60代の友人に「子どもに月5万円の仕送り頼んで、現金で戻してる」と聞きビックリ! どうやら“仕送り実績”を作って「子どもの扶養」に入っているそうですが、税務署にバレたら罰金などあるでしょうか?
しかし、このような実態のない仕送りは税務上認められず、税務調査で発覚した場合には思わぬペナルティーを受ける可能性があります。本記事では、不適切な仕送り偽装のリスクと、国税庁が認める正しい仕送りの条件を解説します。
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目次
通帳の履歴だけでは隠せない「還流」のリスク
別居している親を子どもの扶養親族とするには、税法上「生計を一にしている」ことが求められます。これは、単に親子関係があるだけではなく、生活費や療養費などを継続的に負担している実態が必要です。
そのため、「通帳上だけ毎月5万円を子どもから受け取り、後から現金で返す」という方法では、実際には経済的援助を行っていないことになります。
仮に送金履歴が残っていても、その直後に親の口座から同額の現金が引き出されていたり、子どもの口座へ不自然な現金入金が繰り返されていたりすれば、税務署から実態を疑われる可能性があります。
税務署は、形式だけでなく、お金の流れの実態を重視して判断するため、送金記録だけを整えても十分とはいえません。
税務調査では資金の流れ全体が確認される
税務調査が行われた場合、税務署は必要に応じて預貯金の取引状況などを確認します。
仕送りを受けているはずの親の口座残高がほとんど変化していなかったり、送金された資金が生活費として利用された形跡が見られなかったりする場合には、「実際には扶養の実態がないのではないか」と判断される可能性があります。
また、送金額と同程度の現金が親の口座から定期的に引き出されている場合には、その資金の行方について説明を求められることもあるでしょう。
このように、通帳上の送金履歴だけではなく、資金がどのように使われたのかという実態まで確認される可能性があるため、形式だけを整える方法は大きなリスクを伴います。
不正が認定された場合のペナルティー
税務調査によって扶養の実態がないと判断された場合、適用されていた扶養控除が取り消されることがあるので注意が必要です。
例えば、70歳以上の親を扶養親族としていた場合、所得税では老人扶養親族(同居老親等以外の者)として48万円の所得控除が適用されます。この控除が取り消されると、子どもは本来納めるべきだった所得税や住民税を追加で納付しなければなりません。
さらに、隠蔽(いんぺい)や仮装を伴う悪質な不正申告と判断された場合には、ペナルティーとして重い「重加算税」が課される可能性が極めて高いでしょう。重加算税の税率は、新たに課される税金(本税)の35%(無申告だった場合は40%)と高く、家計へのダメージは計り知れません。
また、本来の納期限から遅れた日数分だけ「延滞税」が日割りで発生するほか、勤務先への年末調整の再年調(訂正手続き)が必要になり、会社に不正が知られてしまう精神的なリスクも負うことになります。
税務上認められる仕送りとは
税務署に認められる仕送りには、継続的な生活支援としての実態が必要です。
例えば、毎月一定額を銀行振込で送金している場合は、客観的な記録として有効な証拠になります。また、その資金が親の生活費や医療費、家賃、光熱費などに充てられていることも重要です。
反対に、年に一度だけまとまったお金を渡したり、手渡しだけで証拠が残らなかったりすると、扶養の実態を説明しにくくなる場合があるので気をつけてください。
なお、仕送り額について明確な基準はありませんが、親の収入状況や生活実態を踏まえて、生活を支えるための合理的な金額であることが求められます。
実態のない仕送りは大きなリスクを伴う
別居する親を子どもの扶養親族にするために、実際には生活費の援助をしていないにもかかわらず、通帳上だけ毎月5万円の送金実績を作り、後から親が現金を返すような方法は大きなリスクを伴います。
税務署は送金履歴だけでなく資金の流れ全体を確認するため、実態のない仕送りは税務調査で問題となるため注意が必要です。調査の結果、扶養控除が否認されれば、過去の税金を追加で納める必要が生じるだけでなく、加算税や延滞税が課されることもあります。
扶養控除を適用する際は、子どもからの銀行振込などの記録を残しながら、実際に親の生活を支えるための仕送りが継続して行われることが重要です。制度の趣旨を正しく理解し、実態に即した適正な申告を心がけましょう。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき
国税庁 No.9205 延滞税について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
