高齢の母が通院のたびにタクシーを利用し、交通費は月「2万円」に。兄は「病院へ行くための交通費なら医療費控除に入る」と言いますが、年間「24万円」すべて対象になるのでしょうか?
通院に必要な交通費は、一定の条件を満たせば医療費控除の対象です。ただし、「病院へ行くために使った」という理由だけで、タクシー代がすべて対象になるわけではありません。
今回の記事では、高齢の母親が通院のために毎月2万円のタクシー代を支払っているケースを例に、年間24万円を医療費控除に含められるのか解説します。
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目次
通院のタクシー代は原則として医療費控除の対象にならない
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得から一定額を差し引ける制度です。本人だけでなく、「生計を一にする」配偶者や親族のために支払った医療費も対象になります。
国税庁によると、医師による診療や治療を受けるために直接必要な通院費は、医療費控除の対象です。そのため、病院までの電車代やバス代などは、通常必要な範囲であれば対象になります。
一方、タクシー代は扱いが異なります。国税庁は、電車やバスなどの公共交通機関を利用できない場合を除き、タクシー代は医療費控除の対象にならないとしています。
例えば、本人が問題なくバスに乗れるものの、「タクシーのほうが楽だから」という理由で利用した場合は、原則として対象になりません。「通院目的ならどのような交通費でも対象になる」と考えないよう注意が必要です。
高齢で電車やバスを利用できない場合はタクシー代も対象になるケースも
高齢者が通院にタクシーを使う場合、重要なのは年齢そのものではなく、公共交通機関を利用できない事情があるかどうかです。
国税庁は、病状からみて急を要する場合や、電車やバスなどを利用できない場合のタクシー代について、医療費控除の対象になるとしています。
例えば、足腰が弱っていて駅やバス停まで歩くことが難しい場合や、病状などから公共交通機関での移動が困難な場合は、タクシーを利用する必要性が認められる可能性があります。
したがって、母親が高齢という理由だけで年間24万円が自動的に対象になるわけではありません。利用時の身体の状態などを踏まえ、公共交通機関での移動が可能だったかどうかを確認する必要があります。
また、確定申告に備えて、タクシーの領収書を保管するとともに、利用日や通院先などを記録しておくと整理しやすいでしょう。
年間24万円が対象でも24万円すべてが控除額になるわけではない
仮に年間24万円のタクシー代がすべて医療費控除の対象になったとしても、24万円がそのまま控除額になるわけではありません。
国税庁によると、医療費控除額は、原則としてその年に支払った対象医療費から保険金などで補てんされた金額を差し引き、さらに10万円を差し引いて計算します。その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。
例えば、タクシー代24万円がすべて対象で、ほかの医療費や保険金などを考慮せず、差し引く金額が10万円なら、医療費控除額は「24万円-10万円=14万円」です。
なお、14万円がそのまま税金から戻ってくるわけではありません。医療費控除は所得から一定額を差し引く制度なので、実際に軽減される税額は所得や税率などによって異なります。
病院で支払った診療費など、ほかにも対象となる医療費があれば合算できます。タクシー代だけで判断せず、1年間の対象医療費をまとめて確認しましょう。
まとめ
通院に必要な交通費は医療費控除の対象になりますが、タクシー代は無条件に認められるわけではありません。公共交通機関を利用できない事情がある場合などに対象となります。
そのため、母親が年間24万円をタクシー代として支払っていても、全額が必ず対象になるとはいえません。一方、身体の状態などから電車やバスでの通院が難しく、タクシーが必要だった場合は対象になる可能性があります。
確定申告に備えて、領収書や通院日などを整理しておきましょう。判断が難しい場合は税務署や税理士などに具体的な事情を伝えて確認することも大切です。タクシーを利用した理由をひとつずつ確認し、対象になる費用を適切に申告しましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 病院に収容されるためのタクシー代
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
