入院が長引いて「差額ベッド代」が10万円を超えた場合「高額療養費」で払い戻せる? 対象を解説
配信日: 2025.03.20

このようなときに便利な制度が「高額療養費制度」です。しかし、入院費用のすべてが制度でまかなえるわけではない点に注意しましょう。
そこで今回は、入院時の差額ベッド代を高額療養費制度でまかなえるのか、間違いやすい医療費控除との違いなどについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高額療養費制度とは
「高額療養費制度」とは、入院・通院などにより多額な費用を支払った場合に、払い戻しを受けられる制度のことです。
ただし、病院に支払った費用の中には、対象外となってしまうものもあります。制度のしくみと、対象外となってしまう費用について確認しましょう。
高額療養費制度のしくみ
高額療養費制度は、病院や薬局などの支払いが「自己負担限度額」を超えた場合、後日差額が払い戻される制度で、ひと月ごと(1日から月末まで)に計算されます。そのため、月をまたいで入院や通院をした場合は、それぞれの月で限度額を超えるかを計算し、月単位での申請が必要です。
限度額は、年齢や所得、直近1年間に制度を利用した回数などに応じて決められます。厚生労働省保健局のサイトで公表されている資料「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」によると、69歳以下の人の算出方法は表1の通りです。
表1
適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) |
---|---|
年収約1160万円~ | 25万2600円+(医療費-84万2000円)×1% |
年収約770万円~約1160万円 | 16万7400円+(医療費-55万8000円)×1% |
年収約370万円~約770万円 | 8万100円+(医療費-26万7000円)×1% |
~年収約370万円 | 5万7600円 |
住民税非課税者 | 3万5400円 |
出典:厚生労働省保健局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作成
協会けんぽや国民健康保険、健康保険組合など、加入先の医療保険者に申請することで、表1の計算で出た上限額を超えた分が払い戻されます。
差額ベッド代は制度の対象外?
制度の対象となるのは「保険適用の医療費」のみです。そのため、次にあげる費用は対象外となります。
●保険適用外の医療費(先進医療費など)
●食事療養費の自己負担額
●差額ベッド代
●入院時に購入した日用品(タオル洗面用具など)
●見舞いに来た家族の交通費
中でも、差額ベッド代は個室だけでなく、2人部屋や3人~4人部屋でも必要なケースがあり、想像以上に高くなる可能性もあるでしょう。
「高額療養費制度」と「医療費控除」の違い
同じように医療費関連の制度に「医療費控除」があります。
高額療養費が健康保険制度のしくみであるのに対し、医療費控除は税法関連の制度です。納税者や納税者の扶養家族の医療費が一定の額を超過した場合、確定申告の際に申告することで所得税などが軽減されます。
多くの場合、対象となるのは1年間に支払った額のうち10万円を超過した額です。また、保険適用外の医療費なども含まれます。ただし、高額療養費で受け取った額は除かれるため注意が必要です。
なお、差額ベッド代は自己都合による支払いとみなされるため、医療費控除は受けられません。
差額のベッド代は高額療養費でまかなえない
高額療養費制度とは、病院などで多額な費用がかかった際に、払い戻しを受けられる制度のことです。その月の1日から最終日までにかかった医療費のうち自己負担限度額を超える部分が払い戻されます。
ただし、対象となるのは保険適用の医療費のみです。差額ベッド代や保険適用外の先進医療費などは含まれないため、注意しましょう。
出典
厚生労働省保健局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)上限額は、年齢や所得によって異なります
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー