定年後の“再雇用”で「月収45万→28万円」に下がった父。7月の給与明細を見て「住民税が前と同じ3万円のまま」と驚いていますが、収入が減っても“税金は減らない”のでしょうか?
住民税は、いま受け取っている給与ではなく前の年の所得をもとに計算します。本記事では、この1年でいくら納めるのか、翌年度はどこまで下がるのかを計算式で示します。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
住民税は前年の所得をもとに計算する
住民税がかかるのは、その年の収入ではなく前年1年間の所得です。
東京都主税局は、所得割は「前年の所得金額に応じて課税されます」と説明しています。税率は、都民税4%と区市町村民税6%を合わせた10%です。会社員の場合、決まった税額は給与から天引きされ、6月から翌年5月までの12回に分けて差し引かれます。
令和8年(2026年)7月の給与から引かれている住民税は、令和7年(2025年)の所得にもとづく金額です。月収45万円で働いていたころの所得が、1年遅れで請求されている形になります。
月3万円が12回続くと、1年で36万円になる
まず、この1年で納める総額から確かめます。
・3万円×12=36万円(令和8年度に納める住民税)
この36万円は、月収45万円だった前年の所得ですでに決まっている金額です。月収が28万円に下がっても、年度の途中で安くなることはありません。収入が減った実感とのずれが、給与明細への驚きにつながります。
では、来年はいくらになるのでしょうか。翌年度の住民税は、下がったあとの今年の年収で計算し直されます。
・28万円×12=336万円(今年の年収)
会社員の所得は、年収から給与所得控除を引いて求めます。国税庁の速算表にあてはめると、給与所得は前年が388万円、今年は227万2000円で、差は160万8000円です。住民税の所得割は所得のおよそ10%なので、この差の10%分だけ税額が軽くなる仕組みです。
・160万8000円×10%=16万800円(軽くなる所得割)
・36万円-16万800円=19万9200円(令和9年度の住民税の目安)
年36万円が20万円ほどまで下がる計算で、月に直すと3万円の天引きが1万6600円ほどに軽くなります。ただし、社会保険料や生命保険料などの控除額で結果は動くため、一律にこの金額になるとは言い切れません。
収入が下がっても、住民税を減らしてもらうことはできない
税額は前年の所得で確定しているため、今年の収入が下がったことを理由に下げてもらうことはできず、安くなるのは翌年度からです。
もう1つ気をつけたいのが、再雇用の期間が終わって退職するときの扱いです。大阪府は、1月1日から4月30日までに退職した場合、本人の申し出がなくても5月31日までに支払う給与または退職手当等から一括徴収することになっていると説明しています。
年度末の近くで辞めると、残りの数ヶ月分が最後の給与からまとめて引かれ、手取りがこれまでより減ります。退職の時期を決める前に残額を確かめておくと安心でしょう。
まとめ
収入が減ったのに住民税が下がらないのは、前の年の所得で計算し課税されるからです。月収が45万円から28万円になっても、令和8年度に納める住民税は3万円×12=36万円のまま変わりません。
下がるのは令和9年度からで、試算では年19万9200円ほどが目安です。控除の中身で動くため、実際の金額は6月に届く通知書で確かめるとよいでしょう。
再雇用の期間が終わるときは、退職の時期によって残額が一括で引かれます。最後の給与を見込むときは、住民税の残りもあわせて確認しておくことをおすすめします。
出典
東京都主税局 個人住民税
大阪府 個人住民税の特別徴収について
国税庁 No.1410 給与所得控除
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
