日経平均は今が底? 積立投資を続けていいのか、テクニカル分析で見える「リスク」とは
本記事では、チャートを見る際の基本的な視点をもとに、実際の相場を題材にして「どこで入って、どこで降りるか?」を一緒に考えていきます。
なお、今回は日経平均株価を取り上げます。水平線やトレンドライン、移動平均線、そしてフィボナッチやインジケーターといった複数の視点からチャートを読み解き、テクニカルとファンダメンタルズの両面から総合的に相場を判断していきます。
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
チャート環境の確認
まず、チャート環境の確認です。
図表1 日経平均株価(日足)
※TradingView提供(解説を目的に使用しております)
(1)水平線(上値抵抗線と下値支持線)を引く
上値と下値を確認したうえで、レンジを形作るように、水平線(上値抵抗線と下値支持線)を引いていきます。日経平均株価は下値を切り下げたため、上が4万400円水準、下が3万5200円水準の地点でレンジを描いています。
(2)上値と下値のトレンドラインを引く
今のような相場の局面では、2024年7月高値から伸びる上値のトレンドラインと、過去の長期的な下値のトレンドラインを引きながら、相場を見ていく必要があります。短期的には「下落トレンド」として、チャート画面にあるようなイメージでトレンドラインを引きます。
(3)移動平均線の位置を確認する
移動平均線は、50日と200日を中心に見ていきます。ローソク足との位置関係を確認すると、ローソク足はそれぞれの移動平均線の下にあり、相場が弱いことが分かります。
また、50日移動平均線が200日移動平均線を下に抜け、デッドクロスしそうな状況であるため、ローソク足は上に向きにくいというのが現状といえます。
(4)フィボナッチ・リトレースメントを描く
相場は現在、調整波動(現在は下落局面)の中にあります。このため、2024年高値からのフィボナッチ・リトレースメントを描きます。
この場合、0.382水準が下値候補として強く意識され、2日前にちょうどその水準に相場が下りてきていることが分かります。ここからは小さな反発が発生しますが、現在、それが起こっていることが確認できます。
(5)インジケーターを確認する
インジケーターはスロー・ストキャスティクスを用いており、これは相場の割高感・割安感を示すものです。現在スロー・ストキャスティクスの値は、割安水準を抜け上昇していますが、トレンドとしてはもう少しでまた下がる可能性が高いことが伺えます。
総合評価
(1)テクニカル的な判断
2日前に、ローソク足が長いヒゲを伴う陽線で引けました。その後、少し明けの明星のようなローソク足パターンになり、現在、窓を空けて上昇しています。
見方としては、レンジの中央に位置している3万7700円水準が意識されるものの、その手前にフィボナッチ・リトレースメントの0.382水準があるため、ここで相場が押し戻され、現在は上ヒゲ陰線になっています。
今のような相場は「上がれば売られる」という意識が働きやすくなるため、このような警戒感がローソク足に現れているのであろうと推察されます。
(2)ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)的な判断
ファンダメンタルズとしては、トランプ政権の関税引き上げに対する警戒感が強くなっています。これが相場の重しになり、短期的に高値を切り上げることが難しいという印象です。
どこで入って、どこで降りる?
今のような日経平均株価の場合、「どこで入るか」の峠は過ぎたと仮定します。その根拠は、この時点から数えて2日前の下ヒゲ陽線にあります。下ヒゲの陽線が出てくると、その後は反発する傾向があり、昨日、今日と案の定反発しています。
しかし上を見ると、フィボナッチ・リトレースメントの0.382水準と3万7700円水準に抵抗があり、このラインが意識されやすいため、上値を切り上げるのが難しい状況にあります。
つまり今の上昇は短期的に「だまし」の可能性が高く、上昇が終われば再び下落することを前提にトレードをしていく必要があります。
以上のことから、2日前が「入るタイミング」で、ここからは入ってはいけない、と判断していくことになります。一方、降りる水準としては、0.382と3万7700円水準が候補として挙げられるでしょう。この場合、利益確定の売りが入る可能性が高いといえます。
まとめ
投資は知識や技術を磨いていけば、どこで入って、どこで降りるかをおおよそ判断できるようになります。もちろんピタッと言い当てることはできませんが、「だいたいここら辺だろう」という探りを入れることはできます。
投資に慣れている人やプロの人たちは、同じような投資の技術を身につけているため、マーケットに参加している投資家はチャートを共通の言語と見立て、投資家同士対話をし、チャートを作っています。
別の言い方をすれば「技術があれば、国内外の投資家とチャートを通じて会話ができる」ということです。このような投資家同士の対話ができるようになると、投資はより面白くなるでしょう。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

