更新日: 2020.05.22 その他税金

5月以降は給与の手取りが少なくなる? 新入社員が知っておきたい天引きのこと

5月以降は給与の手取りが少なくなる? 新入社員が知っておきたい天引きのこと
新入社員は、2年目から住民税が引かれて給与の手取りが少なくなる。これはよくいわれる話で、ご存じの方も多いと思います。ところが、実は1年目の5月にも手取りが減ることがあり、新入社員の中には驚かれる方もいるかしもしれません。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

手取り? 額面? まずは表現方法をチェック

給与について「手取り」とか「額面」などとさまざまに表現されることがあります。「額面」とは、いわゆる総支給額のこと。会社があなたに支払う給与の総額です。
 
それに対して「手取り」とは、額面から所得税などが差し引かれた後の、実際に手元に残る給与です。一般的に、所得税や社会保険料は給与から天引きして支払われるため、手取り額は額面に比べて小さくなります。

●額面から引かれるものって何がある?

給与から引かれる税金や社会保険料には、次のようなものがあります。
・所得税(※1)
・住民税
・厚生年金保険料(※2)
・健康保険料(※3)
・介護保険料(40歳以上の場合)
・雇用保険料
 
上記のほか、会社によっては独自の福利厚生費などが差し引かれることもあります。

新入社員の給与の手取りが5月分から減るのはなぜ!?

新入社員が5月分の給与を確認すると、4月分の給与と比べて手取り額が減っている場合があります。そのカラクリは、健康保険や厚生年金といった社会保険にあるのです。
 
新入社員の給与の手取りが5月に少なくなるのは、給与の支払いと社会保険料の天引き時期がズレるからです。社会保険料の徴収方法には「当月徴収」と「翌月徴収」の2種類があります。
 
当月徴収とは、当月の社会保険料は当月のうちに徴収されるというものです。例えば、4月に発生した社会保険料が4月の給与から徴収されるというものです。
 
対して翌月徴収とは、当月の社会保険料が翌月に徴収されるというものです。例えば、4月に発生した社会保険料が5月の給与から徴収されるというものです。
 
このうち、新入社員の給与の手取りが5月に突然少なくなるのは、「給与が当月払い」で「社会保険料が翌月徴収」というように、給与の支払いと社会保険料の天引き時期にズレがある場合です。
 
この場合、4月の給与は4月中に支払われるのに対し、4月分の社会保険料は翌月である5月に徴収されることになります。そのため、新入社員が4月に受け取る給与は社会保険料が引かれておらず、手取り額が大きくなるのです。
 
しかし、5月に支払われる給与からは4月分の社会保険料が引かれるため、5月から急に低くなるという現象が起こるのです。対して給与が翌月払い、かつ、社会保険料も翌月払いというような場合には、このような現象は起こりません。
 
新入社員の4月分の給与が支払われるのは5月となり、4月分の社会保険料が支払われるのも5月となるからです。

2年目の6月からは住民税の支払いも開始される

多くの新入社員は、1年目には住民税が発生しません。なぜなら住民税は、前年の収入をもとに発生するからです。そのため、2年目になると1年目の収入をもとに、6月から住民税の支払いが開始されます。
 
昇給額よりも住民税の額の方が高くなってしまうと、結果的に手取りが減ってしまうということもありえます。

新入社員は税金や社会保険料を意識して手取りと額面の違いを知っておくべき

額面と手取りは異なる概念であり、一般的に額面から税金、社会保険料などが引かれた後の残りが手取りとなります。
 
特に新入社員は、給与の支払いと社会保険料の徴収時期とが異なると、5月に突然手取りが減って驚くということも起こりえます。新入社員こそ、税金や社会保険料の仕組みについて正しく理解し、お金に関する意識を高めておきましょう。
 
[出典]
※1 国税庁「所得税のしくみ」
※2 電子政府の総合窓口e-Gov「厚生年金保険法」
※3 電子政府の総合窓口e-Gov「健康保険法」
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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