更新日: 2019.06.28 その他税金

「もし災害にあったら‥」 税金が減る二つの制度を知っておこう

執筆者 : FPwoman

「もし災害にあったら‥」 税金が減る二つの制度を知っておこう
西日本の豪雨、北海道の地震、台風の被害など、ここ最近立て続けに自然災害が起きています。いつ自分の身に降りかかるかわからない災害から身を守るために、日頃から防災訓練や防災グッズの準備などの必要性を感じている人は多いでしょう。
 
しかし、実際に被害にあってしまった時に、利用できる制度について知っている人は少ないように思われます。そこで、被災した場合に減税される二つの制度を紹介したいと思います。
 
FPwoman

執筆者:FPwoman(えふぴーうーまん)

お金の知性が、女性を美しくする

エフピーウーマンは、女性ファイナンシャルプランナーによる、女性のためのお金の総合クリニックです。当社の所属ファイナンシャルプランナーは全員が女性。家計管理、資産運用、不動産、保険、年金など幅広いお金の知識と、女性ならではの視点から、人生をより豊かに、キラキラと輝かせるための「お金の教養」を伝えています。

FPwomanはこちらから

税金が軽減される二つの制度

災害によって損害が出た場合に、税金が軽減されたり、免除されたりする制度があります。一つは「災害減免法による所得税の軽減免除」、もう一つは「雑損控除」です。
 
被害を受けた金額から、火災保険や地震保険の保険金を差し引いた金額が最終的な損害額となり、確定申告をすることによって税金の軽減を受けることができます。
 
その際、二つの制度のうちのどちらかを選ばなければならず、どちらを選択した方が有利かを判断する必要があります。そこで、この二つの制度をそれぞれ詳しくみていきましょう。
 

公式サイトで申し込み

【PR】アイフル

aiful

おすすめポイント

WEB完結(郵送物一切なし)
・アイフルならご融資可能か、1秒で診断!
最短1時間でご融資も可能!(審査時間込)

融資上限額 金利 審査時間
最大800万円 3.0%~18.0% 1秒診断(※)
WEB完結 無利息期間 融資スピード
※融資まで 30日間 最短20分
※お申し込みの時間帯により翌日以降になる場合があります。
※診断結果は、入力いただいた情報に基づく簡易なものとなります。
 実際の審査では、当社規定によりご希望にそえない場合もあります。

災害減免法による所得税の軽減免除とは

災害によって受けた住宅や家財の損害額(保険金で補填された後の金額)がその時価(※)の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下の場合に受けることができます。
 
※同等の物を購入する金額から経年や使用による消耗分を差し引いた現在の物の価値
 
所得金額によって、以下のように軽減または免除される額が変わってきます。
 

出典:災害減免法による所得税の軽減免除|国税庁
 
給与所得のみである場合、所得金額の合計額は収入(年収)から給与所得控除額を引いた額となるので、年収1,220万円以下であれば軽減あるいは免除があります。
 

雑損控除とは

災害又は盗難若しくは横領によって、資産に損害を受けた場合、一定の金額の所得控除を受けることができます。
 
次の二つのうちいずれか多い方の金額が控除されます。
 
(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%

(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
 
(注)差引損失額とは、損害を受けた金額に災害関連支出(災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額)を加え、そこから火災保険などの保険金を差し引いた額です。総所得金額は、給与所得のみの場合は、年収から給与所得控除額を差し引いた額です。
 
たとえば、損害を受けた金額が100万円で、取壊しに10万円かかり、保険金が50万円おりた場合を見てみましょう。前提として、給与所得のみの年収500万円の人を想定します。
 
(1) の場合は
 
(100万円+10万円-50万円)-(500万円-154万円)×10%=254,000円
 
(2)の場合は
 
10万円-5万円=5万円
 
よって、金額が多い254,000円が所得控除されるというわけです。
 

どちらが有利なのかを判断する

災害減免法による所得税の軽減免除は、所得税がそのまま全額免除になったり、2分の1、4分の1になったりするのに対し、雑損控除は所得控除なので、税率をかけて所得税を計算する前の段階で控除額を差し引きます。
 
実際に、下記のケースではどちらが有利になるのか計算してみましょう。
 
独身30代のAさんのケース
・年収500万円(給与所得のみ)

・損害額100万円(時価150万円)

・取壊し代金10万円

・保険金50万円
 
ここで注意すべき点は、時価の部分です。ここでは時価を150万円と設定しましたが、仮に時価が200万円を超えていた場合は、損害額は2分の1以上にはならないので、災害減免法による所得税の軽減免除は使えないことになります。
 
<災害減免法による所得税の軽減免除の場合>

年収500万円では、所得税の全額が免除されます。
課税所得が236万円として所得税を求めます。
236万円×10%-97,500円(所得税控除額)=138,500円
 
138,500円税金の負担が少なくなります。
 
<雑損控除の場合>

前項で計算したとおり、254,000円が所得控除されます。課税所得が236万円なので、そこからさらに254,000円引いた金額が最終的な課税所得となります。
 
この場合の所得税の税率は10%なので、254,000円×10%=25,400円
 
25,400円税金の負担が少なくなります。
 
ここまで見ての結果では、所得税全額が免除される「災害減免法による所得税の軽減免除」の方が有利というのがわかります。
 
「雑損控除」は住民税も軽減されるここまでの比較は所得税の減税額でしたが、「雑損控除」は住民税も減税されます。
 
ここで重要なことは、所得税で「災害減免法による所得税の軽減免除」を選んでも、住民税で「雑損控除」を受けることができるのです。
 
住民税で「雑損控除」を受けた場合、254,000円×10%=25,400円
 
およそ25,400円住民税が軽減されます。
 
所得税は「災害減免法による所得税の軽減免除」を利用し、住民税で「雑損控除」を受けると、138,500円+25,400円=163,900円
 
合計で163,900円税金が軽減されます。
 

被害額や状況で有利な選択は変わってくる

今回の例では、「災害減免法による所得税の軽減免除」の方が有利でしたが、この制度を利用するには、損害額が時価の2分の1以上という条件に当てはまっていなければなりません。
 
また、「災害減免法による所得税の軽減免除」は申請したその年のみの適用ですが、「雑損控除」はその年に引ききれなかった金額は、3年間繰り越すことができます。その点も考慮してどちらを適用するか判断しましょう。
 
こうした減税や助成金などの制度は、申請した者だけが受けられ、誰かが必ず教えてくれるものではありません。
 
災害はいつやってくるのか誰にもわかりません。実際に自分の身に降りかかった時に、これらの制度の存在を知っているかどうかで、お金の面で差が出てきます。
損害が出た場合に税金が減る制度として頭の片隅に入れておきましょう。
 
TEXT:石倉 博子
FPwoman Money Writer’s Bank 所属ライター

1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®認定者
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。
 
FPwomanはこちらから