NISAの「成長枠」で金関連の商品を見つけました。「純金積立」とはどう違うのでしょうか?
配信日: 2025.02.13


執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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成長枠の金関連商品とは
金関連商品にはいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なります。まず、「成長枠の金関連商品」について確認します。
1. 仕組み
成長枠の金関連商品とは、「金価格に連動する上場投資信託(ETF)や投資信託で、金を現物として保有するわけではなく」、価格の値動きに応じた利益を目指します。NISAの成長枠では、これらの商品が非課税で運用可能です。
2. 特徴
(1)少額から投資可能:1口単位や1万円程度から始められます。
(2)換金性が高い:市場で売買が可能なため、好きなタイミングで容易に売却可能です。
(3)保管コスト不要:金現物を保有する場合の保管費用がかかりません。
(4)配当がある場合も:ETFによっては配当がある商品もあります。
3. メリット
(1)金価格の上昇に伴って値上がり益を狙うことが可能です。
(2)NISAの非課税枠を利用できるため、運用益や配当が非課税です。
4. デメリット
(1)金現物への買い付けではないので、金そのものを引き出すことはできません。
(2)金融商品なので、信託報酬などの運用コストがかかる場合があります。
純金積立とは
同様に純金積立について、「成長枠の金関連商品」と比較しながら確認しましょう。
1. 仕組み
毎月一定額を積み立てて「金現物」を購入し、「金そのもの」を保有します。購入した金は、後で「現物として引き出すことも可能」です。金融関連商品との大きな違いです。
2. 特徴
(1)現物保有:現物の金を保有できるため、価格がゼロになるリスクが低いです。
(2)少額から始められる:1000円程度からスタート可能です(これはいずれも同じ)。
(3)長期的な保有に向く:インフレ対策や資産の一部として保有するのに適しています。
3. メリット
(1)金の現物ですから、現物資産としての安心感があります。
(2)長期的な価値の安定が期待できる。
(3)現物として引き出してジュエリーや地金として利用できます。
4. デメリット
(1)保管費用や購入手数料が発生します。
(2)現物ですから、配当や利息がないため、利益の源泉は値上がり益のみです。
(3)売却時には税金がかかる場合があります(一般的には譲渡所得課税)。
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「金関連商品」を購入するほうがおすすめのケース
純金積立よりも「金関連商品」への投資がおすすめのケースは以下のとおりです。
1. 金の値上がり益を狙いたい場合
金融商品ですが、金価格に連動しますので金価格が上がれば、値上がり益に直結する場合が多いです。
2. 現物保有ではなく、効率的な資産運用を重視する場合
ジュエリー加工など金現物を保有することにこだわるのではなく、あくまで、「運用対象」と割り切って投資する場合は、保有にかかるコストなどを考えずに済みます。
3. 流動性が高い投資を好む場合
値上がりしたら売却する、というスタンスを大事にしたい場合は、株・債券・リートと同様の位置づけで投資されるとよいでしょう。
ただし、金の現物保有にかかるコストはありませんが、ETFやファンドの信託報酬などのコストも確認しておきましょう。値上がり・値下がりを引き起こす要因など金価格の短期的な変動リスクを理解しておくことも大切です。
「純金積立」がおすすめのケース
金関連商品ではなく、「純金積立」がおすすめの場合は以下のとおりです。注意点も併せて確認しましょう。
1. 現物資産を持つ安心感を重視する場合
貨幣価値や不動産価格の下落などに見舞われても、「金」の現物は持ち運びができ、世界中どこでも通用する資産ですので安心です。そういった、「資産保有の安心感」を大事にする場合は純金積立がおすすめです。
2. インフレ対策や長期保有目的で資産を分散させたい場合
金関連の金融商品と違って、短期で大きく上昇することは期待しづらいですが、特に最近のインフレ局面ではじわじわと上昇していく傾向にあります。あくまで長期的な視野で、積極的ではなく堅実かつ保守的な運用成果を楽しみたい場合は純金積立がよいでしょう。
注意点としては、手数料や保管コストが発生します。少ない保有のときは、これらのコストが運用益を圧迫する可能性があります。また、金関連の金融商品のように好きなときに売買ができるほど流動性はありませんので、短期運用には向かないと考えたほうがよいでしょう。
まとめ
ここまで、金関連商品と純金積立の違いを比較しながらまとめました。どちらにするかは、「値上がり益」か「資産保全」のどちらを目標にするかで方針をはっきりさせたうえで、保管費用や手数料を比較して決めるとよいでしょう。
いずれも少額から試すことができるので、取りあえず始めてみて感覚をつかんでみるのもいいかもしれません。
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者