年収500万円の会社員を辞めて個人事業主になったのですが、住民税+国保+個人事業税で合計120万円も請求がきました…。個人事業主ってこんなに税金が高いものなのでしょうか?

配信日: 2026.08.22
この記事は約 5 分で読めます。
年収500万円の会社員を辞めて個人事業主になったのですが、住民税+国保+個人事業税で合計120万円も請求がきました…。個人事業主ってこんなに税金が高いものなのでしょうか?
会社員から個人事業主になると、突然「税金や保険料が高くなった」と感じる人は少なくありません。理由の一つは、会社員時代には給与から少しずつ天引きされていた住民税や健康保険料を、自分で納めるようになることです。
 
ただし、「個人事業主なら年収500万円で必ず120万円」というわけではありません。住民税と国民健康保険料は前年所得の影響を受け、個人事業税は事業所得や業種によって決まります。まずは、それぞれ何を基準に請求されているかを分けて確認しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

独立直後は会社員時代の所得を基準にした負担が残る

会社員を辞めて収入が減ったとしても、住民税はすぐには安くなりません。
 
個人住民税の所得割は、前年の所得を基準に計算されます。たとえば、2025年に会社員として年収500万円を受け取り、2026年に退職して独立した場合、2026年度の住民税には2025年の給与所得が反映されます。
 
横浜市も、退職後に無職となった場合でも、退職した年に給与所得があれば、その所得に対する住民税が翌年に課税されると説明しています。
 
会社員時代は毎月の給与から住民税が天引きされているため、負担を意識しにくいものです。個人事業主になると、自治体から届く納付書で数万円から数十万円を自分で払うことになり、「急に税金が増えた」と感じやすくなります。
 
なお、個人事業主は自治体から届く納税通知書に基づき、原則として6月、8月、10月、翌年1月の年4回に分けて自ら納付することとなります。この方法は普通徴収と呼ばれ、一方で、サラリーマンなどの給与所得者が年12回に分けて給与から差し引き収める(天引き)方法は特別徴収と呼ばれます。
 
また、国民健康保険も同様に注意が必要です。保険料の具体的な計算方法は自治体によって異なりますが、所得に応じた部分などを合計して世帯単位で算定します。そのため、退職して現在の収入が少なくても、前年の所得が高ければ独立直後の国保負担が大きくなることがあります。
 
つまり、独立した年は「今の収入」と「前年の会社員時代の所得」がずれていることが、負担感を大きくする原因です。
 

個人事業税は売上ではなく事業所得などをもとに計算する

個人事業税は、個人事業主なら全員にかかる税金ではありません。
 
東京都主税局は、地方税法などで定められた70の法定業種が対象であると説明しています。飲食店業、物品販売業、広告業、請負業、デザイン業、コンサルタント業など多くの事業が含まれますが、業種によっては対象外になることもあります。
 
また、売上が500万円あったから500万円に税率を掛けるわけではありません。事業所得は原則として「売上などの総収入金額-必要経費」で計算します。
 
個人事業税には年間290万円の事業主控除があります。たとえば、対象業種で事業所得が500万円、ほかに調整項目がないケースなら、500万円から290万円を差し引いた210万円が計算の基礎になります。
 
この210万円に、業種ごとに定められた税率「3%~5%」を掛けます。畜産業や水産業、マッサージや柔道整復など一部をのぞき、多くの業種は5%とされています。
 
税率5%の業種なら、「210万円 × 5% = 10万5000円」が個人事業税です。ただし、個人事業税では所得税の青色申告特別控除がそのまま使えない点など、所得税とは計算方法が異なります。
 
なお、会社員を辞めて今年初めて開業したばかりなのに、すぐ「前年の給与500万円に対する個人事業税」がかかるわけではありません。個人事業税は事業から生じた所得をもとに計算されるため、請求対象になっている年の事業所得を確認しましょう。
 

120万円が高すぎるかは内訳を見ないと判断できない

住民税、国保、個人事業税で合計120万円という金額は、年収500万円だったという情報だけでは、高すぎるとも妥当とも断定できません。
 
たとえば、国保は住んでいる自治体、年齢、世帯人数、家族の所得などで大きく変わります。個人事業税も、事業所得が500万円なのか800万円なのかで税額が違います。
 
まず、120万円を一つの「税金」と考えず、住民税はいくら、国保はいくら、個人事業税はいくら、と分けましょう。そのうえで、それぞれがどの年の所得を基準に計算されたか確認します。
 
国保については、特別な事情で納付が難しい場合、自治体によって減免や納付猶予の制度を利用できる場合があります。資金繰りが厳しいなら、滞納する前に市区町村の国保窓口や税務担当へ相談しましょう。
 

まとめ

個人事業主になったから、年収500万円で必ず住民税・国保・個人事業税が120万円になるわけではありません。独立直後に負担が重く感じる大きな理由は、住民税や国保に会社員時代の前年所得が反映されることです。
 
また、個人事業税は対象業種の事業所得などに対して課税され、年間290万円の事業主控除があります。会社員時代の給与500万円そのものに個人事業税がかかるわけではありません。
 
独立すると、税金や保険料を会社が天引きしてくれなくなるため、売上をそのまま使えるお金だと考えると資金不足になりやすくなります。毎月、売上の一部を税金・社会保険用の口座へ移しておきましょう。120万円の請求が届いた場合も、まず内訳と対象年度を確認すれば、本当に高すぎるのか、独立直後特有の負担なのかを整理できます。
 

出典

横浜市 退職後の住民税は…
横浜市 納税の方法
東京都主税局 個人事業税
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集