新卒で就職して「初任給」が振り込まれた! 額面25万円から「住民税」が引かれてなかったけど、会社が間違っているのでしょうか?“2年目から引かれる金額”もあわせて解説
本記事では、新入社員が住民税を天引きされない理由や、いつから住民税の納税が始まるのかについて解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
住民税とは?
住民税は、公共施設や上下水道、ごみ処理、学校教育などの行政サービスを運営するために、住んでいる都道府県、市町村に納める税金です。納税額は、所得に応じて負担する「所得割」と、所得に関係なく一定額を負担する「均等割」を合算して計算します。住民税の計算方法は、次のとおりです。
(1)前年の収入額から、各種控除額を差し引く(課税所得)
(2)課税所得に税率(10%)をかけて、税額を計算する
(3)税額から税額控除額を差し引く(所得割)
(4)所得割の金額に均等割の金額(道府県民税が1000円、市町村民税が3000円※)を加えて、納税額を算出する
※2024年度から森林環境税として1000円を追加
納税方法は、自分で納税する「普通徴収」と、会社が給与から天引きして市町村へ納税する「特別徴収」の2種類があります。会社員の場合、給与に対する住民税は原則として特別徴収です。年間の納税額を6月~翌年5月までの12ヶ月に分割した額が、毎月天引きされます。
新入社員は住民税がかからないのは本当?
先ほど解説した住民税の計算において、住民税算出のもとになる前年の収入とは、前年の1月から12月の収入です。
例えば、2025年6月から納税する住民税の金額は、2024年1月から12月の収入をもとに計算されます。新入社員の場合、前年にアルバイトなどをしていたとしても、課税されるほどの収入がなければ、社会人1年目は住民税がかからないケースが見られます。
ただし、前年の収入が一定額を超える場合には、社会人1年目であっても住民税を課税されることがあります。自治体によって多少異なりますが、独身者の場合、年間で100万円以上の収入があったかどうかが、住民税が課税される目安です。
2年目から住民税はいくらくらいかかる?
社会人2年目から課税される住民税の金額を、次の例で具体的に計算してみましょう。
●居住地:東京都
●月給額:入社1年目は25万円、2年目は1万円昇給して26万円(学生時代は所得なし)
●賞与額:1年目の賞与は計50万円
●家族構成:独身者、扶養なし
●前年中の収入金額:25万円×9ヶ月(4月~12月分、1~3月は収入なし)+50万円=275万円
●給与所得控除額※1:275万円×30%+8万円=90万5000円
●前年中の課税所得※2:275万円-90万5000円-43万円(基礎控除)=141万5000円
●年間の住民税納税額:141万5000円×10%+5000円(均等割+森林環境税)=14万6500円
●月々の住民税納税額:14万6500円÷12ヶ月=1万2208円
※1:給与所得控除額は、収入金額が180万1円から360万円までの場合、収入金額×30%+8万円
※2:基礎控除額は、合計所得金額が2400万円以下の場合、43万円
昇給額が月1万円だったのに対して、住民税の納税額が1万2208円となるため、2年目のほうが手取り額は下がる計算になります。1年目に住民税を引かれないからといって、手取り額を全て使い切って生活していると、2年目の6月から住民税の天引きが始まったときに家計収支がマイナスになる可能性があるので注意しましょう。
住民税は前年の所得に課税されるため新入社員は課税されない
住民税は、前年の1月から12月の課税所得に対して課税される税金です。新入社員の給与から住民税が天引きされないのは、会社の間違いではなく、前年に課税されるほどの収入がないことが理由です。
2年目の6月からは住民税の納税が始まります。手取り額を全て使い切って生活していると、いざ住民税が天引きされ始めたときに家計収支がマイナスになりかねません。住民税の仕組みを正しく理解して家計管理するよう心がけましょう。
出典
総務省 個人住民税
東京都主税局 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
