更新日: 2019.01.10 その他資産運用
それ誤解です。投資はお金がある人がするものだと思っていませんか
家族や友人などに経験者がいない場合、リスクのあるものだから怖いと感じていたり、自分には関係ないと考えていることがわかりました。
それは本当にもったいないことです。人生100年といわれるようになってきたこの時代に、ずっと働き続けることは難しいですから、少しでもお金を増やす力を手に入れておきたいところです。
20代から30代の人ほど、長い期間をかけてリスクを押さえながら積み立てすることができます。
『投資信託で運用する』という選択を考え始めてもよい時期になってきたのではないでしょうか。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
確定拠出年金相談ねっと認定FP、DCアドバイザー、証券外務員内部管理責任者、相続士、金融知力インストラクター、FP未来への扉(幹事)、SANWA DCサポート代表。
目次
20代、30代が投資を始めていない理由は
投資を始めていない人に聞いてみたところ、下記のような返事が返ってきました。
・投資はお金持ちや退職金をたくさんもらったような人がやるものでしょ。
・投資にかけるほど貯まっているお金がないから。
・減ってしまうかもわからないものに、お金を使うのは怖いから。
・すぐ使えないとこまるから。
・投資のことがよくわからないから。
・両親から投資はやらないように言われているから。
・投資をする必要性を感じないから。
などです。
なるほど、経験者やアドバイスをしてくれる人がそばにいない人も多いのでしょう。相談できる人がいないと不安に感じるものです。自分には関係ないと思われたりするかもしれません。
また、バブル世代のお父さんが投資で失敗していて、絶対やらないと言っているケースもあったりします。そんなネガティブな情報を信じて、何もしていないのは本当にもったいないと思います。それは私の体験からです。
私が投資を始めたのは40代。金利が0.06%ほどにどんどん低下していくころに、金利では増えないと感じて投資信託の積立を始めました。リスクが怖いと感じていた1人ですから、仕事や子育てで忙しく、値動きなどチェックもせずに自動積立で、ただ継続していただけでした。
数年後に残高を見て本当に驚いたことがありました。それは、残高が積立金額の約2倍になっていたことでした。そのとき感じたことは、もっと早く始めておけばよかったということです。
金利に増やす力があった時代から、増えない時代に変わっています。増やす部分を投資に回せたらうれしいですね。
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投資に対する不安がなくなったら
もし投資に対する不安がなくなったらどうでしょうか?
投資信託はお金がない、リスクが怖い、知識がない、ということをカバーしてくれます。そして、皆さんには老後を迎えるまで時間があるのですから、これを利用しない手はありません。
お金を増やしてくれる分身を作っておけば、あなたが休んでいるときも働き続けてくれるようになります。
預貯金はほんとうに安全資産?
預貯金は安全資産といわれています。預貯金でこつこつ貯める習慣はとても大切です。ですが、守ることはできても今の金利で増やすことは難しそうです。また、預貯金はインフレが起きたときに、お金の価値が減ってしまうことがあることはご存知でしょうか。
先日あるテレビ放送で、何十年もの間ずっと開けられなかった金庫を開ける番組をやっていました。その金庫のなかからは、100円札が9枚出てきたのです。その当時だったらどんなにたくさんの価値を持っていたか計り知れません。
それが長年立った今では、900円の価値は小学生のおこづかい程度になっています。
皆さんが年金暮らしになるころには、物価の変化は起きていないでしょうか。
一方、株や投資信託はそのインフレに強い商品であることをご存知ですか。
少しでも減らないようにとリスクを恐れるあまり、インフレというお金の価値の変化を見損なっていることはないでしょうか。
株式は高級食材、投資信託は手軽に買える野菜
株式は高級食材、投資信託は手軽に買える野菜と考えると、イメージしやすいかと思います。
株式は1つ買うにもまとまったお金が必要です。まるで、高級食材をさらにまとめ買いするようなものです。それでバランスよい食事を作るのはなかなか難しいですね。
投資信託なら、扱っている金融機関によりますが、500円、1000円という少ない金額から購入することができます。食材で考えると金額に合わせて少量ずつ買えるので、自分が欲しい食材を組み合わせていくことができます。
たくさんのお金がなくてもバランスよくたくさんの食材を使うことができるのです。
これからはまとめてたくさんのお金を持っていなくても、お茶代を減らしたり、外食を1回減らしたりして、ちょっとした節約でお金を貯めていくこともできるでしょう。少額から貯められる投資信託は若い世代にぴったりな資産形成の方法といえるのではないでしょうか。
いろいろセレクトができる
投資信託も株式・債券・REITなど国内、海外のものなどで分類されています。そのなかから、あなたが選んだ組み合わせと金額で買うことができます。一度にまとめて買う必要もありません。
自分のペースに合わせて、好みの商品を少しずつ買って数を増やしていくことが大切なのです。
投資信託は長期でないと降ろせないと感じている人も多いようなのですが、実は購入した翌日に売却もできます。食材を使いながら数を増やしていければよいのです。
値段は上下しますから、食費も毎月の予算を決めて、値段を見ながら、食材や量をコントロールしているでしょう。投資信託を購入するときにも同じことをしていけば大丈夫です。
リスク回避の代表的方法「ドルコスト平均法」
リスクを抑える代表的な方法にドルコスト平均法があります。毎月同じ金額を定期的に購入していくと、安いときにはたくさん買えます。高くなると量を減らして少なく買います。皆さんなら安いときにたくさん買いたいと思いませんか。
投資信託が値下がりしたときは、実は同じものを安く売っていますから、たくさん買うことができます。同じものを大量に買っておくと、1つ1つが少し値上がりしただけで大きな金額になっていきます。
細胞分裂を思い浮かべてもらうとよくわかります。1万個の細胞が2倍に膨らみました。そうすると価格も上昇しますよね。でも数が変わらなければ、いつかその1万個の細胞は収縮して小さくなってしまうこともあるでしょう。
ところが数が2万個に増えていたらどうですか。1個の細胞の大きさが半分になっていても、同じ価格になるのです。その1個が少し膨らむだけで全体が大きく拡大します。
この細胞は投資信託の口数に当たる部分です。投資信託は最初に販売されるときには1万口、1万円からスタートします。基準価額は毎日変化しますが、細胞の大きさが膨らんだり縮んだりしています。
毎月購入していくとその口数が増えていきます。基準価額だけでなく、量がどれだけ買えているかも見てもらいたいポイントです。
投資の結果=量×価格
買い物上手は投資上手! 早く長く続けることがポイント
野菜の価格が高かったとき、やり繰りをしっかりした皆さんなら、安いときにたくさん買える仕組みはよく理解できたと思います。安いときにまとめ買いしたり、バーゲンで良い商品を買い物できている人は、投資も上手にできる人です。量をたくさん買えていますから。
例えばTシャツ1枚1000円で売っています。シーズンオフにバーゲンで200円になっていたら5枚買えます。また夏になり1000円に値上がりしたときに売ったら5000円の売り上げになり、4000円儲かったことになります。
量をたくさん買うと増やせるイメージができたかと思いますが、値段がずっと上がり続けている人気ブランドだったら、それもうれしいですね。
投資はたくさんの種類を少額で買うことができます。たくさんの種類を簡単に買えるようになっている、バランスファンドという便利なセット商品もありますから、難しい知識は必要なく毎月決まった金額をこつこつ積立していくだけでOKです。
「つみたてNISA」は初心者向け投資
2018年1月から、若い世代の皆さんも始めやすい制度「つみたてNISA」がスタートしています。毎年40万円まで20年間積立することができます。これは国が用意してくれた、積立で行う資産形成のための制度です。
金融庁の厳しい審査に合格した長期投資に適した商品が選ばれています。金融庁が過保護なくらい手数料や実績を加味して厳選して選ばれた商品を取り揃えているのです。
さらにこの制度を使って購入すると運用益がすべて非課税となり、とても増やしやすくなっていますから、初めての人も投資経験者の人も活用したいところです。
最近はカードのポイントで、投資が始められるようになっているところも出てきました。楽天証券では100ポイントから投資に回せますし、セゾンカードの永久不滅ポイントも、100ポイントから投資することができます。こちらは1年で利用者が11万人にも増えていて人気になっています。
投資はリスクがあると感じていた人も、関係ないと感じていた人も、だんだん身近になって広がりを見せています。そろそろ始めてみる時期がきているのではないでしょうか。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者