父が“白内障の手術”で「両目60万円のよく見えるレンズ」を選択→「高額療養費があるから大丈夫」と思ったのに、レンズの60万円は“対象外”と言われ仰天! 医療費控除でも戻らない? 選定療養の仕組みを確認

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父が“白内障の手術”で「両目60万円のよく見えるレンズ」を選択→「高額療養費があるから大丈夫」と思ったのに、レンズの60万円は“対象外”と言われ仰天! 医療費控除でも戻らない? 選定療養の仕組みを確認
「高額療養費があるのだから、いくらかかっても上限までで済む」と思っている人もいるのではないでしょうか。
 
しかし白内障の手術でよく見えるレンズを選び、両目で60万円を足したところ、請求書ではその60万円だけが別に記載されていた、というケースもあるようです。ここでは、レンズの差額が高額療養費の計算に入らない理由を整理し、ふつうのレンズを選んだときとの差と、医療費控除に入れられる部分を計算式で確かめます。
高橋祐太

2級ファイナンシャルプランナー技能士

レンズの差額は「選定療養」で全額が自己負担

厚生労働省は、令和2年4月から、白内障の手術で眼鏡装用率の軽減効果を有する多焦点眼内レンズを使うときは、その軽減にかかる費用に相当する部分を患者から徴収できること、としました。手術そのものには健康保険がきき、レンズの差額と、そのために必要な検査の費用を「特別の料金」として自費で払う形です。
 
同じ通知では、費用を徴収した医療機関は、保険外併用療養費の一部負担にあたる額と、特別の料金にあたる自費負担の額を明確に区分した領収書を交付するものとされています。請求書でレンズ代だけが別に記載されるのは、この区分によるものです。
 

ふつうのレンズとの差はいくらか

ここでは、保険がきく部分の医療費を片目15万円、窓口の負担を3割とします。多焦点レンズの特別の料金は片目30万円として計算します。

・15万円×0.3=4万5000円(片目の窓口負担)
・4万5000円×2=9万円(両目の窓口負担)
・30万円×2=60万円(両目ぶんの特別の料金)
・9万円+60万円=69万円(両目の合計)

保険がきく部分はどちらのレンズでも同じで、差がつくのはレンズの料金だけです。
 

高額療養費に入るのは保険がきく部分だけ

全国健康保険協会は、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費などの自己負担額は高額療養費の対象にならないとしています。レンズの60万円は、この差額部分になります。
 
70歳未満で年収が約370万円から約770万円なら、高額療養費の令和8年8月診療分から1ヶ月の上限額は次の式で決まります。両目を同じ月に手術を受け、保険がきく部分の医療費が30万円だったとします。

・30万円-28万6000円=1万4000円
・1万4000円×1%=140円
・8万5800円+140円=8万5940円(1ヶ月の上限額)
・9万円-8万5940円=4060円(戻る額)

保険がきく部分だけでは上限にほとんど届かず、戻るのは4060円です。60万円はこの計算に入りません。
 

医療費控除には入れられる

国税庁は、医療費控除の対象になる医療費として、医師または歯科医師による診療または治療の対価をあげています。レンズの差額と検査の費用は、手術のときに医療機関へ払う費用です。
 
その年の医療費が69万円で、保険金などで補てんされる額がなく、所得税率が10%の人を例に計算します。

・69万円-10万円=59万円(医療費控除の額)
・59万円×10%=5万9000円(減る所得税)

課税所得が減るぶん、住民税も軽くなります。判断に迷うときは、区分された領収書をもって所轄の税務署に確認するとよいでしょう。
 

手術の前に眼科で確かめること

特別の料金は医療機関ごとに決めるもので、通知では、制度の趣旨と料金を院内の見やすい場所に掲示し、費用を説明したうえで、文書で同意を得ることとされています。
 
手術前に確認するべきなのは、掲示されている金額が片目あたりか両目あたりか、検査の費用が含まれるか、両目を同じ月に受けるかどうかの3つです。
 

まとめ

白内障の手術で多焦点眼内レンズを選ぶと、手術には健康保険がきき、レンズの差額は選定療養の特別の料金として全額が自己負担になります。この差額は高額療養費の計算に入らないため、上限額を超えても戻りません。
 
一方で、医療費控除には入れられます。手術の前に、掲示されている料金が片目あたりかどうかと、領収書の区分を眼科の窓口で確かめておくとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
 
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士

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