住宅ローン控除で「所得税がゼロ円」になったのに、住民税は「年24万円」から「年17万円」にしか下がりませんでした。引ききれなかった分は、結局“まるまる戻ってくる”のではないのでしょうか?
年24万円だったものが年17万円になっただけで、思っていたほどは減っていないというケースです。
住民税から引ける金額には、二段構えの上限があります。ここでは7万円という差がどこから出た数字なのかを計算式で確かめ、上限に当たると何が起きるのかまで見ていきます。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
住民税から引けるのは、所得税で引ききれなかった分だけ
住宅ローン控除は、その年の年末のローン残高に控除率をかけた額を、まず所得税から差し引く仕組みです。令和4年以降に入居した場合の控除率は0.7%と決められています。
所得税から引ききれない額が残ったときは、その残りを翌年度の住民税の所得割から差し引きます。総務省によると、平成21年から令和12年12月31日までの間に居住した人が対象で、市区町村への申告は必要ありません。
会社員なら、5月から6月ごろに勤務先から渡される住民税の決定通知書で、実際に引かれた額を確かめられます。なお、年をまたいで反映されるため、所得税が戻った年と住民税が下がる年がずれる点にも注意が必要でしょう。
ここで押さえておきたいのが、住民税から引けるのは「控除の枠まるごと」ではなく、「所得税で使いきれずに残った分」だという点です。この2つを混同すると、住民税はもっと下がるはずだと感じてしまいます。
24万円が17万円になった7万円は、どこから出た金額か
年末のローン残高が2550万円、住宅ローン控除を差し引く前の所得税が年10万8500円だったケースで見ていきます。
・2550万円×0.7%=17万8500円(その年の控除額)
・17万8500円-10万8500円=7万円(所得税から引ききれなかった額)
・24万円-7万円=17万円(差し引いたあとの住民税)
住民税が7万円下がったのは、この所得税から引ききれなかった残りの7万円が引かれたためです。控除額17万8500円のうち、10万8500円は所得税が0円になる形で、7万円は住民税が減る形で戻っている計算になります。
つまり、このケースでは、引ききれなかった分は全額戻っているわけです。減り方が小さく感じるのは、住民税から戻るのは控除額の17万8500円ではなく、残りの7万円だからにほかなりません。
上限の9万7500円に当たる人は、何を確かめればよいか
ただし、残った額がいくらでも引けるわけではありません。住民税から引ける額には、前年分の所得税の課税総所得金額等の5%で9万7500円を限度とする上限があります。
・195万円×5%=9万7500円(上限が9万7500円になる分かれ目)
・12万円-9万7500円=2万2500円(残りが12万円だった場合に使えない金額)
課税総所得金額等が195万円以下なら、5%で計算した額のほうが小さくなるため、上限もその分だけ下がります。共働きで住宅ローンをそれぞれの名義で組んでいる場合は、この上限も一人ずつに当たると考えてよいでしょう。
確かめ方はむずかしくありません。年末調整や確定申告の書類にある「住宅借入金等特別控除可能額」と「所得税額」を見比べ、その差が上限を超えていないかを見ておくとよいでしょう。
まとめ
住宅ローン控除は、所得税から引き、引ききれない分を住民税から引くという順番で使う制度です。住民税に回るのは控除額そのものではなく、所得税で使いきれなかった残りにあたります。
さらにその残りにも、課税総所得金額等の5%、最高9万7500円という上限が設けられています。超えた分は翌年に繰り越せません。控除の枠が大きい人ほど、住宅借入金等特別控除可能額と所得税額の差に目を通しておくことをおすすめします。
出典
国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
総務省 新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります。
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士

