良い医療を求めて国外での治療を望む人が増えているワケ

配信日: 2018.09.30 更新日: 2020.05.25

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良い医療を求めて国外での治療を望む人が増えているワケ
より良い医療を求めて、海外から日本での治療を受ける方が増加しています。
 
厚生労働省も、医療の国際展開として、外国人が安心して日本の医療機関を受診できる環境を整えるよう、医療機関からの申請に基づき第三者機関が外国人受入体制に審査・認証する仕組み作りを支援しています。
その一方で、日本からも国外での治療を望む人が増えてきました。アジアの医療ツーリズムの現状を見てみましょう。
 
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

医療ツーリズムが盛んな、タイ王国・シンガポール共和国・マレーシアの医療ってどうなの?

平成29年7月、日本国厚生労働省は、タイ王国公衆衛生省・シンガポール共和国保健省・マレーシア政府との 保健・医療分野における協力に関する覚書に、各国大臣の署名がされました。
 
多くの日本人は、日本以外のアジアの国で治療を受けることになったらと不安になるかと思いますが、タイ・シンガポール・マレーシアの医療技術は高く、日本語に対応している病院も多くあります。
 
国際的医療機能評価の一つに「国際医療機能評価機関(JCI)」認証があります。医療の質と安全において国際基準を満たすことを示すものです。
 
タイやシンガポールは、多くの病院が認証を受けています。中でもタイは東南アジアで最も多くの病院が認証を受けていて、早くから各国の医療ツーリストを受け入れる体制があります。また、タイ主要都市部の病院における医療水準は日本と同水準で有り、日本の大学を卒業した医師や日本で研修を受けた医師がいます。
 
そして、シンガポールの医療水準の高さもよく知られています。子どもにシンガポールの教育を受けさせるため移住する人もいるほど、国が徹底してエリート教育を行います。医学部生はそのエリート中のエリートのため、医師のレベルは国際レベルなのです。足りないところは同レベルの医師を招致します。
 
また、タイやシンガポールよりインフラが整っているマレーシアも同様、欧米で学んだ医師によるハイレベルの医療を受けることができます。
 

医療ツーリズムを選択する理由

ご存じのように、もし国内ならば公的保険適用の治療であっても、最初から治療目的で渡航し受けた海外治療は全額自己負担になります。日本で請求できるのは、海外で突然に起こってやむをえず治療を受けた場合です。
 
それでも、わざわざ海外で治療を受けるのには、様々な理由があります。
 
・そもそも必要な治療が日本では受けられない。
・国内でも受けられるが、順番待ちで、何年か先になってしまうため、今のうちに受けておきたい(自分の人生計画上、今の時期に行うのがいい)。
・医療技術が日本より高い。   等々
 
医療ツーリズムを選択する場合、まず、自分に必要な治療が受けられる病院とその治療費を、HPで把握しておきます。私立病院はサービス、医療技術共に高いですが、治療費も高額です。資金との相談も必要になります。
 
タイ、シンガポール、マレーシアの主要都市にある病院の多くは、日本語を話せるスタッフがいることが多いので、そこも大きなポイントです。
 
しかし、一般の旅行とは違い、事前にカルテや検査結果を伝えるなど、病院とのやり取りをしておく必要も出てきます。その手続きも含め、全行程においてサポートしてくれるのが、医療アテンド会社です。
 

アテンド会社をどう決める?

医療アテンド会社は、航空券や滞在施設の手配から、病院とのやり取りのサポート、現地での入退院や通院のサポートもあり、治療に専念できます。料金はアテンド会社により様々です。
 
アテンド会社を選ぶ際、自分が受けたい治療を多く扱っている病院に長年繋がりがあるかどうかを見ます。金額、その内訳(病院に払う分、手数料その他)、どんなことに対応してくれるかを調べます。
 
今まで問題があったときどう対処したのか、こういう場合はどうなのか、疑問に思うことをどんどん質問してみましょう。
 
評判等は主にインターネットで調べることになりますが、実際のところ、インターネット上では分からないことは沢山あります。利用された方の満足度は、実際に付き添ってくれる人に因るからです。
あるベテランのアテンドは、患者の入院中のお見舞いを欠かしません。
 
患者の心をほぐすだけではなく、患者の些細な変化も見逃しません。患者のことを適格に看護士に伝えることができるため、1人1人が最適な治療が受けられることに繋がります。患者に付き添うために、お子さんの晴れの日を欠席されたこともあったそうです。
 
そんな対応してくれる業者がいる一方で、中には渡航させるだけで一度もお見舞いに来ないところもあり、1人放っておかれた患者がかわいそうだったという話も聞きました。対応に見合わない高額な料金を請求するところもあるそうです。
 
そんな違いも、なるべく多くの情報を集めて判断するしかありません。口コミで、HPだけでは分からないことが書かれているところは参考になると思いますし、新聞等でコメントを求められる業者も、その分野で専門家という見方もできます。
 
でも、やはり、実際に問い合わせてみることです。質問に一つ一つ親身になって答えてくれる業者であるかが、一番の選ぶポイントになるかと思います。
 
詳しくは、厚生労働省のHP、外務省のHP、JCIのHP、JETROのHPをご覧ください。
 
注)日本で公的保険が適用される治療でも、治療目的で渡航しての海外治療は公的保険の適用外になります。日本で請求出来る場合は、海外で突然に起こってやむをえず治療を受けた場合です。
当初先進医療だったものが、何年か後に保険適用に切り替わることもあります。注意しておきましょう。
 
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP®認定者

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