更新日: 2019.05.17 その他資産運用
消費大国である『米国』 今の景気はいつまで続くのか
経済状況を把握するのは、基本的には経済指標ですが、別のところで黄色信号がともり始めています。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
景気指標がいいから起こる別方面からの景気後退シグナル
GDPの最大構成比である消費ですが、米国は7割を占める消費大国です。米国商務省経済分析局が、前月比のデータとして発表しています。
この数値がプラス圏であれば、個人支出が堅調であることから収入・雇用も良好であることの証左であるといわれており、2018年年初から+0.1%、+0.0%、+0.5%、+0.6%と4月までおしなべてプラス圏で推移しています。
そのほかの経済指標、とくに代表的なものとしては雇用統計がありますが、これも好調を維持しています。「働く意思のある人はみんな仕事がある」というぐらい経済状況は良好です。
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景気が過熱するのを防ぐために始まった利上げ
このような好調な景気状況をそのまま放置しておくと、「モノが売れるからモノをつくる」「仕事があるから消費に回す」という行動が加速され、景気が過熱してバブルが発生する可能性が懸念されます。
これを防ぐために、利上げに着手しました。
FRB(米国の日銀のような機関)では、2015年12月に2006年6月以来9年半ぶりに1回目の政策金利引き上げを決めました。
FRBが金利を引き上げるときの手段は、政策金利(=短期金利)です。当時の0~0.25%を0.25~0.5%へと引き上げ、6月現在では1.75%に至っています。
短期金利は政策により、操作VS長期金利は需給で決定
これに対して長期金利となる指標は10年国債。こちらはFRBが操作手段とするものではなくて需給で決まります。
米国国債を金融商品として保有することによって得られる利率と国債価格(こちらは取引主体の需給、人気度によって決まります)で、最終的な利回りが決まるのです。
同じ利率でも米国債が人気で買い手が増えれば、市場で取引される国債価格は上昇します。その結果利回りは(分母である国債価格が上昇するので)低下します。
短期金利を上げていかなければバブルが起こってしまうが、長期金利は(ほかに魅力的な投資先がないため)世界中から米国債へ向かってお金が流入しているため上がりにくい、という微妙な環境の中にいるのです。
政策金利を上げても、長期利回りが上昇しなければ利回りの長短逆転が起こる
こうして今懸念されているのが、利回りの長短逆転現象から米国景気後退のシグナルが点滅、ということです。
金融機関は、短期市場でお金を調達し長期で貸出を行いますから、長短金利差は金融機関の収益を左右する重要な指標になります。
ここで利益がとれなくなってくると、景気の足が大きく引っ張られることになるという黄色信号の点滅が始まりつつあります。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表