更新日: 2021.09.20 その他税金

中小店舗で2%の消費税増税の後に買い物すると、5%のポイントで還元されるって本当?

執筆者 : 林智慮

中小店舗で2%の消費税増税の後に買い物すると、5%のポイントで還元されるって本当?
2019年10月から消費税率が現行8%から10%と2%上昇します。飲食料品(外食、ケータリング、酒類を除く)や新聞は軽減税率の対象となり8%に据え置かれますが、その他の生活必需品は10%になってしまいます。
 
ストックしておける必要な物は、税率が上がる前に買っておきたいもの。しかし、ちょっと待った!2%の消費税増税後の買い物が、5%分ポイントで還元されるとしたら、どっちがお得でしょうか?
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

キャッシュレス・消費者還元事業とは

駆け込み需要対策とキャッシュレス化に向けた国の政策として、『キャッシュレス・消費者還元事業』があります。消費税率が上げられる2019年10月から2020年6月までの9ヶ月間、駆け込み需要対策として行われます。
 
対象となる決済手段は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど、一般的な購買に繰り返し利用できる電子的決済手段です。事業の対象となる事業者は、一般の中小・小規模事業者です。キャッシュレス・消費者還元事業加盟店として登録します。
 
消費者が登録店舗でキャッシュレスにより決済すると、ポイントで消費者に還元されます。消費者への還元率は、一般の中小・小規模事業者の場合は5%、フランチャイズ等の場合は2%です。
 

中小・小規模事業者に国からの補助

中・小規模の事業者にキャッシュレス決済の導入を支援するための事業でもあるため、「キャッシュレス・消費者還元」対象事業者には、導入にかかる費用に国からの補助があります。
 
・消費者還元分5%は国から補助されます。そのため、事業者の利益は圧縮されません。
・キャッシュレスの決済手段の端末の導入を事業者の負担無し(国が1/3、決済事業者2/3)でできます。
・加盟店手数料3.25%以下の引き下げを条件に、国が1/3負担

引用 経済産業省 キャッシュレス・消費者還元事業の概要
 
消費者還元分・端末の導入は事業者の負担がありませんが、決済事業者への加盟店手数料2/3は事業者が負担しなければなりません。現金商売の場合は必要がないものです。
 
しかし、消費税増税後の9ヶ月間はポイント還元を求めて消費税還元事業の対象業者に消費者が集中します。自社で宣伝広告しなくても、ポイント還元できる業者と覚えてもらえます。
 
その後キャッシュレス化が浸透すれば、現金のみの商売では難しくなるでしょう。9ヶ月間キャッシュレス決済をしていた人が、ポイント還元が終わるからと現金決済に戻すことは考えしにくいからです。
 
一方、中小・小規模事業者のフランチャイズチェーン等の場合は、消費者に還元する2%の消費者還元分のみが補助されますが、設備導入についての補助はありません。
 

消費者還元は原則ポイント還元

消費者還元の方法は、決済事業者が決済額に応じたポイントまたは前払支払手段を消費者に付与するのが原則です。
 
やむを得ない事情があり、その理由を申告し事務局の承認を得られた場合に限り、例外として以下の方法を同等の方法としますが、キャッシュバック(現金還元)ではありません。
 
(1)店頭での購買時に、即利用可能なポイント・クーポン等を発行し、購買金額にポイント等相当額を充当する方法。
(2)キャッシュレス決済手段の利用金額に応じた金額を金融機関の口座から引き落とす際に、ポイント等を発行し、当該ポイント相当額を引き落とし金額と相殺する方法。
(3)少なくとも1ヶ月以内の期間毎に消費者の講座に発行したポイント等相当額を付与し、その後の決済に充当する方法。

 
引用 経済産業省 キャッシュレス・ポイント還元事業(2019年10月~2020年6月)
 

ポイント還元事業、対象にならない取引は?

国や地方公共団体の公共法人、金融機関、風俗営業、保険医療機関、学校、暴力団体、宗教法人、保税売店、法人格の無い任意団体、その他、キャッシュレス・消費者還元事業の目的にそぐわないと経済産業省及び補助金事務局が判断する事業者は補助の対象外です。
 
また、補助の対象となる事業者でも、以下の取引は補助の対象外になります。
 
・有価証券等、郵便切手類、印紙、証紙、物品切手 等(商品券、プリペイドカード等)
・自動車(新車・中古車)の販売
・新築住宅の販売
・当せん金付証票(宝くじ)等の公営ギャンブル
・収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
・給与、賃金、寄付金等

 
その他、キャッシュレス・消費者還元事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断する取引は対象外です。
 
詳しくは、
・キャッシュレス・ポイント還元事業(2019年10月~2020年6月)
をご覧ください。
 
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
 

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