医療費控除の「領収書はいらない」は本当? セルフメディケーション税制との違いも確認
医療費控除には申告時に必要な書類があり、セルフメディケーション税制とは対象となる費用や条件も異なります。そこで本記事では、領収書の扱いと2つの制度の違いを確認します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
医療費控除で領収書の提出はいらないが、保管は必要
医療費控除で「領収書はいらない」といわれるのは、確定申告のときに領収書を添付したり、窓口で提示したりする必要がないという意味で、領収書そのものが不要になるわけではありません。
現在の医療費控除では、領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付します。そのため、病院や薬局の領収書は、明細書を作るための資料として必要です。
また、申告後に税務署から明細書の内容について確認を求められることがあります。その場合に備えて、領収書は確定申告期限等から5年間、自宅などで保管しなければなりません。
例えば、1年間に複数の病院へ通った人や、家族分の医療費をまとめて申告する人は、あとから金額を確認する機会が多くなります。病院や薬局の領収書は年ごとに封筒やファイルへまとめ、保管しておくと安心です。
医療費控除の申告には「医療費控除の明細書」を使う
医療費控除は、1月1日から12月31日までに、自分や生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に利用できる所得控除です。
控除額は、支払った医療費から保険金などで補てんされた金額を差し引き、さらに原則10万円を差し引いて計算します。総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%が基準になります。
申告時には、病院名や医療を受けた人の名前、支払った金額などを明細書に記入します。ただし、領収書1枚ごとに細かく書く必要はなく、「医療を受けた人」と「支払先」ごとにまとめて記入できるため、事前に領収書を整理しておくと作成しやすくなります。
また、健康保険組合などから届く「医療費通知」を添付する場合は、明細書の記入を一部省略できます。ただし、医療費通知に記載されていない月の医療費や、ドラッグストアで購入した治療用の医薬品代などは、自分で領収書を確認して記入する必要があります。
セルフメディケーション税制は市販薬の購入費が対象になる
セルフメディケーション税制は、市販薬のうち、対象となる特定のOTC医薬品を1年間に1万2000円を超えて購入した場合に使える制度です。1万2000円を超えた金額が所得から差し引かれ、控除額の上限は8万8000円です。対象にはスイッチOTC医薬品のほか、一部の非スイッチOTC医薬品も含まれます。
ただし、セルフメディケーション税制は誰でも使えるわけではありません。申告する本人が、その年に健康診断や予防接種、がん検診など、健康の保持や病気の予防に関する一定の取り組みを行うことが条件です。対象となる医薬品かどうかは、購入時のレシートに控除対象であることが記載されているかを確認すると判断しやすいでしょう。
また、一部の対象医薬品のパッケージには、セルフメディケーション税制の対象であることを示す共通識別マークが掲載されているため、購入時の目安になります。
医療費控除との大きな違いは、対象となる費用です。通常の医療費控除は、診療費や治療のための薬代、入院費、通院に必要な交通費などが対象になります。一方、セルフメディケーション税制は、主に対象医薬品の購入費に絞られます。
また、両方を同じ年に併用することはできません。セルフメディケーション税制を選択すると、通常の医療費控除は受けられません。通常の医療費控除を選んだ場合も、セルフメディケーション税制は使用できません。さらに、申告後に選択を変更できない点にも注意が必要です。
領収書を保管し、どちらの制度が有利か確認しよう
医療費控除の「領収書はいらない」は、“申告書に添付しなくてよい”という意味で、領収書やレシートを保管しなくてよいわけではありません。明細書の作成や税務署からの確認に備え、申告期限等から5年間は残しておく必要があります。
また、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないため、病院代や薬代を分けて集計し、控除額を比べることが大切です。自分に合う制度を選べるよう、領収書は年ごとに整理して保管しましょう。
出典
国税庁 医療費控除の明細書
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 令和7年分 確定申告特集 セルフメディケーション税制とは
国税庁 No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
