「タンス預金」として残しておいたお金すらNISAにつぎ込む妻。さすがに手元に置く「現金」や「貯金」がないと、緊急時に備えられない気がするのですが……
配信日: 2024.05.30
そこで、新NISAを利用するに当たり、貯金や手元に置いておく現金(以降、現預金とする)と、新NISAとのバランスについて考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
投資のメリットとデメリット
まずは、投資全般を利用する際の主なメリットとデメリットを考えていきましょう。
メリットの1つは、経済成長とともに、自身の資本を不労所得のように増やせる点です。例えば100万円を年利5%で運用しつづけていれば、20年後には運用成果が265万円を超えます。
一方、デメリットの代表としては、値下がりのリスクがあります。例えば、NISAを利用して投資信託を通じて株式市場に投資している場合、景気の悪化によって損をしてしまう可能性もあります。すると、例えば円換算で100万円だった投資信託が90万円に下がる、などということもあり得ます。
そんなとき、子どもの学費が仮に100万円必要だったとしましょう。この100万円の学費を投資信託のみで備えていると、投資信託の値下がりによって、学費が賄いきれなくなってしまうのです。
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NISAに限らず、投資をするならリスク分散が基本
先の値下がりリスクを考えると「貯金しておくのがやっぱり正解では?」と思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。簡単に言うと、資本主義社会では、時間の経過とともに経済が成長していくのが基本です。経済が成長していくとは、平たく言うと、人々が豊かになるということです。
豊かになるとは収入が増えること、そしてそこに連動して物の価値が上がることでもあります。つまり、時間の経過とともに現預金1円当たりの価値は低下していくことになります。100年前の物の物価と今の物価を比較していくと、それがよく分かります。
言い換えれば、現預金だけを所有していることもまた、お金の価値が下がるリスクになりうるわけです。NISAも含めた投資はリスク分散が基本です。一部を預金したり現金で手元に置いたりしてから、一部を投資に回して資産運用することが必要になるわけです。
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緊急時の備えのためにいくら準備をしておくか
ここまで見ると、NISAで投資する際には、現預金もある程度必要だと分かります。では、実際にどれくらいの金額が必要なのでしょうか。この点はライフプランや家族構成など、諸条件によって大きく異なるため、いくら必要かは一概に言い切ることができません。
一例を示すのであれば、直近3年から5年で必要になることが分かっている大きな額の支出、加えて半年分から1年分の生活費などは、現預金としてすぐ使えるように手元に置いた方がよいでしょう。それを差し引いた残りの金額を、投資に回すようにしましょう。
例えば、3年後に大学進学を控えた子がおり、学費が400万円と、年間500万円の生活費が必要な世帯の場合は、900万円を目安としていつでも使えるように確保しておき、余剰分を投資に使う形にします。
まとめ
株価の上昇や新制度が話題となっていることから、NISAに全力で取り組む方もいるかもしれません。確かにNISAを通じて投資をすれば、利益を得ることができるかもしれません。しかし、投資である以上、損をする可能性もあります。
NISAが話題になっているとはいえ、そちらに全部を投資するのではなく、必ず万が一のときの備えとして、ある程度は現金を手元に置いたり、預金もしたりしておくようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士