継続して作成されることになっている課税文書
・特定の日に多量に作成されることになっている課税文書

(2)文書の様式又は形式が同一であること
(3)その作成の事実が後日においても明らかにされること

また、この制度を適用した課税文書には税務署長の承認を受ける必要があり、「印紙税申告納付につき税務署承認済」と規定の書式で表示しなければならないようです。
 

収入印紙の貼り忘れは文書作成者の責任

領収書に収入印紙が貼られておらず、また例外のケースにも該当しない場合、受け取り側の脱税に発展する可能性はあるのか調べました。印紙税法二十条では、収入印紙の貼り忘れによるペナルティーを次のように定めています。

・(略)納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。

よって、課税文書を受け取った側に責任はなく、脱税にも該当しないことが想定されます。
 

ペナルティーが減額されるケースもある

収入印紙の貼り忘れのペナルティーは、印紙税額の3倍が原則ですが、例外的に減額が認められる場合があります。
 
それは、文書の作成者が、印紙税の納め忘れを所轄の税務署長に自己申告し、かつ収入印紙の貼り忘れが意図的でないと認められたケースです。この場合、ペナルティーの額は印紙税額の3倍から1.1倍に減額されます。
 

収入印紙のもらい忘れは受け取った側は脱税にならない可能性が高い|収入印紙が不要なケースもある

印紙税は、記載金額が5万円以上の領収書などに課せられる税金です。課税文書に収入印紙を貼り付け、消印をすることで、納税が認められます。
 
収入印紙の貼り忘れは過怠税などのペナルティーがあるようですが、責任が問われる対象は課税文書の作成者です。したがって、収入印紙のない領収書を受け取ることは、購入者の脱税にはあたらないでしょう。
 
一方、課税文書の作成者には、原則として印紙税額の3倍のペナルティーが生じます。ただし、印紙税の納税方法には例外があり、収入印紙を貼らなくていいケースもあります。
 

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)二十条
国税庁 印紙を貼り付けなかった場合の過怠税
国税庁 書式表示による納付の特例
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集