「面倒くさい確定申告が徐々に簡素化の動き」まずは医療費控除の申告がちょっと楽に
配信日: 2017.12.22 更新日: 2019.01.11
Text:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
医療費控除とはどんな制度?
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が一定額を超えた場合に税務署に申告することで税金が戻ってくる制度です。
本人だけでなく、生計を同じくしている親族の分を合計して申告することができます。
医療費控除の金額は、以下の計算式となります。
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額) - 10万円(その年の総所得の金額が200万円未満の場合は総所得の金額の5%)
但し、医療費控除の金額は最高で200万円となります。
平成29年度申告分からどこが変わった?
もともと、e-tax(電子申告)で確定申告を行う場合は、医療費の領収書は添付しなくてもよかったのですが、平成29年度分の確定申告からは、税務署で確定申告をする場合や郵送で行う場合でも領収書の提出が不要となりました。
但し、「医療費控除の明細書」を添付することが必要です。また、医療費の領収書は5年間保存する必要があり、税務署から求められたら提示や提出をしなければなりませんのできちんと保管しておくようにしましょう。
経過措置として、平成31年度申告分までは従来のやり方で領収書を提出する形で確定申告することも可能です。
医療費控除の明細書には、医療を受けた方の氏名、病院・薬局などの支払先の名称、医療費の区分(診療・治療、介護保険サービス、医薬品購入、その他の医療費の区別)、支払った医療費の金額などを記載するようになっており、医療費の合計額を算出すれば医療費控除額が算出できるように計算式も記載されています。
これまでも医療費控除の申告をする際には、明細書などで医療費控額を算出してから提出していた方がほとんどだと思いますので、これまでと明細書の書式が変わり、領収書の提出が不要になっただけとも言えます。
但し、郵送で提出する方にとっては、書類がかさばって送料がかさむことも無くなるので良かったのではないでしょうか。
参考:医療費控除の明細書
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/ref1.pdf (国税庁ホームページより)
医療費控除を利用する際の注意点
最後に平成29年度分から医療費控除を利用する際の注意点をお伝えします。もう一つ、今年度から医療費控除の特例制度として、「セルフメディケーション税制」が始まっています。
「セルフメディケーション税制」とは、スイッチOTC医薬品の購入が12,000円を超えた場合、超えた部分(88,000円が上限)に対して、医療費が10万円に満たない場合でも医療費控除が受けられるという制度です。
スイッチOTC医薬品とは、医師によって処方される医療用医薬品から、ドラッグストアで購入できる医薬品に転用されたものを指します。
「セルフメディケーション税制」を利用するには、普段から健康診断や予防接種などをきちんと受けて健康に留意していることが条件になります。
この「セルフメディケーション税制」と、通常の医療費控除は併用ができないので、注意するようにしましょう。
Text/福島佳奈美(ふくしま・かなみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、DCアドバイザー
ふくしまライフプランニングオフィス 代表
http://kakeifp.com/