扶養内で働いていたけど、最低賃金の上昇で「106万円の壁」を超え“社会保険”に加入しました。「将来の年金」と「支払う保険料」はどちらが多いのでしょうか?

配信日: 2024.11.13

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扶養内で働いていたけど、最低賃金の上昇で「106万円の壁」を超え“社会保険”に加入しました。「将来の年金」と「支払う保険料」はどちらが多いのでしょうか?
2024年10月から、社会保険の適用対象が拡大され、従業員数51人以上の企業で働くパートやアルバイトの人も新たに社会保険の適用対象となりました。近年の最低賃金の大幅な上昇により、年収の壁を超えて社会保険に加入することを悩んでいる人も増えているのではないでしょうか。
 
本記事ではパートとして働く38歳の女性が社会保険に加入した場合、どれくらい手取りが減少するか? 将来の年金はどの程度増えるのか? について、年収ごとに解説します。
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社会保険の適用拡大とは?

2024年10月から従業員数51人以上の企業などで働くパート・アルバイトの人が次の要件を全て満たすと、社会保険に加入することが義務付けられました。


・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満
・所定内賃金が月額8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生でない

社会保険に加入すると、健康保険料や厚生年金保険料が給与から天引きされます。社会保険の適用拡大に該当する場合、年収の壁は130万円ではなく、106万円となります。
 

社会保険に加入した場合の手取りはいくら?

実際に社会保険に加入した場合、年収106万円(月給8万8000円)、120万円(月給10万円)、150万円(月給12万5000円)、180万円(月給15万円)の人の手取りは図表1(各保険料は従業員折半額)のようになります。
 
図表1


全国健康保険協会 令和6年度保険料額表(令和6年4月納付分から)の東京都の保険料額を参考に筆者作成
※介護保険料は第2号被保険者
 
仮に38歳からそれぞれの年収で社会保険に加入し、その後60歳になるまでの22年間、社会保険に加入し続けた場合の社会保険料総額は次のようになります。


・年収120万円:約385万円
・年収150万円:約495万円
・年収180万円:約588万円

このように22年間で支払った保険料はかなり大きな金額になるのに対し、将来の年金はどの程度増えるのでしょうか?
 

社会保険に加入して老後の年金はどのくらい増える?

38歳で社会保険に加入し、それぞれの年収で60歳までの22年間厚生年金保険料を支払った場合、65歳から受給できる年金額を厚生労働省の公的年金シミュレーターで試算した結果(国民年金<2024年度の満額は約82万円>にそれぞれの年収での厚生年金を加えた金額)は次の通りです。


・年収120万円:95万円/年
・年収150万円:98万円/年
・年収180万円:102万円/年

したがって、65歳から女性の平均寿命である87歳までの22年間における厚生年金の総受給額は次のようになります。


・年収120万円:286万円
・年収150万円:352万円
・年収180万円:440万円

22年間で支払う社会保険料と増額される老後の年金を比較すると、どの年収でも年金増額分よりも社会保険料のほうが約100万円かそれ以上多い試算結果となりました。
 

社会保険に加入するその他のメリット

しかし、社会保険に加入するメリットは老後の年金が増えるだけではありません。
 
自身が病気やけがなどで一定の障害が残った場合は障害厚生年金を、死亡した場合は遺族が遺族厚生年金を受給できるようになりますし、疾病や負傷により働けない場合でも傷病手当金を受給できるようになります。
 

まとめ

社会保険に加入すると毎月の保険料で手取りが減少し、将来の年金額も保険料以上の給付にはなりません。しかし、最低賃金の上昇により収入は上がりやすく、結果的に、配偶者の扶養に入っていたときよりも将来の年金と毎月の手取りを増やすこともできます。
 
また社会保険への加入により、遺族厚生年金や障害厚生年金、傷病手当金など死亡・障害・疾病や負傷によって働けなくなるリスクに対する保障は手厚くなりますので、民間の生命保険などの内容を見直して、支出を抑えることを検討してみてはいかがでしょうか?
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
厚生労働省 公的年金シミュレーター
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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