年金受給したての友人が「確定申告しないと…」と言っていました。年金収入が「400万円」以上ということは、現役時代かなり稼いでいたのでしょうか?
配信日: 2025.02.27


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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確定申告をしないとどうなるのか
年金受給者であっても、収入額や所得控除の条件次第では確定申告が必要です。具体的には、年金収入が400万円を超える場合や、給与所得や不動産所得などほかの所得がある場合、確定申告の対象です。必ずしも、現役時代に稼いでいた(年金保険料をたくさん納めていた)から確定申告が必要とは限らない点にご注意ください。
年金収入が400万円以上の場合
年金収入が400万円を超えると、公的年金等控除の適用後も課税対象となる可能性が高いです。収入が多いほど税負担も増えるため、正確に所得計算しなければなりません。また、所得税のほかに住民税の負担も増える点に注意が必要です。
確定申告しないとどうなる?
確定申告を怠ると、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。また、払い過ぎた税金があるときにも、確定申告しなければ税の還付を受けられません。そのため、確定申告が必要な場合には忘れずに手続きを行いましょう。
年金収入が400万円の場合の確定申告
では、実際に年金収入が400万円の場合の確定申告の事例を見ていきましょう。公的年金にかかる所得金額は、以下の式で算出します。
その年に受ける年金額−公的年金等控除額 = 公的年金等にかかる雑所得の金額
ここでいう受け取る年金額とは、社会保険料などが控除される前の合計年金額です。また、公的年金は以下のものが当てはまります。
●厚生年金保険
●国民年金保険
●共済組合
●恩給
●厚生年金基金
●国民年金基金
なお、障害年金と遺族年金は非課税所得にあたるため、所得には含まれません。次に所得が年金のみ、もしくは、年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合の控除額を見ていきましょう。
65歳未満の場合
公的年金等の収入金額の合計額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
---|---|
60万円以下 | 0円 |
60万円超 130万円未満 | 収入金額の合計額 − 60万円 |
130万円以上 410万円未満 | 収入金額の合計額 × 0.75 − 27万5000円 |
410万円以上 770万円未満 | 収入金額の合計額 × 0.85 − 68万5000円 |
770万円以上 1000万円未満 | 収入金額の合計額 × 0.95 − 145万5000円 |
1000万円以上 | 収入金額の合計額 − 195万5000円 |
65歳以上の場合
公的年金等の収入金額の合計額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円超 330万円未満 | 収入金額の合計額 − 110万円 |
330万円以上 410万円未満 | 収入金額の合計額 × 0.75 − 27万5000円 |
410万円以上 770万円未満 | 収入金額の合計額 × 0.85 − 68万5000円 |
770万円以上 1000万円未満 | 収入金額の合計額 × 0.95 − 145万5000円 |
1000万円以上 | 収入金額の合計額 − 195万5000円 |
受け取る年金額が400万円のケースでは、65歳以上と65歳未満ともに所得金額は以下のようになります。
400万円−127万5000円=272万5000円
控除後の所得金額は65歳以上で105万円(65歳未満で85万円)を超えているため、確定申告が必要です。なお、受け取っている年金額は少なくても、公的年金以外に収入があれば確定申告が必要となる可能性があります。
まとめ
年金受給者でも確定申告が必要となる基準や計算方法について解説しました。年金受給者でも、収入額や所得控除の条件に応じて確定申告が必要です。特に、年金収入が400万円を超える場合や、ほかの所得がある場合は申告が必要となる可能性が高く、手続きを怠ると追徴課税や延滞税が発生するリスクがあります。
さらに、払い過ぎた税金の還付も受けられません。そこで、年金生活でも一定以上の収入や税の還付を受けられる場合には、確定申告を忘れないようにしましょう。
出典
政府広報オンライン 年金受給者の確定申告不要制度
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー