担当者は怒り? 株式の決済期間が短縮化、その影響とは
配信日: 2019.07.17
執筆者:大堀貴子(おおほり たかこ)
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員
2008年南山大学法学部法律学科卒業後、大手証券会社で、営業として勤務。主人のタイ赴任がきまり、退社。3年間の在タイ中、2人をタイで出産、子育てする。本帰国後、日本で3人目を出産。現在、3人の子育てと長女の国立小学校受験に奮闘中。子供への早期教育の多額の出費、住宅ローン、子供の学資資金、また老後資金準備のため、いろいろな制度を使って、資産運用をしています。実際の経験を踏まえた、お金に関する、役立つ情報を発信していきたいと思います。
株式の決済期間とは?
株式は購入して約定してからすぐに受け取れるわけではありません。前の株主から自分が株主になるまで4営業日かかり、自分が株主になれる日を「受渡日」といいます。受渡日までは、株主ではないため購入したとしても株主としての権利はなく、配当金や株主優待を受け取る権利はありません。
また、受渡日まで買付時は購入代金が引き落とされず、売却時は、売却代金を受け取ることができません。決済期間短縮前の約定日と受渡日は下記をご覧ください。
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決済期間の短縮化とは?
短縮化の対象となるのは、証券取引所に上場している株式、ETF、REITです。2019年7月16日取引分から、受渡日が約定日から4営業日かかっていたのが、下記の通り3営業日になります。
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決済期間短縮化による影響
それでは決済期間短縮化によって、どのような影響があるのでしょうか? 一つずつ見ていきましょう。
(1)売却代金がすぐ受け取れる
今まで売却してから売却代金を受け取るのに4営業日かかっていたのが、3営業日に短縮されるため、換金性が高くなります。お金が必要なときに売却代金を受け取りやすくなるのは大きなメリットです。
一方、買付時に事前入金ではなく後払いで買付できる証券会社で取引の場合、4営業日までに入金すればよかったのが、3営業日に短縮されました。
(2)株主優待・配当金の権利付最終日が変わる
株主優待や配当金、議決権の権利を得るには、権利付最終日の取引終了時間(15:00)までに購入する必要があります。その権利付最終日の日付が権利確定日の4営業日前から3営業日前に変わるため、権利付最終日に買付する場合は注意しましょう。
・2019年6月まで
・2019年7月から
(3)債券や投資信託等の売却代金を株式買付代金に当てるときに注意!
債券の受渡日は4営業日、投資信託の受渡日は3営業日~7営業日(投資信託によって異なります)です。債券や投資信託の売却代金を株式の購入代金に充当する場合は、3営業日と充当日が以前より早くなるため、購入時に確認しましょう。
(4)信用取引の委託保証金差し入れ
株式の決済期間短縮により、信用取引の委託保証金の差し入れが、追加証拠金(追証)発生から2営業日後の正午までの証券会社の指定する時間となりました。証券会社によってはルールが変更されている可能性があるので、確認しておきましょう。
7月16日以降の株式売買は、買付代金や売却代金の受渡日、株主優待・配当金・議決権の権利付最終日が1営業日ずれます。権利付最終日に株式を購入する場合や売却代金を株式購入代金に充当する場合は、日付をよく確認してから株式買付手続きをするようにしましょう。
執筆者:大堀貴子
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員