65歳の父が“年金生活”に…まだ60歳の母は「子どもの扶養」に入れるべき? 私は「年収500万円」ですが、手取りが“10万円増える”と聞きました。別居でも大丈夫なんですか? 条件を確認
本記事では、年収500万円の会社員が母親を扶養に入れた場合の節税効果と、押さえておくべき条件について解説します。
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目次
なぜ「父親の扶養」ではなく「子どもの扶養」に入れると得なのか
扶養控除とは、扶養する家族がいる人の税金負担を軽くするための制度です。この控除は、所得(収入)が多く、高い税率が適用されている人ほど節税効果が大きくなります。
父親が65歳で仕事をリタイヤし年金生活に入ると、現役時代に比べて収入が大きく下がります。年金収入のみになると、所得税や住民税が非課税、あるいはごく少額になるケースも少なくありません。
もともとの税負担が小さければ、母親の扶養控除を適用しても、節税効果は限定的です。一方、年収500万円の会社員である子どもは、一定額の所得税や住民税を納めています。
この子どもの税金計算に母親の扶養控除を適用することで、控除を有効活用し、実質的な手取り額を増やすことができるのです。
年収500万円の会社員が得られる節税効果は?
では、実際にどれくらいの節税になるのかをシミュレーションしてみます。60歳の母親を税法上の扶養に入れた場合、「一般の控除対象扶養親族(年齢が16歳以上19歳未満または23歳以上70歳未満の扶養親族を有する者)」となり、所得税で38万円、住民税で33万円の所得控除が受けられます。
年収500万円の会社員の場合、各種控除後の課税所得に対して、所得税率10%、住民税は10%として計算すると、所得税の節税額は「38万円✕10%=3万8000円」、住民税の節税額は「33万円✕10%=3万3000円」となり、合計7万1000円が節税できます。
健康保険でも扶養に入れればさらにお得に
さらに、母親が子どもの健康保険の扶養に入ることができれば、母親自身は国民健康保険料を支払う必要がなくなります。
仮に、母親が単独で国民健康保険に加入した場合、自治体や前年の所得にもよりますが、年間で約5~8万円の保険料がかかるケースが一般的です。これが「0円」になるため、先ほどの税金の節税額7万1000円と合わせると、10万円以上もお得になります。
母親を子どもの扶養に入れられる条件とは
母親を子どもの扶養に入れるためには、母親自身の収入に一定の制限があり、主に「税金上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つをクリアする必要があります。
・税金上の扶養: 母親の年間の合計所得金額が48万円以下であること(パートなど給与収入のみの場合、年収103万円以下が目安)
・健康保険上の扶養: 原則として母親の年収が130万円未満であり、かつ被保険者(子ども)の収入によって生計を維持していること。
健康保険上の扶養では、母親に収入がある場合、同居なら子どもの収入の半分未満、別居なら子どもからの仕送り額未満でなければなりません。
また、「扶養」と聞くと「同居していなければ扶養に入れられない」と思われがちですが、別居であっても条件を満たせば扶養に入れることは可能です。法律上は「生計を一にしていること」が要件となります。
別居している親と生計を一にしていると認められるためには、生活費や療養費として、親へ継続的に仕送りを行っている事実が必要です。その際は、手渡しではなく銀行振込など、客観的な記録が残る方法を利用することが重要です。
年末調整や確定申告で確認を求められる場合に備え、仕送り時の通帳の記録などを保管しておくと安心でしょう。
親の定年退職を機に世帯全体のキャッシュフローを見直そう
65歳の父親が定年退職して年金生活に入った際、60歳の母親を年収500万円の「働く子ども」の扶養に入れることで、子どもの所得税や住民税が軽減され、さらに健康保険でも扶養に入れることで年間10万円以上お得になる可能性があります。
収入が下がった父親側で扶養控除を使うよりも、高い税率が適用されている子ども側で活用したほうが、世帯全体で手元に残る現金を増やしやすくなるのです。
ただし、母親の年収条件や、別居時の仕送り実績など、満たすべき条件があります。親の定年をきっかけに、世帯全体のキャッシュフローを見直してみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
