確定申告前におさらい! どんな費用が医療費控除の対象になるの?
配信日: 2021.02.06
そのような人のために、確定申告をするとお金が戻ってくる「医療費控除」についておさらいをして、お金を取り戻すための準備をしましょう。
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
医療費控除のおさらいQ&A
(Q1)いつから申告できるのか
確定申告期間は、2021(令和3)年2月16日(火)から同年3月15日(月)です。
ただし、給与所得のみで年末調整も終わっていて医療費控除を受けたい人は、確定申告期間とは関係なく、同年1月1日(金)から5年間、還付申告書を提出することができます。
(Q2)一番にすることは何か
まずは令和2年の1年間に支払った医療費の集計から始めます。
医療費の領収書を集めてその金額を合計し、合計額が10万円を超えているかどうか確認します。超えていれば医療費控除によりお金が戻ります。超えていなければお金は戻りません。
ただし、10万円の基準だけで判断できないケースもあるので、注意が必要です。
※10万円の基準だけで判断できないケース
対象年の総所得金額等が200万円未満の人は、その総所得金額等の5%が基準額の10万円に代わる判定金額となります。
(Q3)控除される金額はいくらか
申告する人やその人と生計を一にする配偶者その他の親族のために、令和2年中に支払った医療費がある場合は、図表1のとおり計算した金額を医療費控除として、所得金額から差し引くことができます。
医療費控除を受けるためには、「医療費控除の明細書」を、所得税の確定申告書に添付して所轄の税務署に提出する必要があります。
医療費控除額について注意すべきことは、医療費を「所得から差し引く」という点です。所得税額から差し引かれるのではないので、10万円を超えた金額が戻ってくるのではないことに注意してください。
対象になる医療費とは?
控除の対象になるのは、原則として「治療」にかかる費用です。そのため、健康維持や予防、美容にかかる費用は含まれません。控除の対象となる医療費は細かく規定されていますので、国税庁のホームページなどで確認しましょう。
ただし、控除の対象になるのかどうか判断に悩む項目もあります。特によく質問される項目について、以下に説明します。
(1)歯の治療費用
特に問題になるのは、歯列矯正です。治療なのか美容なのかが焦点です。当事者の年齢や歯の状態、費用の金額から総合的に判断されるので、基準はありません。多くは発育や生活に支障をきたすと判断された場合のみ控除の対象となります。
また、歯列矯正にはクレジット払いがよく使われますが、これはクレジット契約を結んだ年に対象となります。クレジット契約書が証拠書類となるので、しっかり保存しておきましょう。
(2)出産費用
妊娠が分かってからの定期検診や検査、実際の入院・出産に伴う費用のほとんどが対象となります。ただし、出産に伴い補填される健康保険組合等からの出産一時金等については、医療費の合計から差し引く必要があるので間違えないようにしてください。
(3)健康診断費用
原則、対象とはなりません。ただし、健康診断を受けたことにより病気が判明し、治療をした場合は、その健康診断費用は控除の対象となります。なお、治療・出産・健診など、通院時の交通費も、特別の場合を除き対象となります。領収書のない交通費についてはメモでも対象となります。
今から準備しても遅すぎない
医療費は年を取るにつれ増える傾向にあります。そのため、その年によっては思わぬ高額な医療費を支払っていることもあります。何より大変なのが集計です。いざ集計をして10万円を超えていなかったとなると、すべての準備が無駄になります。
そのため、まずは領収書を集めて金額を集計するところから始めてください。次に、保険会社や健康保険組合から補填された金額があるのであれば、その金額を差し引くことも忘れないようにしてください。
ここまで準備して申告となります。控除の対象となる人は、忘れないように混雑を避け、申告してください。
<出典>
国税庁「令和2年分確定申告特集:医療費控除を受ける方へ」
国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
国税庁「No.2030 還付申告」
国税庁「No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士