「106万円の壁」を超えないように働いていたのに、雇用保険料が引かれていました。扶養内なら引かれないのではなかったんでしょうか?
配信日: 2025.04.12

少しでも手取り額を多くしたいときは、雇用保険の加入条件を知っておきましょう。今回は、雇用保険の加入条件や扶養への影響、年収105万円のときの手取り額などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
雇用保険の加入条件は?
厚生労働省によると、雇用保険に加入が必要なのは以下2つの条件を満たしているときです。
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・31日以上の雇用見込みがあること
そのため、扶養内の条件額を満たしていても、上記の条件を満たしたことで雇用保険に加入するケースがあります。
もし、加入を希望していなかったとしても、条件に該当していれば原則加入しなければなりません。雇用保険料は職種によって異なり、令和6年度時点での労働者が負担する分の雇用保険料率は以下の通りです。
・一般事業:1000分の6
・農林水産・清酒製造事業:1000分の7
・建設事業:1000分の7
なお、厚生年金保険、健康保険といった雇用保険以外の社会保険の加入条件は以下の通りです。
・週の所定労働時間が20時間以上
・事業所の従業員数が51人以上
・学生以外(夜間、休学中の方は除く)
・2ヶ月を超える雇用見込み
・所定内賃金が月額8万8000円以上
雇用保険と条件が異なるため、雇用保険の条件は満たしていても社会保険の加入条件は満たしていないケースもあります。その場合、加入するのは雇用保険のみです。
扶養に影響はある?
厚生年金保険や健康保険に加入した場合は、扶養から外れますが、雇用保険のみの場合は、条件を満たしていれば扶養に入れます。また、日本年金機構によると、雇用保険の失業手当を受給中の方も、扶養の収入条件を満たしていれば扶養の認定が可能です。
ただし、夫が加入している健康保険によって扶養内の条件が異なる可能性があるので、加入している健康保険組合に確認しておきましょう。
全国健康保険協会に夫が加入している場合、妻が扶養内に入るには夫と同一世帯であること、生計を維持されていること、年収130万円未満かつ夫の収入の半分未満であることのすべてを満たしている場合です。
105万円のときの雇用保険料と手取り
今回は、以下の条件で年収105万円のときの雇用保険料と手取り額を求めましょう。
・年収105万円
・雇用見込みは31日以上
・一般事業に従事
・週の所定労働時間は20時間以上
・所定内賃金は月額8万7500円
・控除は社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除のみ
・雇用保険料率と基礎控除は令和6年度のものを使用
・住民税は江東区で計算
まず、条件通りだと社会保険のうち雇用保険のみが適用されます。一般事業のときは1000分の6が雇用保険料率なので、「105万円×1000分の6」で6300円が雇用保険料額です。
また、給与所得控除は55万円になります。これらの条件を基にすると、各税額は表1の通りです。
表1
所得税基礎控除 | 48万円 |
所得税課税所得 | 1万3000円 |
所得税率 | 5% |
所得税額 | 650円 |
住民税基礎控除 | 43万円 |
住民税課税所得 | 6万3000円 |
住民税所得割+均等割 | 10%+5000円 |
住民税額 | 1万1300円 |
※筆者作成
年収から雇用保険料と所得税、住民税を引くと、手取り額は103万1750円です。
扶養内の条件を満たしていても雇用保険に加入するケースはあり得る
雇用保険の加入条件は、週の所定労働時間が20時間以上で雇用見込み31日以上であることです。そのため、夫の加入している健康保険の扶養条件によっては、雇用保険に加入しながらも扶養内である、という状況はあり得るでしょう。
雇用保険に加入した場合は、給料から引かれる金額は増えます。もし、年収105万円で雇用保険に加入すると、雇用保険料は6300円、手取り額は103万1750円です。
出典
厚生労働省 雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ~ Q1 雇用保険の加入の要件を教えてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー