確定申告時期だからこそ知っておきたい セルフメディケーション税制とは何か
配信日: 2019.03.04 更新日: 2019.06.19
ところで、皆さんは2017年より始まった「セルフメディケーション税制」についてご存知でしょうか? よく薬局などでポスターが掲示されているのを見かけますが、実際のところ、その詳しい内容まで理解されている方は少ないかもしれません。
今回は「セルフメディケーション税制」について分かりやすく説明したいと思います。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制とは医療費控除の特例であり、健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、2017年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。
スイッチOTC医薬品って何?
元々医療用として使用されていた医薬品を、有効成分や服用方法そして用量が全く同じままで市販品としたものを言います。
実際に控除対象となる医薬品は、2019年1月31日時点で1718品目となっています(※)
税制の概要
この制度の概要は、厚生労働省のホームページ上で、「健康の維持推進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する。」(原文ママ)
とされています。
予防への取組については、特定健康診査や予防接種、定期健康診断、がん検診なども含まれます。
適用を受けるには?
対象となる医薬品を購入した際は、レシートの保管が必要です。そのレシートには、
1.購入日
2.商品名
3.その商品がセルフメディケーション税制の対象となる旨の文言の記載
4.販売店名
5.金額
の記載が必須となります。
あわせて、健康の維持推進及び疾病の予防への取組を行ったことの証明が必要になります。会社などが実施する健康診断については、領収書もしくは結果通知表のコピー、または証明依頼書があればよいことになっています。
実際どのくらいの控除になる?
例えば、対象となる医薬品を購入、もしくは検査を受けた額が4万円で、その年の課税所得額が400万円だったとしましょう。
その場合セルフメディケーション税制を採用すると、所得税の減税額は5600円。住民税の減税額は2800円となり、合計で8400円の減税効果があることになります。
対象額は、生計を一にする家族のものも合算できますので、額が多ければ多いほど減税効果は高くなります。
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、現行の医療費控除との併用はできません。医療費控除の適用を受ける場合とセルフメディケーション税制の適用を受ける場合、どちらが控除額が大きいかを計算し、有利な方で申告するとよいでしょう。
今まで、「医療費を10万円使わないから、医療費控除は無関係」と思っていた方も多いかもしれません。しかし、セルフメディケーション税制は、検診などを利用しており、医薬品を1万2000円以上購入しているのであれば、使うことができるものです。該当する可能性も高いので、確定申告する前に一度見直すことをお勧めします。
もし確定申告済みであれば、来年の確定申告時には忘れないように、対象となる医薬品を購入したらレシートを保管しておくようにしましょう。
出典
(※)厚生労働省セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者