老後は「公的年金15万円+個人年金5万円」で“計20万円”もらえると思ってたら、個人年金から「税金が引かれる」!? 一括受け取りなら、少しは安くなりますか? 課税対象を確認
ただし、もらえる年金の「全額」に課税されるわけではありません。本記事では、個人年金保険に税金がかかる仕組みと、受け取り方によって変わる税金の違いについてFPが解説します。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
課税されるのは「利益」の部分だけ
個人年金保険を「年金形式(分割)」で受け取る場合、その収入は「雑所得」に分類され、所得税や住民税の対象となります。
ここで知っておきたいのは、受け取った年金の全額ではなく、「受け取った金額」から「自分が過去に払った保険料(元本)に対応する部分」を差し引いた、運用によって増えた利益部分のみが課税対象となる点です。
例えば、月5万円(年間60万円)受け取る個人年金で、そのうち4万円分(年間48万円)が自分の積立元本に相当するとします。
この場合、課税対象となるのは保険会社が運用して増やした差額の1万円(年間12万円)だけです。払い込んできた元本まで課税されるわけではないため、実際の税負担は受取額全体と比べると小さくなることがほとんどです。
なお、年金形式で受け取る場合は利益部分に対して源泉徴収(10.21%)が行われますが、その年の利益が25万円未満であれば源泉徴収はされません。
年金か一括か? 受け取り方で変わる税金のルール
個人年金保険は、受け取り方が「年金形式(分割)」か「一括」かによって、税金の計算方法が変わります。
年金形式で受け取る場合は「雑所得」となり、ほかの所得(公的年金など)と合算して計算される総合課税の対象です。一方、一括でまとめて受け取る場合は「一時所得」となります。
一時所得には、「50万円の特別控除」が用意されています。一括で受け取った際の利益が50万円以内であれば、所得税はかかりません。また、利益が50万円を超えた場合も、課税対象になるのは超過分の2分の1だけです。税金の計算だけを見ると、一括受け取りのほうが有利になるケースが多くあります。
ただし、年間の総所得額やほかの控除の状況によっても変わるため、どちらが有利かは一概には言えません。
なお、50万円の特別控除は、その年に受け取ったほかの一時所得(懸賞金や競馬の払戻金など)と合算した上で適用されます。
税金が安くても「一括」が常に正解とは限らない
所得税が安いからといって一括受け取りを選ぶことが、必ずしも得策とは言えません。
一括で大きな利益を受け取ると、その年の所得が増えるため、翌年の「国民健康保険料」や「介護保険料」が連動して上がる場合があります。
保険料の増加は数万円単位になることもあり、所得税で節約した分が社会保険料で相殺されてしまうケースも考えられます。また、一括で受け取ると、毎月一定額が振り込まれることで使いすぎを防ぐという個人年金本来のメリットも失われます。
まとめ
個人年金保険に税金がかかると聞くと、損をした気分になるかもしれませんが、課税されるのはあくまで「運用で増えた利益部分」だけです。
税金を少なくしたいからと一括受け取りを選ぶ場合は、翌年の社会保険料への影響や老後のライフプランも踏まえて判断するとよいでしょう。受け取りが始まる前に、保険会社から届くシミュレーションや案内を確認した上で、家庭に合った受け取り方を選んでください。判断に迷う場合は、FPや税理士に相談するのも1つの方法です。
出典
国税庁 No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金
国税庁 No.1490 一時所得
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
