年金月「12万円」の母に、毎月「5万円」仕送りしています。兄弟に「それだけ渡しているなら扶養に入れられるかも」と言われましたが、税金の面でメリットはあるのでしょうか?
そこで今回は、母親に仕送りをしている人が、その母親を扶養に入れた場合の税金面、特に所得税におけるメリットを解説します。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
仕送りしている親を扶養に入れるための条件とは?
仕送りしている親を扶養に入れ、所得税の控除を受けること自体は可能です。ただし、親の収入などが次の要件に合致している必要があります。
・仕送りしている納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が58万円以下であること
・青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
基本的に年金暮らしの母親であれば、先ほどの条件を満たすことで別居していても仕送りをしてくれている子どもの扶養に入れることができます。
なお、該当条件のうち、生計を一にしていることという条件については、必ずしも同居までは要件とされておらず、今回の事例のように、常に仕送り(生活費、療養費等の送金)が行われている場合には認められることがあります。
そして、親を実際に扶養に入れる際は、次回の確定申告や年末調整の際に親の生年月日、合計所得金額などを記載することで控除を受けることができます。その他の届け出などは基本的に必要ありません。
問題なのは年齢と年金額
ここで問題となるのは、母親が月12万円の年金を受給していることです。この収入を年換算すると144万円ほどの収入があることになります。
144万円の年収がある母親が控除対象扶養親族に該当するには、ここから公的年金控除を適用し、それにより合計所得金額が58万円以下である必要があります。この公的年金控除は、実は年金を受給している人の年齢が65歳以上であるか65歳未満であるかによって異なっています。
具体的にいうと、親の年齢が65歳以上である場合、控除額は110万円となります。そのため、34万円が所得金額となるため、扶養に入ることができます。
しかし、親の年齢が65歳未満である場合、所得金額は「年金収入×0.75-27万5000円」となり、80万5000円です。するとこれは、要件である58万円を超えてしまっており、扶養の対象から外れてしまいます。
そのため、年金暮らしの親を扶養に入れるには、年金受給額と親の年齢が重要な要素になるといえるでしょう。
税金面のメリットはどれくらいある?
親を扶養に入れる税制面のメリットは、控除によって税金が安くなるという点にあります。親の年齢が12月31日時点で70歳未満であれば、一般の控除対象扶養親族として扶養している方の所得控除の額が38万円増加します。70歳以上であれば、老人扶養親族(同居老親等以外の者)として48万円分控除が増加します。
なお、実際の税金額は、控除の額分そのまま小さくなるというわけではありません。なぜなら、親を扶養に入れることによって得られる控除額(扶養控除)は、税率をかける前の所得から控除される額であるからです。
参考までに、年収500万円程度で所得税の税率が5%、住民税の税率が10%の方が、同居していない70歳以上の親を扶養に入れたとき、どれくらい所得税と住民税が安くなるか計算してみましょう。この場合、所得税が2万4000円、住民税が3万8000円と、合計で6万2000円ほど税負担が軽くなる計算です。
まとめ
今回の事例では、母親の年齢次第で扶養に入れることができると考えられます。そうすることによって税負担が軽くなるというメリットを得ることができます。
ただし、扶養控除は控除額の分だけ税金が軽減される仕組みではありません。
親の扶養と税負担について、不明な点や疑問に思う点があれば、最寄りの税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめいたします。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1180 扶養控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1600 公的年金等の課税関係
執筆者 : 柘植輝
行政書士