確定申告が終わったあとに、医療費控除の申告忘れに気付きました…多く支払った分の税金はあきらめるしかないでしょうか?
配信日: 2025.03.18

今回は、期限後に確定申告の修正をする方法や、医療費控除を申告し忘れていた場合に、「更正の請求」により支払いすぎた税金は戻ってくるのかなどについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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期限後に確定申告の修正はできる?
確定申告の期限が過ぎても、申告内容の修正は可能です。申告した税額が少ないなら「修正申告」を、多いときは「更正の請求」を行います。
修正申告
修正申告は、法定申告期限を超えて時間がたつほどに本来の納税額に加えて支払う税額が多くなる可能性があります。法定申告期限を過ぎてからの納税には延滞税が課され、日数が遅れるほど金額が増えるためです。
また、税務調査の事前通知が届いた後に修正した場合は過少申告加算税も課されます。国税庁によれば、過少申告加算税は、税務署からの調査を受ける前か後かなどで、税率が5~15%の間で変動します。
更正の請求
確定申告の法定期限後に医療費控除を始めとする控除の申告を忘れていた場合、更正の請求をすることで払いすぎた税金分のお金が還付される可能性があります。更正の請求は、「更正の請求書」を管轄の税務署長に提出しましょう。
請求書を受け取った税務署から納付しすぎた税金があるなどの状態が認められれば、税金の減額更正が行われ納め過ぎた税金が還付されます。
ただし、所得控除額が増えても最終的な税額が変わらないのであれば、還付されるお金もないため更正の請求は必要ありません。また、国税庁によれば、更正の請求は原則として法定申告期限から5年までが対象です。5年を過ぎると請求できないため、注意しましょう。
更正の請求で所得税はいくら還付される?
今回は、以下の条件で医療費控除の有無により所得税額がいくら戻ってくるかを計算します。
・東京都新宿区在住40代
・総所得金額は600万円
・単身世帯の自営業
・所得は前年も同額とする
・医療費控除額は12万円
・所得控除は医療費控除、社会保険料控除、基礎控除、青色申告特別控除のみで令和6年度の金額
・社会保険料控除は1年分の社会保険料額で計算し、前納などによる割引はないものとする
・復興特別所得税は考慮しない
まず、今回の条件における社会保険料は国民年金保険料と国民健康保険料(介護保険料含む)から構成されています。令和6年度の国民年金保険料は月1万6980円、年20万3760円です。
また、新宿区の令和6年度の国民健康保険料の求め方を基にすると、年間84万2405円になります。社会保険料控除は合計104万6165円です。医療費控除以外の所得控除を収入から引くと382万3835円です。これらの数値を基にすると、医療費控除の有無で所得税額は表1のように変わります。
※筆者作成
今回の例では、医療費控除の有無で所得税額に2万4000円の差があります。そのため、更正の請求により2万4000円が還付される可能性があるでしょう。
医療費控除額が12万円で年収600万円だと2万4000円還付される可能性がある
確定申告の期限を過ぎてから間違いに気付いても、後から修正は可能です。過少申告したときは修正申告、多く申告したときは更正の請求をしましょう。
もし医療費控除を申告し忘れたとすると、更正の請求により多く支払った税金が還付される可能性があります。今回のケースでは、12万円の医療費控除の申告により2万4000円が還付されるでしょう。
ただし、更正の請求は法定申告期限から5年以内なので、過ぎたら申告できません。できるだけ早い対応が必要です。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.2026 確定申告を間違えたとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー