更新日: 2019.12.05 確定申告
確定申告で会社に副業がばれてしまう?副業している会社員の確定申告の手続きとは
執筆者:大堀貴子(おおほり たかこ)
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員
2008年南山大学法学部法律学科卒業後、大手証券会社で、営業として勤務。主人のタイ赴任がきまり、退社。3年間の在タイ中、2人をタイで出産、子育てする。本帰国後、日本で3人目を出産。現在、3人の子育てと長女の国立小学校受験に奮闘中。子供への早期教育の多額の出費、住宅ローン、子供の学資資金、また老後資金準備のため、いろいろな制度を使って、資産運用をしています。実際の経験を踏まえた、お金に関する、役立つ情報を発信していきたいと思います。
副業が発覚するきっかけとは?
副業をしたくても、会社に副業していることを知られたくない、という人もいるでしょう。「会社の就業規則で副業が禁止されている場合に副業が判明すると懲戒となる可能性もあってバレたくない」「副業禁止されていなくても周りには知られたくない」などの事情がそれぞれあります。
副業が会社に判明する原因に、「住民税の決定通知書」があります。住民税は、前年度の所得を基に地方自治体が会社に住民税の決定通知をし、6月頃に従業員の給与から天引きされていきます。
つまり、給与所得者の場合、住民税の決定通知書が会社に送付されることで、その金額をきっかけに副業収入があることが発覚してしまう可能性があります。
住民税決定通知書によって副業収入が発覚しないようにするためには、税金の納付方法で「自分で納付」を選択しましょう。
所得税・住民税申告時の確定申告書2枚目に「自分で納付(普通徴収)」「給与から差し引き(特別徴収)」と納付方法が選択できる欄があるので、「自分で納付」にチェックします。そうすれば、会社に送付される決定通知書には副業分の住民税が反映されません。
20万円以下の雑所得・事業所得は確定申告不要?
副業が雑所得や事業所得の場合、「収入-経費=利益(課税所得)が、20万円超になった場合」所得税の確定申告が必要になります。
雑所得の一例として、ポイントサイトのアンケートや広告閲覧によるポイント受け取り(ポイントを使用・現金に交換した時点で計上)、ブログを立ち上げて広告を貼ることで得られるアフィリエイト収入、クラウドソーシングによる記事作成やシステム・アプリ開発などがあります。継続的にある程度の収入があれば事業所得となります。
注意したい点としては、課税所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要になります。申告期限は3月15日までとなります。
なお、課税所得が年間20万円超となり所得税の確定申告をする場合は、別途住民税の確定申告をする必要はありません。所得税の確定申告をすれば、その情報が地方自治体にも送付されます。
確定申告の手続方法
では、確定申告をする際、どのような作業が必要になるのでしょうか。確定申告の手順をみていきましょう。
1. 副業がどの所得に当たるか確認
まずは、自分が副業で得ている収入がどの所得に当たるかを確認します。
・給与所得:パート・アルバイト・日雇い
・事業所得・雑所得:アフィリエイト、クラウドソーシング、ハンドメイド品販売、UberEats配達、広告収入、覆面調査、ポイントサイトのポイント収入等(事業所得の損失は、給与所得と損益通算できる)
・不動産所得:家賃収入(不動産所得の損失は給与所得と損益通算できる)
・申告分離課税の雑所得:FX・先物取引等の所得は他の所得と合算せずに、20.315%課税
・譲渡所得・配当所得:株式・投資信託の利益は特定口座の源泉徴収を選択すると確定申告は不要
2.税務署に提出する書類を収集
税務署に提出するための書類を用意します。帳簿の他、経費にするための領収書、医療費控除や住宅ローン控除(初回のみ)など同時に申告をする書類も集めておきましょう。
3. 申告書を作成、提出
集めた書類を基に、申告書へ申告内容を記入します。記入した申告書は2月16日~3月15日頃の確定申告期間中に税務署へ提出します。申告書は国税庁ホームページや税務署で手に入れることができますが、おすすめはe-Taxと呼ばれる、インターネットでの確定申告です。
確定申告時期は、税務署が大変混み合います。通常、確定申告は確定申告書を管轄税務署に持参もしくは郵送して提出しますが、e-Taxならインターネットで確定申告ができます。
会計ソフトで確定申告データを作成していれば、そのまま利用することも可能です。分からないときは、電話で税務署に申告の仕方を詳しく聞くことができるので安心です。
青色申告にして「青色申告特別控除」を受ける場合は、管轄の税務署へ開業が1月16日以降であれば開業から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請手続」をします。以前から開業していた、もしくは開業日が1月15日以前であれば、青色申告しようとする年の3月15日までに手続きが必要です。
もし、副業したらどれくらい税金がかかるの?
副業の所得税は本業の給与所得も含めた合計額に対して課税されます。確定申告により、所得税を払い過ぎていれば還付されますが、不足している場合は不足分を支払う必要があります。
例えば、給与所得が400万円、経費を引いた後の副業収入が50万円だとすると合計所得は450万円。所得税は450万円×20%−42.75万円=47万2500円となります。
すでに会社で給与所得分の400万円×20%−42.75万円=37万2500円は支払っているため、47万2500円−37万2500円=10万円を確定申告時に支払う必要があります。
副業をした場合は確定申告をしよう
副業が20万円以下の収入でも住民税の申告が必要です。会社に副業収入を知られたくない場合は、確定申告時に「自分で納付(普通徴収)」にチェックしましょう。
確定申告は、e-Taxでの申告がおすすめです。入力して添付するだけの会計ソフトも充実しているので、所得が多く帳簿の付け方が分からない方は会計ソフトに頼るのも手ですよ。
なお、確定申告する必要があるのに、申告しなかった場合は、無申告加算税・重加算税(悪質である場合)・延滞税が加算されるので、必ず申告しましょう。
執筆者:大堀貴子
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員