「年末調整なんて毎年同じでいい」と適当に出している同僚。実はルール変更を知らないだけで、毎年“数万円の税金”を余分に払っている!? 絶対に見直すべき「申告漏れ」とは?

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「年末調整なんて毎年同じでいい」と適当に出している同僚。実はルール変更を知らないだけで、毎年“数万円の税金”を余分に払っている!? 絶対に見直すべき「申告漏れ」とは?
会社員の方は、毎年10月~11月頃に社内の担当部署から、年末調整書類の提出、またはオンライン上での入力を行うよう、連絡があるのではないでしょうか。
 
「ああ、今年も来たか。面倒くさいなあ」
筆者を含め一度でもこのように思った方は少なくないことでしょう。
 
しかし、近年では年末調整に関する改正が毎年のように行われており、内容も複雑になってきています。とはいえ、適当に処理していると、必要以上に税金を多く払うことになりかねません。
 
そこで、年末調整で失敗して、税金を払いすぎないようにするための注意点について、本記事で解説します。
酒井 乙

CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。  
 
長期に渡り離婚問題に苦しんだ経験から、財産に関する問題は、感情に惑わされず冷静な判断が必要なことを実感。  
 
人生の転機にある方へのサービス開発、提供を行うため、Z FinancialandAssociatesを設立。 
 

年末調整で税金が還付される?

年末調整とは、毎月の給与や賞与などの収入から天引きされている所得税額を、本来あるべき税額に一致させる、税金の精算手続きのことです。
 
何もこのような精算手続きをしなくても、最初から正しい所得税額を天引きしてくれればよさそうですが、実際の所得税額は年間で計算されるうえ、年末まで税金の徴収を待っていると、税額計算の事務負担がその時期に集中して処理が大変になります。
 
そこで、その月の給与等や扶養親族の数に応じた仮の所得税を給与から天引きし、本来あるべき所得税額との差額を年末調整によって精算する、という方法がとられているのです。
 
なお、天引きされた所得税額が本来あるべき所得税よりも多ければ、差額が還付されます。
 

年末調整を適当に済ませるとどうなる?

年末調整では、主に以下の書類を提出します。
 
1. 扶養控除等(異動)申告書
勤務先の会社から給与を受けている方が扶養する家族や親族について申告するための書類です。該当する扶養家族がいると、その分税額を少なくすることができます。
 
2. 基礎控除申告書(兼配偶者控除等申告書、兼特定親族特別控除申告書、兼所得金額調整控除申告書)
その年の合計所得金額が2500万円以下の人であれば、誰でも受けることができる控除額を申告するための書類です。所得の額に応じて、最高で104万円の控除が受けられます(※1)。これも、税額を少なくすることができる大切な書類です。
 
3. 保険料控除申告書
生命保険や介護保険、地震保険など控除対象となる保険に加入している方は、この書類にその年に支払った保険料を記入することで、税額を少なくすることができます。
 
4. 住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローンを借りてから2年目以降に年末調整で提出します。ローン残高等に一定の率を掛けて算出した控除を受けるための書類です。
 
言い換えると、これらの書類は天引きされた所得税を精算し、還付額を増やすことができるものです。しかし、それはあくまで、納税者である私たちが必要な事項を正しくきちんと入力すれば、の話です。
 
裏を返せば、入力すべき事項を入力しなかったり、面倒くさいからといって去年と同じ数字をコピーしたりした場合は、あるべき額よりも多い税金を支払うことにつながりかねません。
 

年末調整のルールは毎年変わる?

年末調整に関する税制改正は毎年のように行われています。例えば令和8年では、主に次の改正があります。これらは、年末調整の申告漏れを防ぐためにも、押さえておきたいポイントです。
 
・基礎控除の引き上げ
例えば、年収が206万円超475万1999円以下の方は基礎控除額が88万円から104万円に引き上げられました(※1)。
 
・給与所得控除の最低保障額の引き上げ
65万円の最低保障額が74万円に引き上げられました(※1)。
 
・特定親族特別控除の創設
これは1年前(2025年の改正時)に導入済みですが、注意が必要な点ですので記載します。
 
特定親族とは、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族等で、給与収入だけの方であれば、1年間の収入が136万円超197万円以下の方が該当します(※1)。つまり、ある程度の収入がある大学生のお子さん、というイメージです。
 
2024年以前は、このようなお子さんは控除の対象ではありませんでしたが、改正後はお子さんの収入の額に応じて、3万円から63万円までの控除を、扶養者が受けることができます。
 
・扶養親族等の所得要件の改正
前述の特定親族を含め、扶養控除等の対象となる扶養親族や配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得要件が引き上げられました。つまり、これまで配偶者や子の収入によっては控除の対象ではなかった人も対象になる可能性があります。
 

特に気を付けたいポイントとは?

ここでは、年末調整で特に気を付けるべき代表的なポイントを解説します。
 
1. 新たに控除対象扶養親族になった家族や親族はいないか?
年齢や収入(所得)によって、控除の対象になった親族がいれば、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に記載します。しかし、記入漏れがあると、受けられるはずの控除を漏らすことにもつながります。
 
例えば、新たに16歳以上になった子(学生、収入なし)がいるのに、申告書に記載しなければ、それだけで年間38万円の控除を漏らすことになります。これは、扶養者の所得税率が20%、住民税率が10%とすると、年間で38万円×20%+33万円×10%=10万9000円も多く税金を払うことになります。
 
2. 基礎控除を合計所得金額の見積額に応じて正しく記載しているか?
基礎控除はかつて誰でも一律同じ額でしたが、2020年以降は所得金額に応じた段階性となりました。当初は4段階でしたが、2026年は所得段階が9段階、基礎控除額は6区分と細かくなっています(※2)。ご自身の年収や所得に応じた基礎控除の額を、正しく基礎控除申告書に記載するようにしましょう。
 
3. 新たに加入した生命保険や医療保険、地震保険はないか?
もし、該当するようであれば年末調整の直前頃に、保険会社より控除証明書が届いているはずです。これは生命保険料控除や地震保険料控除を保険料控除申告書に記入するための大切な書類です。保険の加入初年度は特に慣れていないので忘れやすいポイントです。届いた書類を元に、しっかり申告しましょう。
 
また、住宅ローンを借りた人は、初年度は確定申告で住宅ローン控除を申告しますが、2年目以降は年末調整で行いますので、これも金融機関から届いた証明書をしっかり保管しておき、住宅借入金等特別控除申告書へ記入してください。
 

年末調整は、時間をかけて取り組むべき?

ここまで、年末調整の申告漏れが税金の過払いにつながることについて解説しました。
 
改正内容が複雑化していることから、年末調整の書類記入はとても面倒に感じる方も多いと思われますが、それでも、税金の過払いを防ぎ、かつ税金の還付につなげることができる、とても重要な手続きであることには変わりありません。
 
くれぐれも昨年と同じ内容を書き写すことのないよう、申告書の記載項目一つ一つについて、新しく該当する項目はないかを、時間をかけてチェックしておくことをお勧めします。分からないことがあれば、社内の担当者や、国税庁のホームページ(従業員向けのページがあります。※3)を参考にして、逐次調べるようにしてください。
 

出典

(※1)国税庁 源泉所得税の改正のあらまし 令和8年4月
(※2)国税庁 令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書
(※3)国税庁 給与所得者(従業員)の方へ(令和7年分)
 
執筆者 : 酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。

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