息子にすすめられ「ふるさと納税」で4万円寄付してみました。本当に「年金受給者」の私でもお得になるのでしょうか…?
配信日: 2025.02.24

ただし、ふるさと納税には制度をお得に活用するための「上限額」があります。上限額を超えて行った金額は単純な寄附となり、家計を楽にする効果はないため注意しましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ふるさと納税の控除上限額
ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附を行い、寄附額のうち2000円を超える部分について所得税と住民税から税額控除を受けられる制度です。寄附額に応じて返礼品を受け取れる点が人気で、返礼品の価値は概ね寄附額の3割程度です(自治体や返礼品によって異なる)。
つまり、1万円の寄附を行った場合、3000円相当の返礼品を受け取れます。2000円の自己負担で3000円相当の返礼品を受け取れるため、1000円分得をする、というスキームです。
年金受給者の方でも、ふるさと納税を通じて返礼品を受け取り、税額控除を受けられます。ただし、自己負担額を2000円に抑えられる上限額が決まっており、上限額は年金収入に応じて決まります。
例えば、65歳以上で独身の場合、控除上限額の目安は以下のとおりです。
公的年金収入 | 上限額 |
---|---|
150万円 | 0円 |
200万円 | 1万2000円 |
250万円 | 2万4000円 |
300万円 | 3万6000円 |
350万円 | 4万6000円 |
400万円 | 5万8000円 |
なお、65歳以上で配偶者控除(38万円)を受けられる配偶者がいる人の場合、控除上限額の目安は以下のとおりです。
公的年金収入 | 上限額 |
---|---|
150万円 | 0円 |
200万円 | 4000円 |
250万円 | 1万5000円 |
300万円 | 2万7000円 |
350万円 | 3万8000円 |
400万円 | 4万7000円 |
ふるさと納税をする際には、自分の年収に応じた寄附上限額を確認しましょう。
4万円の寄附は多すぎ?
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度における老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)の平均月額は以下のとおりでした。
・全体平均月額:14万4982円
・男性平均月額:16万3875円
・女性平均月額:10万4878円
全体の平均月額で換算すると、年金収入は約180万円程度になります。独身の方であれば、自己負担額を2000円に抑えられる寄附上限額は1万円程度になるでしょう。
つまり、4万円をふるさと納税するのは一般的に「やり過ぎ」です。年金収入や適用される控除によって差があるものの、約3万円は純粋な寄附になっている可能性が高いでしょう。
なお、ふるさと納税による税額控除(寄附金控除)を受けるためには、確定申告が必要です。ただし、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内の場合は、確定申告を行わずに済む「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用できます。
ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出すれば、確定申告をせずに税額控除を受けられます。申請書はふるさと納税を行った翌年の1月10日までに送付する必要があるため、忘れずに行いましょう。
まとめ
年金受給者の方でもふるさと納税の恩恵は受けられますが、上限額を超えないように注意が必要です。上限額を超えた金額は単純な寄附となるため、家計を楽にする効果はありません。ふるさと納税を行う際には、必ず年金収入や配偶者控除の有無などを確認しておきましょう。
出典
国税庁 No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省 ふるさと納税の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー