「給付金が振り込まれる!」とマイナンバーに紐づけた公金受取口座を確認したら残高ゼロ!? 過去の“税金未納”がバレて、給付金ごと全額差し押さえられることもあるのでしょうか?
そこで本記事では、これらについて法律を参照しながら解説します。本記事を読むことで税金の滞納処分や猶予について理解が深まると思います。ぜひ最後までお読みください。
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
税金を滞納したら給付金は差し押さえられるのか?
国税徴収法では国税(所得税や相続税など)の滞納処分として、財産の差押えを挙げており、同法第47条で以下のように規定しています。
第47条 次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
この「財産」について、国税徴収法基本通達では「差押えの対象となる財産は、金銭的価値を有するものでなければならない」としながら、以下の点に留意することとしています。
金銭又は物を第三者に給付することを請求する債権は、納税者にとって金銭的価値を有しないから、差押えの対象とならない。ただし、これらの債権が債務不履行等により納税者の損害賠償請求権となった場合には、差し押さえることができる。
ここから、国税が未納であっても給付金を請求する権利は差し押さえられないことが読み取れます。つまり、給付金を受け取ることはできるといえます。
また、地方税の滞納処分については、税金ごとに、地方税法に規定があります。例えば市民税の滞納処分については、地方税法331条に以下の規定があります。
第331条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
地方税の徴収にも国税徴収法の規定が準用されるため、財産の差し押さえについても国税徴収法の解釈を適用します。つまり、地方税が未納であっても給付金を請求する権利は差し押さえられず、給付金を受け取ることはできるといえます。
給付金が振り込まれた口座は給付金ごと全額差し押さえられるのか?
給付金を受け取ることはできますが、預貯金口座に入っているお金は差し押さえの対象です。つまり、口座に振り込まれた給付金は、差し押さえのタイミングによりますが、もともと入っていたお金と一緒に差し押さえられることを意味します。
差し押さえを免れるためには、税金の未納を解消(納付)するか納税が猶予されるしかありません。国税の納税猶予については、国税通則法に以下の規定があります。
第46条 税務署長は、震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により納税者がその財産につき相当な損失を受けた場合において、その者がその損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税で次に掲げるものがあるときは、政令で定めるところにより、その災害のやんだ日から2月以内にされたその者の申請に基づき、その納期限から1年以内の期間を限り、その国税の全部又は一部の納税を猶予することができる。
国税の納税猶予は、災害による大きな損失を受けた場合に限られることが分かります。
地方税の納税猶予については、地方税法に以下の規定があります。
第15条 地方団体の長は、次の各号のいずれかに該当する事実がある場合において、その該当する事実に基づき、納税者又は特別徴収義務者が当該地方団体に係る地方団体の徴収金を一時に納付し、又は納入することができないと認められるときは、その納付し、又は納入することができないと認められる金額を限度として、その者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、その徴収を猶予することができる。
一 納税者又は特別徴収義務者がその財産につき、震災、風水害、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかったとき。
二 納税者若しくは特別徴収義務者又はこれらの者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したとき。
三 納税者又は特別徴収義務者がその事業を廃止し、又は休止したとき。
四 納税者又は特別徴収義務者がその事業につき著しい損失を受けたとき。
五 前各号のいずれかに該当する事実に類する事実があつたとき。
地方税の猶予は、災害のほか病気やけが、事業の廃止や著しい損失を受けた場合に限られます。
このことから、納税の猶予は相当の理由がなければ適用を受けることができないといえます。とはいえ、どうしても困った場合は、滞納している税金を納める税務署の窓口で相談し、助言を求めるようにしましょう。
まとめ
本記事では、「税金を滞納したら給付金は差し押さえられるのか?」「給付金が振り込まれた口座は給付金ごと全額差し押さえられるのか?」について解説しました。ポイントをまとめると、以下のとおりです。
・税金を滞納すると滞納処分として財産を差し押さえられる
・差し押さえられる財産は「金銭的価値を有するもの」に限られる
・給付金を請求する権利は「金銭的価値を有するもの」に該当しないため、給付金自体は差し押さえられない
・口座は差し押さえの対象
・給付金が口座に振り込まれたあと差し押さえがあった場合は、給付金ごと全額差し押さえられることになる
税金の滞納処分を厳しいと感じるかもしれませんが、税金は納めなければならないものです。諸般の事情により税金を納めることが困難である場合には、そのまま滞納するのではなく、早い段階で税務署に相談に行き、助言を求めるようにしましょう。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 国税徴収法
国税庁 国税徴収法基本通達
デジタル庁 e-Gov法令検索 地方税法
デジタル庁 e-Gov法令検索 国税通則法
国税庁「納税に関する総合案内」
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー
