自宅に「現金500万円」をタンス預金する父…“空き巣”に盗まれても、税務署の「本当にあったんですか?」を証明できないと“税金の補償”すら受けられない!? 雑損控除の対象外になる理由とは

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自宅に「現金500万円」をタンス預金する父…“空き巣”に盗まれても、税務署の「本当にあったんですか?」を証明できないと“税金の補償”すら受けられない!? 雑損控除の対象外になる理由とは
親が「500万円のタンス預金をしている」と聞いたとき、心配になる人は多いのではないでしょうか。万一、空き巣に入られた場合に、税金面や保険面で父親のお金が守られるかどうかは、事前に確認しておきたい問題です。
 
結論として、タンス預金の現金は、盗難に遭っても税制上の救済制度も民間保険の補償も、ほぼ機能しないと考えておく必要があります。
 
本記事では、盗難被害で税金を取り戻せる「雑損控除」の仕組み、タンス預金が対象外になる理由、そして火災保険による補償がどの程度かについて解説します。
高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級

盗難被害で税金を取り戻せる「雑損控除」とは?

家族が空き巣の被害に遭ったとき、確定申告を行うと所得税や住民税の負担が軽くなる制度があります。「雑損控除」とは、災害、盗難、横領によって生活に必要な資産が損なわれた場合に適用できる所得控除制度です。
 
控除できる金額は2種類の計算式のうち、金額が多いほうを適用します。計算式は「(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-総所得金額等×10%」または「(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円」です。
 
損失額が年間所得を上回る場合は、翌年以後3年間にわたって繰り越して各年分から控除できます。なお、雑損控除は年末調整では適用できないため、被害を受けた年分の確定申告が必要になります。
 

タンス預金が雑損控除の対象外になる理由

盗難による損失に雑損控除を適用するためには、被害を受けた資産が「生活に通常必要な資産」であるという条件を満たす必要があります。現金自体が控除の対象から除かれているわけではなく、盗難の事実を警察へ届け出て証明書類を取得するのが申告の前提となります。
 
問題となるのは、タンス預金には「自宅に現金があった」と証明できる客観的な記録が何もない点です。銀行の預金口座であれば通帳や取引データで金額を証明できますが、タンス預金には記録も証明書類も一切ありません。
 
税務署は、損害金額の事実を確認する立場にあるため、いくらあったかを示せなければ、500万円の損害を申告しても認められないのが実情です。
 

タンス預金は民間保険での補償も手薄

火災保険に盗難補償(家財対象)が付いていれば、空き巣による現金の盗難でも一定の補償を受けられます。ただし、現金・切手・印紙の盗難に対する補償上限は、多くの保険会社で1回の事故につき20万円に設定されています。
 
自宅に保管していたタンス預金の現金500万円が盗難被害に遭った場合でも、受け取れる保険金は最大20万円にとどまります。預貯金証書(通帳・キャッシュカード)が盗まれて現金を引き出された損害については上限200万円まで補償されるケースもありますが、現金そのものの盗難とは取り扱いが異なります。
 
また、火災によって現金が燃えた場合は盗難とは別の扱いとなり、火災保険の補償対象にもなりません。
 

まとめ

このように、タンス預金が盗難被害に遭った場合、税制上の救済制度である雑損控除や、民間の火災保険による補償は、実質的にほとんど機能しないのが現実です。
 
雑損控除は、盗難被害に遭った場合に税負担を軽くするための所得控除制度ですが、タンス預金はそもそも「自宅にあった」という事実を証明できないため、実務上控除を受けるのは難しくなります。
 
火災保険の盗難補償でも、現金に対する補償上限は多くの保険会社で20万円に設定されており、大きな金額を保護するには十分ではありません。親がタンス預金を続けているなら、万一の盗難リスクを具体的に伝えた上で、銀行預金などの安全な方法へ移すよう、一緒に検討してみましょう。
 

出典

国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
 
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

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