確定申告に「領収書」は必須?「レシート」が使用できる場合もあるの? チェックポイントを紹介

配信日: 2025.03.09

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確定申告に「領収書」は必須?「レシート」が使用できる場合もあるの? チェックポイントを紹介
「確定申告には領収証が必須」と思われる方も多いのではないでしょうか。確定申告は税務署に書類(確定申告書など)を提出する手続きですので、レシートでは代用できないような気がするかもしれません。
 
本記事では「確定申告書に『領収証』を添付する必要があるのか?」「『領収書』のチェックポイントはどこか?」について解説します。本記事では「領収証」と「領収書」の違いにも触れていますので、気になる方はぜひ最後までお読みください。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

確定申告書に「領収証」を添付する必要があるのか?

確定申告書を提出する際に添付・提示しなければならない書類は、以下のとおりです(所得税法施行令第262条)。
 

・雑損控除の適用を受ける場合には「これを領収した者のその領収を証する書類」
・社会保険料の適用を受ける場合には「当該社会保険料の金額を証する書類」
・小規模企業共済等掛金控除の適用を受ける場合には「小規模企業共済等掛金の額を証する書類」
・生命保険料控除の適用を受ける場合には「保険料の金額その他財務省令で定める事項を証する書類」
・地震保険料控除の適用を受ける場合には「地震保険料の金額その他財務省令で定める事項を証する書類」
・寄附金控除の適用を受ける場合には「特定寄附金の明細書その他財務省令で定める書類」

 
「証する書類」とは「事実を証明する書類」という意味であり、「証明書」を添付することが一般的です。したがって、「必ずしも確定申告書に領収証を添付する必要はない」といえます。
 

「領収書」のチェックポイントはどこか?

以下に該当する方は、帳簿や書類を保存しなければなりません(所得税法第232条)。
 

(1) 不動産所得・事業所得・山林所得のある方
(2) 業務に係る雑所得のある方で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方

 
(1)の方が保存しなければならない「書類」は、「その年の決算に関して作成した棚卸表その他の書類」「業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書その他これらに類する書類」です(所得税法施行規則第102条第3項)。
 
(2)の方が保存しなければならない「書類」は、で「業務に関して作成し、又は受領した請求書、領収書その他これらに類する書類(自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものは、当該写しを含む。)のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたもの」です(所得税法施行規則第102条第3項)。
 
ここでいう「領収書」とは、私たちがイメージする領収書(領収証)とは異なります。ここでは「その受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書」を意味します(印紙税法基本通達第17号文書)。具体的には以下のものが領収書に該当します。
 

・受取書・領収証・レシート・預り書
・受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したもの
・お買上票などでその作成の目的が金銭(または有価証券)の受取事実を証明するもの

 
つまり、領収証もレシートも「領収書」の1つであり、確定申告においては両者に違いはないといえます。ただし、「領収書」は確定申告書や帳簿の記載内容を裏付けるためのものですので、領収証であってもレシートであっても、以下の情報が記載されている必要があります。
 

・取引の年月日
・取引の相手方の名称
・取引内容
・取引金額

 

まとめ

本記事では「確定申告書に『領収証』を添付する必要があるのか?」「『領収書』のチェックポイントはどこか?」について解説しました。
 
結論としては以下のとおりです。
 

・確定申告書に「領収証」を添付する必要はない
・「領収書」のチェックポイントは「日付の記載はあるか?」「相手方の名称の記載はあるか?」「内容の記載はあるか?」「金額の記載はあるか?」

 
確定申告においては、領収証とレシートに大きな違いはなく、どちらも「領収書」の1つです。したがって、確定申告に領収証は必須ではなく、レシートを使用することもできます。
 
ただし、領収証であってもレシートであっても、確定申告書や帳簿を作成する上で必要となる情報があります。この情報がきちんと記載されているかどうかがチェックポイントとなります。本記事が確定申告をする際の参考になれば幸いです。
 

出典

e-Gov 法令検索 「所得税法施行令」
e-Gov 法令検索 「所得税法」
e-Gov 法令検索 「所得税法施行規則」
国税庁 「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
国税庁 「記帳や帳簿等保存・青色申告」
国税庁 「第16号文書(第17号文書)」
国税庁 「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」
国税庁 「帳簿の記帳の仕方‐事業所得者用‐」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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