昨年マイナンバーカードを作りました。「医療費控除」をするのですが、公金受取口座で確定申告の還付金を受け取れますか?
配信日: 2025.03.07


執筆者:神津喜代子(こうづ きよこ)
資産運用の相談業務
資産運用の相談業務のなかで、貯金・生命保険・投資信託・変額年金保険・投資信託・NISAを取り扱い、職員指導も行なった実績を活かし、お客さまから金融商品に限らず、相続などさまざまな相談を受ける。
現在も日本FP協会のSGに参加し、研修を継続中。わかりやすく正確な最新情報の提供に努めている。
まずはマイナンバー制度について確認しよう
マイナンバー制度は政府が2015年10月にスタートしました。マイナンバー制度は行政機関の作業を効率化し、利用者である国民の手続き負担を軽減するためにつくられました。
マイナンバーは日本国内に住むすべての人に国が与えた12桁の番号です。マイナンバーカードを作成していなくても、マイナンバーは与えられています。マイナンバーカードを作成していない人がマイナンバーを確認するためには、マイナンバーが記載された住民票を取得することで、自分のマイナンバーは確認できます。
マイナンバー制度の利用範囲は法律で限定されています。
1. 社会保険
2. 税
3. 災害対策
以上の3項目について使用することが法律で決められています。
<社会保障分野について>
まず年金に関して、年金の受給資格の確認、給付手続き、年金情報の管理がマイナンバーによって行われています。雇用保険の資格管理から給付までの事務手続き、児童扶養手当の給付にも活用されています。
さらには、医療保険の保険料支払手続き、医療に関しても活用されています。現在、マイナンバーカードは保険証として利用されています。本人が同意すれば、医療、薬剤の情報が医療機関で共有できます。また、医療費が高額になった場合、限度額適用認定証がなくても高額療養費制度における限度額を超える支払いが免除されます。
確定申告における医療費控除の手続きで、マイナポータルを通じて医療費通知情報を自動入力することが可能になります(e-Tax 利用の場合)。
<税の分野について>
公平、公正な税負担が目的です。マイナンバーを使用することで確定申告書の作成が簡単になりました。確定申告書の提出の際は、マイナンバーの記載が必要です。会社員の年末調整、預金口座の作成の際にもマイナンバーの記載が必要です。
<災害対策分野について>
被災者に対する給付金がスムーズに支払えるよう活用されています。新型コロナに対する給付金の支払いに時間が多くかかったことから、マイナンバーの活用が進められています。被災者の確認も迅速に行えます。
次にマイナンバーカードについて確認しよう
マイナンバーカードの作成は任意です。希望する場合に無料で作成できます。総務省のデータによると、マイナンバーカードの保有率は、人口の70%以上(2025年2月末時点)となっています。
マイナンバーカードを持っている利点は、顔写真付きの証明書として利用できることです。住民票、印鑑証明書をコンビニのマルチコピー機から取得できます。手続きも簡単で費用についても窓口で受け取るときと比べ安くなります。また、健康保険証としても利用できます。
マイナンバーカードをスマートフォンで読み込み、e-Taxで確定申告を行えます。手書きの必要もなく、持参、郵送する手間も省けます。
このように、マイナンバーカードを持っていることで手続きがスムーズに行え、費用も安く行えるものがあります。
公金受取口座の登録制度について確認しよう
金融機関の自分名義の預金口座を、公金受取口座として登録できます。登録できるのは1人につき1口座です。
公金受取口座を登録しておくことにより、確定申告の還付金受け取り、年金受け取り、児童手当の受け取りなど、国からの給付金などの各種給付金の受け取りの手続きが簡略化され迅速に受け取れます。公金受取口座として登録しておくことで、預金口座の記載、預金口座、通帳、キャッシュカードのコピーの添付などがなくても受け取れます。
ただし、支給に対する「申請手続き」は必要ですので注意しましょう。公金受取口座を申請後に、別の口座に変更することもできます。
確定申告の際の口座情報の登録について確認しよう
確定申告を行った結果、税金が還付される場合は還付金を受け取れます。還付金は銀行の預金口座に振り込まれます。確定申告書の還付される税金の受取場所の欄に口座の情報を記載します。公金受取口座の登録をすでに行っている場合は 公金受取口座の利用の欄に○を記入します。銀行の口座の記載を省略できます。
すでに登録してある口座以外の口座で受け取りたい場合は、振り込みを希望する口座番号などを記載することで別の口座で受け取れます。公金受取口座の登録がすんでいない場合、今回の確定申告で受け取りをする口座情報を記載した際、公金受取口座登録の同意の欄に○をすることで、公金受取口座の登録が完了します。
確定申告の結果、納付が必要の場合は公金受取口座から納付はできませんので、振り込み手続きが必要です。このように、公金受取口座の登録をしておくことで、還付金、国からの給付金を受け取る際に、口座の記載、確認をする必要がなく、迅速に受け取れます。
まとめ
公金受取口座を登録しておくことで、口座の情報を記載することなく、登録してある口座に還付金が振り込まれます。手続きが簡単になり、記載漏れ、間違いなどのミスをなくせます。
出典
総務省 マイナンバー制度
デジタル庁 公金受取口座登録制度
執筆者:神津喜代子
資産運用の相談業務