パートを増やし「年収100万→130万円」で“年収30万円”増! でも夫の会社の「家族手当」が、なぜか“月2万円”も減ってショック…結局「年24万円」働き損になったんですか? 注意点を解説
今年から「年収の壁」が178万円まで引き上げられ、もっと働いても大丈夫と判断した人もいたはずです。それなのに、なぜ年収が増えると家族手当がなくなってしまうのでしょうか。
本記事では、税制の「年収の壁」と会社の家族手当の支給基準について分かりやすく解説します。また、パートの収入を増やしたことで家族手当が消えてしまうケースのシミュレーションと、手取りを損しないために確認しておくべきポイントもあわせてお伝えします。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
税制の壁と会社の家族手当は「別物」
2026年から所得税の非課税ラインが178万円に引き上げられました。これは、給与収入が178万円以下であれば所得税がかからないという税制上の改正です。
一方、夫の会社から支給される家族手当は、企業が独自に就業規則で定める制度です。税制が改正されても、就業規則の改定は各企業の労使協議に委ねられるため、支給基準が自動的に見直されるわけではありません。
年収の壁である178万円だけをみて大丈夫と判断しても、夫の会社の家族手当の基準が以前のままであれば、年収が増えることで手当を失う可能性があるのです。
「30万円アップ」を世帯単位で試算してみると
年収100万円から130万円へ増やしたケースで、世帯単位の収入変化を単純計算で試算してみましょう。
ここでは、夫の会社から月2万円の家族手当が支給されており、配偶者の年収が103万円を超えると支給対象外となる就業規則があると仮定します。家族手当は年間では2万円×12ヶ月=24万円です。
パートを増やしたことによる収入の増加は30万円ですが、家族手当24万円が消滅するため、税金や社会保険料を考慮しない単純計算では、世帯単位でみたときの実質の収入増加はわずか6万円、月換算で5000円ほどになります。
パートを増やす前に確認すべきポイント
働き損を防ぐためにまず確認したいのが、夫の会社の家族手当の支給基準です。年収の壁をめぐる制度はここ数年で大きく変わり、2026年現在も見直しが続いている状況です。
税制改正を受けて家族手当の見直しを進める企業は実際に増えており、配偶者の収入制限を103万円とする事業所の割合は2016年の37.6%から2024年には20.4%に低下しています。夫の会社の就業規則も改定されている可能性があるため、最新の内容を確認しておくことが大切です。
その上で、家族手当の年間支給額と増やした収入の差額を比べ、社会保険料の負担増も含めて損得分岐点を試算してから判断すると良いでしょう。
まとめ
税制の壁と会社の家族手当は別物だという認識を持つだけで、働き損を防ぐ第一歩になります。
政府は2026年4月から社会保険の扶養判定方法を労働契約書ベースに変更するなど、働き控えが起きないよう柔軟な対応を進めています。一方で、家族手当の支給基準は各社の就業規則次第であることに変わりはありません。
収入を伸ばす前に、まずは夫の会社の就業規則で家族手当の支給基準を確認しましょう。自分では判断しにくい場合は、人事部に問い合わせるのも1つの方法です。
その上で、収入を大幅に増やしたい場合は、家族手当の消失と社会保険料の負担も踏まえた損益分岐点を計算し、それを超える収入を目指すことも選択肢に入れてみてください。
出典
財務省 令和8年度税制改正の大綱
厚生労働省 企業の配偶者手当の在り方の検討
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
