「月5万円だからバレない」と自身で“確定申告”した会社員が、職場で「副業してますよね?」と呼び出され驚愕! 完璧に隠したはずなのにナゼ? 見落としがちな「住民税の仕組み」とは
「確定申告も自分で済ませたから、会社にはバレないはず」
このように考えていた会社員が、ある日突然、勤務する会社の総務担当者や人事担当者に呼び出されるケースがあります。理由は「住民税の金額が前年より増えている」というものです。
原因は副業で所得が増えたからですが、なぜ副業が住民税で発覚してしまうのでしょうか。社員の副業を、会社が把握する仕組みを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
会社員の住民税はどう決まっている?
会社員の住民税は、前年1年間(1月1日~12月31日)の所得を基に計算されており、翌年6月から給与天引き(特別徴収)によって徴収されます。
住民税の税率は、原則として一律「10%(所得割)+均等割(各自治体で異なる)」です。例えば、本業の給与所得が400万円の場合、概算で400万円×10%=40万円が年間の住民税額となります。
ここに、副業で得た収入が所得として加わると、住民税額が変わります。
月5万円の副業でも年間60万円の収入
「月5万円の少額だろう」と思いがちですが、年間では5万円×12ヶ月=60万円の収入となります。仮に経費がゼロであったとすると、この60万円が課税所得となり、税額計算に使われます。
住民税の税率は原則10%のため、60万円×10%=6万円となり、年間で6万円+均等割分の税額、月あたりにすると約5000円の住民税が副業分として増える計算になります。この差額が、会社に「住民税が合わない」と気付かれる原因になるのです。
なぜ会社に通知されるのか?
なぜ確定申告をすると、その情報が税務署から市区町村へ送られるのでしょうか。市区町村は、合算した所得を基に住民税を計算し、会社へ「特別徴収税額通知書」を送付します。
この通知書には、「総所得額」と「住民税額」が記載されています。会社側は、「給与所得から計算した住民税」と「通知された住民税額」を照合します。そこで大きな差額、特に住民税が増えていると、「給与以外の所得がある」と推測されるのです。
「普通徴収にすれば会社にバレない」は本当?
実は、確定申告書には「住民税の徴収方法」を選択する欄が設けられています。
ここで「自分で納付(普通徴収)」を選択すれば、副業分の住民税を自分で支払うことが可能です。自分で支払う場合は、年4回に分けて支払うか、一括で納付します。ただし、普通徴収にできるか否かは自治体で最終決定しており、条件に合わない場合は自動的に特別徴収として扱われます。
その場合は、勤務する会社へ本業と副業の住民税の合算額が通知され、会社側に副業収入の存在が発覚します。なお、会社員が副業で確定申告をした際に、副業で得た所得分の住民税を普通徴収にできる条件は、主に以下のとおりです。
・ほかの会社で特別徴収を受けている場合
・5月31日までに現職を退職する予定がある場合
・給与が毎月支払われていない場合
・給与が少なく、特別徴収できない場合
上記に該当すれば、個人住民税の普通徴収の「切替理由書」を、1月31日までに各市町村に提出する「給与支払報告書」と共に提出することで特例として認められます。
会社に内緒の副業は違法か?
副業することは、法律で禁止されているわけではありません。ただし、会社の就業規則で制限されている場合、会社の就業規則にのっとった処分が出る可能性があるため注意してください。
今回の問題点は、「税金の仕組みを知らずに、会社に隠せると思っていた」ことです。住民税は所得に連動しているため、年間60万円の副業収入があると約6万円の税負担が発生します。
お金の動きは、支払った側からも行政に申告がされるので、完全になかったことにするのは非常に困難です。
副業するなら知っておくべきポイント
副業で所得を増やす活動自体に違法性はなく、生活を豊かにするために良い取り組みです。しかし、以下のポイントを理解したうえで副業することをおすすめします。
・住民税は原則所得の10%で計算される
・1年間の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要
・確定申告時に普通徴収を選択しても、自治体の対応に差がある
副業を隠すよりも、会社の就業規則を確認し、税務上の処理を正しく理解することが重要です。
住民税は「副業の足跡」
「副業が月5万円なら会社にバレない」は思い込みです。月5万円でも年間では60万円の収入になるため、翌年の住民税は6万円程度増えることになります。本業の会社に副業が判明するのは、副業分の60万円を含めた住民税額が通知されることによるケースが最も多いでしょう。
税金にまつわるお金の記録は、データとして残ります。副業するなら、勤める会社のルールと所得額や税金の仕組みを理解してから活動することが、後々に後悔しないために大切です。
出典
総務省 個人住民税
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
