最近、アメリカ国債が「大量に売られて値下がり」というニュースを見たけど、「利回りは上昇している」とも聞きました。それなら国債は買われるんじゃないの?“利回りの上昇”についてもシミュレーション

配信日: 2025.05.24 更新日: 2025.06.26
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最近、アメリカ国債が「大量に売られて値下がり」というニュースを見たけど、「利回りは上昇している」とも聞きました。それなら国債は買われるんじゃないの?“利回りの上昇”についてもシミュレーション
2025年4月、トランプ大統領による相互関税の発表後にアメリカの国債が大量に売られ、それに伴い国債の利回りが上昇しました。国債が売られるとなぜ利回りが上昇するのか、不思議に思う人も多いでしょう。
 
本記事では、国債の価格と利回りの関係を解説します。また、国債が値下がりすると利回りはどれくらい上昇するのかのシミュレーションを行います。
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国債の利回りは価格が下がると上昇する

国債の価格と利回りは逆に動く関係にあります。国債の価格が上昇すると利回りは下がり、反対に価格が下落すると利回りは上がります。なぜでしょうか?
 
国債の利回りとは、1年あたりの運用益を百分率で表示するものです。国債の運用益には次の2種類があります。
 

・額面金額と購入価格の差額
・利子

 
2種類の運用益のうち、国債が値下がりすることで得られるのは「額面金額と購入価格の差額」のほうです。購入価格が下落すれば額面金額との差額が大きくなり利益が増えるため、利回りが上昇します。
 

国債の額面金額と価格とは

額面金額とは、国債の表面に記載されている金額のことです。額面金額は固定されており、国債が満期を迎えると記載されているのと同じ金額が保有者に償還されます。
 
一方、国債は市場で取引される際に価格が変動します。そのため、額面金額よりも安い金額で購入すれば、国債の償還時に利益を得ることができます。
 
例えば、額面金額が100円の国債を95円で購入する場合、満期がきたら額面金額の100円を受け取れます。95円で購入して100円を受け取れるので、5円の利益です。
 
このように、国債の価格が下がると償還時に利益が得られるので、利回りが上昇します。
 

国債の利子とは

国債の利子は、「額面金額×利率」で計算されるものです。利率は国債に記載されているもので、「表面利率」「クーポンレート」とも呼ばれます。
 
例えば、額面金額が100円、利率が年1%の国債の場合、1年間で1円の利子を得られます。
 
なお、国債の利率とはあくまでも国債に記載されている表面利率のことです。1年あたりの運用益を百分率で表示する「利回り」とは異なることに注意しましょう。
 

国債が値下がりすると利回りはどれくらい上がる?

国債が値下がりすると、利回りはどれくらい上昇するのでしょうか? 具体的に計算してみましょう。
 
額面金額が100円、利率が年1%、償還期間5年の固定利付債を、発行から3年後(残存期間2年)に96円で購入するとします。この国債を償還時まで保有する場合の最終利回りは、図表1の式で計算できます。
 
図表1

図表1

財務省 国債の利回りはどのように決まるのでしょうか
 
つまり、以下の計算式であるということです。
 
最終利回り(税引前・単利・%)={表面利率(%)+(額面100円-購入価格・円)÷償還期間(年)}÷購入価格・円×100
 
図表1の式に条件の数値を当てはめると、最終利回りは「年3.125%」となります。
 
募集時から満期まで保有する場合の利回りが年1%であるのに対して、大きく上昇していることが分かります。
 

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利回りが上昇した国債は値下がりするリスクがあるので注意!

これまで見てきたように、国債の価格が下落すると利回りは上昇します。国債の運用益には利子のほかに「額面金額と購入価格の差額」も含まれているからです。
 
利回りが高い国債は一見魅力的な金融商品にも思えますが、価格が下落しているということは、現状において危険な商品だと見なされているということです。価格がさらに下落したり、国が支払不能となったりするリスクも考えられるため、必ずしも投資家に買われるとは限りません。
 
利回りが上昇している国債の購入判断は慎重になったほうがよいでしょう。
 

出典

財務省 国債の利回りはどのように決まるのでしょうか
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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