老後の生活にやっぱり欠かせない年金にもかかる税金ってどのぐらい?
配信日: 2019.03.18 更新日: 2019.06.26
その年金を受け取るにも税金がかかることを知っていますか?遺族・障害の年金は非課税ですが、老齢の年金は雑所得として課税となり、年金の支払いのときに源泉徴収(税金が差し引かれること)されます。
税金をいくら徴収するのかは、日本年金機構から送付される「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に基づいて行われますので、必ず提出しましょう。
執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
税金がかかるのはいくらからなのでしょうか?
税金がかかる人は、その年の12月31日における年齢が
65歳未満で年金の受給額が108万円以上の人
65歳以上で年金の受給額が158万円以上の人です(※1)。
もし、あなたが65歳以上で受給額が161万円だったら、原則的には課税されることになります。ただし、日本年金機構から送付される「扶養親族等申告書」を提出すると、親族がいない場合でも受給額が162万円までは、年金から所得税が差し引かれないようになっています。
これは、「扶養親族等申告書」を提出すると、受給する年金額に応じて所得控除を受けることができるからです(※2)。65歳以上で最低月額13万5000円、年額162万円になり、税金はかかりません。
ちなみに、65歳未満では最低月額9万円、年額108万円までは税金はかからないことになります。この年額以上になると税金がかかることになります。注意点としては、「扶養親族等申告書」の提出が必要であることです。
あなたが63歳で、奥様が59歳、報酬比例部分の老齢厚生年金が168万円だったら?
例えば、63歳で年金以外の収入がなく、奥様は専業主婦の場合でみてみましょう。
源泉徴収金額の計算式
=(年金月額―基礎控除額―人的控除)×5.105%
(基礎控除額の計算式)
【65歳未満の方】 1ヶ月分の年金支払額×25%+6万5000円 (最低額9万円)
【65歳以上の方】 1ヶ月分の年金支払額×25%+6万5000円 (最低額13万5000円)(※3)
168万円÷12=14万円(毎月年金額)
14万円×25%+6万5000円=10万円(基礎控除額)
控除対象配偶者:3万2500円(人的控除)
14万円―10万円―3万2500円=7500円(課税対象額)
7500円×5.105%=382円(源泉徴収金額)
年金支給は2ヶ月分です。382円×2=764円が源泉徴収されます。
所得控除を計算してみたら?
上記の例で、年金の収入額が168万円、奥様の国民年金と健康保険料等が33万円とした場合を考えてみます。
下記の図より 計算式に当てはめると
168万円×0.75-37万5000円=88万5000円(雑所得金額)
所得控除額は
社会保険料控除(国民年金と健康保険料等):33万円
配偶者控除:38万円
本人の基礎控除:38万円
合 計 109万円
88万5000円(雑所得金額)―109万円(所得控除額の合計)
=-20万5000円(課税総所得金額)
課税総所得金額がマイナスの場合は「0」となります。この場合、課税総所得金額が0ですから、所得税がかかりません。ということは、年金支払いのときに税金が差し引かれていますので、確定申告をしたら、還付金が返ってきます。
年金にどのくらいの税金がかかるかをお話ししてきました。ポイントとしては、日本年金機構から送付される「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出することです。そして、ご自分の所得控除額を差し引いたあと、税金がかかる金額なのかを把握することです。
所得金額よりも控除額の方が大きい場合は還付金が返ってきますが、確定申告をしないと返ってきませんので必ず確定申告をしてください。
出典
(※1)日本年金機構(「平成31年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の送付について)
(※2)日本年金機構(年金から差し引かれている税金の計算方法)
(※3)日本年金機構(年金にかかる源泉徴収税額)
(※4)国税庁
執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者
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