更新日: 2020.04.03 確定申告
確定申告の青色申告 白と比べて青はどんなメリットがあるのだろう
確定申告には青色申告というものがあり、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。今回は青色申告制度のメリットについて確認してみましょう
執筆者:宮路幸人(みやじ ゆきひと)
税理士・AFP その他宅建、マンション管理士資格保有
不動産・相続に強みがあります。会計事務所勤務が長く実務経験が豊富です。フットワ-クが軽くお客様のニーズに応えるよう日々努力しております。また離島支援活動も積極的に行っております。
青色申告とは
日本の税金は基本的には申告納税制度となっており、自ら所得を計算して納税します。正確な所得を計算するには帳簿を正しく記帳する必要があるため、正規の簿記の原則に沿って記帳する人には特典を与え、申告納税制度を普及させるという目的で青色申告制度が導入されました。
所得税は所得の区分を10種類に分けており、青色申告ができるのはそのうちの事業所得、不動産所得、山林所得の3種です。「青色申告は富士山(不動産・事業・山林)」と覚えておくとよいでしょう。
青色申告をするには一定の期間内に税務署に申請書を提出し、承認を受ける必要があります。要件は正規の簿記(複式簿記)で記帳を行うことです。以前はよりハードルの低い白色申告であれば帳簿をつけなくてもよかったのですが、平成26年からは白色申告者にも記帳が義務づけられたので、同じ記帳をするのであれば青色申告にしておいたほうがよいですね。
主な青色申告のメリット
青色申告にはさまざまなメリットがあります。
1.青色申告控除により所得から65万円(もしくは10万円)控除できる
正規の簿記で記帳し、事業的規模の人の場合は所得から65万円を限度に差し引くことができます。これはキャッシュアウトを伴わないため非常に大きな特典です。
事業的規模とは、不動産所得ではおおむね貸付が独立家屋は5棟、貸室であれば10室を超える規模です。駐車場は5台を1室とカウントするため、駐車場のみであれば50台です。事業的規模にあてはまらない場合でも、青色申告であれば10万円の控除が受けられます。
2.青色事業専従者給与の支払いができる
個人事業の場合、原則として家族従業員に対して支払ったぶんは必要経費にすることができませんが、事業的規模の青色申告者であれば、奥さん、子供に対する給料も必要経費として計上できます。ただし、青色事業専従者給与の届出書を税務署に提出し承認を受ける必要があります。
3.少額減価償却資産を全額経費にできる
通常10万円以上の資産は減価償却資産となり、耐用年数で償却していく必要がありますが、青色申告者の場合、30万円未満の減価償却資産は、購入した年に一括して全額必要経費にすることが可能です。
4.純損失の繰り越しができる
青色申告をしている人で、赤字が生じた場合は他の所得と合算して所得を計算することができます。
たとえば不動産所得において、修繕費が多く発生し所得が損失となった年は、給与所得など他の所得と合算して所得を計算することができます。所得を合算しても損失がある場合は、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得から控除することが可能です。
青色申告の注意点
青色申告控除の適用に際して注意点もあります。
(1)青色申告を受けるためには、申告期限内に、確定申告書に控除の適用を受ける金額を記載し、決算書(貸借対照表・損益計算書)を添付する必要があります。他の要件を満たしていても、期限後申告になると65万円の控除は受けられません (10万円の控除は受けることができます) 。
(2)65万円の青色申告控除が認められていても、控除前の所得が65万円未満の場合、その所得額が控除の上限となります(たとえば30万円の場合、差し引ける青色申告控除額の限度は30万円)。
(3)2年連続で期限後申告をしてしまうと、青色申告が取り消されますので、申告は期限内にするように注意しましょう。
以上、簡単ではありますが青色申告の大まかな仕組みと主なメリット、注意点について述べました。青色申告は特典が多く節税にも有効です。また、記帳することは税金面だけでなく自らの経営管理に役立ちますので、青色申告制度を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
執筆者:宮路幸人(みやじ ゆきひと)
税理士・AFP その他宅建、マンション管理士資格保有