イベントの懸賞で「450万円」相当の車が当たった! 宝くじは非課税なのに、懸賞の景品には「税金」がかかるの? 理由や課税額を解説
配信日: 2025.04.04

中には豪華な景品が用意されているケースもありますが、もし高額な商品が景品として当たったら、税金はかかるのでしょうか。宝くじは非課税だとよく聞きますが、一見似ている「景品」と「宝くじ」は法令上、どのように区別されているのでしょうか。
本記事では、懸賞の景品にかかる税金と、景品と宝くじの性質の違いについて解説します。

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
懸賞の当せん品には税金がかかる?
実は懸賞の景品は、法令上「所得」という扱いになります。「所得」というと、会社から得られる給与をイメージする人が多いかもしれませんが、所得とは給与に限ったものではありません。
土地の賃貸借契約による不動産収入や株の配当、退職金などさまざまなものが所得です。このうち、懸賞で当たった景品については「一時所得」に該当し、課税の対象となります。
一時所得には、次のようなものがあります。
・福引や懸賞の賞金品
・競馬や競輪の払戻金
・生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等
・法人から贈与された金品
・遺失物拾得者や埋蔵物発見者が受ける報労金等
・資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
このように、継続的な収入ではなく一時的に得られた利益については「一時所得」に該当し、その相当金額によっては課税の対象となります。
450万円の車にかかる所得税とは?
一時所得に対する所得税は、利益を受けた相当金額に対して個別にかかるのではなく、それを含めた個人の「1年間の総所得」に対してかかる点に注意が必要です。
一時所得の課税対象となる金額の求め方は、次の通りです。まず、一時所得を受けるために経費がかかっている場合は総収入金額から差し引くことができますので、経費分を差し引きます。
また、一時所得は50万円までであれば特別控除として非課税になり、50万円を超える場合は超えた分の金額の2分の1が課税対象となります。まとめると、一時所得の課税対象となる金額の計算式は次の通りです。
・総収入金額-収入を得るために支出した経費- 特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
・一時所得の金額×1/2=課税対象となる金額
今回のケースでは、450万円相当の車が当たり、懸賞や福引への参加費などはかからなかったと仮定しましょう。
・450万円(総収入金額)-0円(経費)-50万円(特別控除額)=400万円(一時所得の金額)
・400万円×1/2=200万円(課税対象となる金額)
この課税対象となる金額200万円を、1年間の総所得額とその他の所得に合算します。その合算額から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除・扶養控除といった各種控除を差し引いた額にもとづき、総合的な課税所得が決まり、そこから1年分の所得税が計算されるということになります。
同じ「当せん」でも宝くじは非課税なの?
「当せん」というと、懸賞の景品のほかに「宝くじ」を思い浮かべる人も多いでしょう。「当せんした」という意味では同じですが、宝くじの当せん金は非課税で、懸賞の賞金品は課税されるという違いがあります。実は、宝くじと懸賞では、法律上の取り扱いや性質の違いによって明確に異なる点があるためです。
まず、宝くじは「当せん金付証票法」により、当せん金が非課税と規定されています。これは、宝くじが国や地方自治体によって運営され、その収益が福祉や教育をはじめとした社会貢献を目的に活用されているという側面があるからです。
一方、懸賞の景品は「所得税法」に基づき、一時所得として課税対象となります。懸賞は民間企業のイベントなどで、多くは販促活動を目的として行われています。そのため、景品は個人が得た「経済的利益」とみなされ、ほかの所得と同じように課税されるのです。
このように、宝くじは公共性の高い仕組みとして非課税とされる一方、懸賞は個人の利益という違いから、同じ「当せん」であっても税法上の取り扱いが異なります。
景品の高額当せんは課税対象
懸賞の賞金品や宝くじが当せんすると、誰もがうれしくなってしまうでしょうが、同じ「当せん」でも景品と宝くじでは税法上の扱いが異なります。景品の場合、50万円以下のものであれば非課税となりますが、高額な金額相当の景品は課税対象となります。
このような高額な景品が当選した場合は、確定申告で税務署に申請し、漏れなく納税する様にしましょう。
出典
国税庁 No.1490 一時所得
国税庁 No.2260 所得税の税率
e-Gov法令検索 当せん金付証票法
e-Gov法令検索 所得税法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級