70歳で「年金240万円」「配当金60万円」受け取る父が“確定申告”したら、健康保険料が「6万円」上がり衝撃! それでも“配当控除”を受ければお得? それぞれの影響を試算

配信日: 2026.02.11
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70歳で「年金240万円」「配当金60万円」受け取る父が“確定申告”したら、健康保険料が「6万円」上がり衝撃! それでも“配当控除”を受ければお得? それぞれの影響を試算
年金受給者の確定申告の手続きの負担を減らすため、一定の条件を満たす場合には、確定申告をする必要がありません。しかし、株式や配当で所得がある場合、確定申告をすることで所得税や住民税の負担が減る可能性があります。
 
ただし、確定申告をした場合は申告内容をもとに国民健康保険料の計算が行われるため、所得が増えることで保険料の負担が増えるかもしれません。
 
今回は、はじめに確定申告不要制度の内容を確認します。次に、年金240万円と株式の配当金60万円の収入がある70歳の父親が配当所得を申告すると、国民健康保険料がどのように変化するのか、シミュレーションを行います。
金成時葉

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

確定申告不要制度とは

年金は雑所得として課税対象となり、一定額を受給するときには所得税が徴収されます。そのため、確定申告を行い、税金の過不足を清算する必要がありますが、年金受給者の確定申告にかかる負担を減らすため、「確定申告不要制度」が設けられています。
 
確定申告不要制度の対象者は、次の通りです。


1. 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつその公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
2. 公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下である

なお、公的年金等とは、国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金などを指します。
 
また、公的年金等にかかる雑所得以外の所得とは、給与所得や生命保険の満期返戻金などが該当します。上記の1、2のいずれにも該当する場合、納税額があっても確定申告は必要ありません。
 

配当所得にも確定申告不要制度がある

配当所得は、原則、総合課税の対象となる所得として確定申告の対象となります。しかし、上場株式等の配当等(大口株主が支払いを受ける上場株式の配当を除く)については、申告分離課税を選択できます。
 
また、一定のものについては、納税者の判断により、確定申告をする必要はないとされています。確定申告不要制度の対象となる配当は、次の通りです。
 

1. 少額配当である場合

1回に支払いを受けるべき配当の金額が、次の計算式の金額以下である場合
 
10万円×配当計算期間の月数(※)÷12
 
※配当計算期間が1年を超える場合には、12月として計算します。また、1月に満たない端数がある場合は1月として計算します。
 

2. 上場株式等の配当等の場合(大口株主などが支払いを受ける場合を除く)

配当の金額に関わらず、確定申告は必要ありません。
 

確定申告の有無で国民健康保険料はどう変わる?

それでは、確定申告の有無で国民健康保険料がどう変わるのかを比較してみましょう。なお、国民健康保険料は自治体ごとに異なるため、今回は東京都荒川区を参考にしています。
 

確定申告をしなかった場合

確定申告をしなかった場合、配当所得は国民健康保険料の算定の対象になりません。そのため、収入は年金のみとして計算が行われます。
 
年金収入が240万円、年齢が70歳のため、所得は控除額110万円を引いた130万円です。この130万円から基礎控除額43万円を引いた87万円が、保険料の計算のもととなる所得額となります。
 
国民健康保険の加入者全員が負担する医療分の基礎賦課額を求める計算式は次の通りです。


所得割:87万円×7.71%=6万7077円
均等割:4万7300円×1人(加入者数)=4万7300円
基礎賦課額の合計:6万7077円+4万7300円=11万4377円

後期高齢者支援金等賦課額を求める計算式は、次の通りです。


所得割:87万円×2.69%=2万3403円
均等割:1万6800円×1人(加入者数)=1万6800円
後期高齢者支援金等賦課額の合計:2万3403円+1万6800円=4万203円

合計すると、確定申告をせず収入が年金のみの場合の国民健康保険料は15万4580円です。
 

確定申告をした場合

確定申告をし、年金と配当所得の2つの収入がある場合の国民健康保険料を計算してみましょう。
 
年金の所得は130万円、配当所得が60万円あるため、合計所得は190万円です。これから基礎控除額43万円を引いた147万円が、保険料の計算のもととなる所得額となります。基礎賦課額から計算してみましょう。


所得割:147万円×7.71%=11万3337円
均等割:4万7300円×1人(加入者数)=4万7300円
基礎賦課額の合計:11万3337円+4万7300円=16万637円

次に、後期高齢者支援金等賦課額を計算します。


所得割:147万円×2.69%=3万9543円
均等割:1万6800円×1人(加入者数)=1万6800円
後期高齢者支援金等賦課額の合計額:3万9543円+1万6800円=5万6343円

2つの賦課額を合計すると、16万637円+5万6343円=21万6980円です。
 
確定申告をしなかった場合と比較して、国民健康保険料が6万2400円上がりました。配当所得を申告して所得が増えたことで、国民健康保険料が上がったことが分かります。
 

確定申告をして所得税の減税を受けるのとどちらがお得?

配当控除を受けることで、所得税や住民税が軽減される場合がありますが、適用したい場合は、総合課税を選択しなければなりません。申告不要制度を利用する場合、所得税では15%源泉徴収されることで納税が完結します。配当所得が60万円の場合、9万円が納税額となります。
 
確定申告をして配当控除の適用を受ける場合、配当控除額を所得税額から差し引くことができます。今回のケースでは株式の配当であるため税率は10%となり、配当控除額は、60万円×10%=6万円です。
 
それでは、所得税を計算してみましょう。年金と配当所得を合わせた所得は190万円となります。
 
所得控除を引き、課税所得金額を求めます。今回は分かりやすくするため、基礎控除のみとし、次のようになります。
 
190万円-88万円=102万円
 
課税所得に応じた税率をかけ、所得税を求めます。
 
102万円×5%=5万1000円
 
最後に所得税から配当控除額を差し引きます。
 
5万1000円-6万円=-1万1000円
 
所得税額から税額控除を引いた結果マイナスであることから、1万1000円が還付されることになります。
 
これまでの結果を踏まえると、配当所得を含めた確定申告をすると国民健康保険料は6万2400円増えますが、1万1000円の還付を受けられます。一方、確定申告不要制度を利用すると、配当所得から9万円を源泉徴収されます。このため、確定申告をしたほうがお得になることが分かりました。
 

確定申告で配当所得を申告する場合は国民健康保険料への影響も考えよう

今回のように、配当所得を申告して配当控除の適用を受けることで、所得税の還付を受けられますが、所得が増えることから国民健康保険料が増額するケースがあります。
 
また、国民健康保険料以外でも、所得が増えることにより、医療費の窓口での自己負担割合や自己負担限度額の負担区分にも影響が出る場合もあります。
 
年金の支給額や配当所得、自治体の保険料率によって一人ひとり異なるため、これらのことを考慮した上で、確定申告をするかしないかを判断しましょう。
 

出典

政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)
 
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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