「アメリカの関税政策」の影響で市場の金融リスクが高まっているとのこと。「確定拠出年金」をはじめとした「老後の資産形成」にどのような影響がありそうですか?
本記事では、アメリカの相互関税の影響や予想される資産形成への影響、それを受けた老後に向けての資産形成について解説します。
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アメリカのトランプ政権は貿易赤字の解消に向けた「相互関税」を発動
アメリカのトランプ大統領は2025年4月上旬、実質的にすべての国と地域から輸入されるほぼすべての品目に一律10%のベースライン関税を課すとともに、主に貿易赤字の大きい国や地域を対象とする「相互関税」を発動し、同日中に一部90日間の引き上げ停止措置を取りました。
関税の意図については、いわゆる「双子の赤字」の片割れである貿易赤字の早期解消や特定の国への外交的なけん制などさまざまな意見がありますが、「国際経済に多大な影響を与えうる政策が発表され、直後に撤回・猶予された」ことによる投資家への衝撃は当然大きく、為替相場は一時乱高下の様相となりました。
4月末時点で「停止措置期間延長の可能性は低い」とされており、仮に予定通りに関税が発動すればアメリカの実質GDPの伸びは大幅な減速が見込まれます。もちろん日本の経済とも無関係ではなく、国内経済の成長率予想は下方修正とする意見が多くなっているようです。
アメリカの相互関税が「老後の資産形成」に与える影響
株式会社野村総合研究所の推計によれば、今回の関税はわが国のGDPに対し直接0.71%程度の押し下げ効果をもたらすだけでなく、国際経済からの間接的な影響も考慮すればそれ以上の押し下げも見込まれており、景気後退の可能性が示唆されています。
一般に、景気が悪化すれば企業の営業活動は様子見の傾向が強くなりますので、もし給与水準が低下すれば、資産運用に回せる原資が減る可能性も出てくるでしょう。
また老後の資産形成として浸透してきているNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)、企業型確定拠出年金(企業型DC)といった各制度は、原則として元本が保証されていません。
そのため投資先の株式や債券、その他の相場変動により総資産額が増減しますので、乱高下を受けて赤字となった運用益をご覧になり、不安に思われた方もいらっしゃることでしょう。
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「老後の資産形成」には長期的な目線が必要
しかしながら、目的が老後の資産形成であるならば、短期的な値動きに惑わされず積み立てを続けたほうがよい場合もあります。なぜならば先ほど挙げたような各制度は、「長期・積立・分散投資」によるリスク分散を念頭に置く、長期的な性格の強い制度であるためです。
「老後」までの年数はもちろん個人差があるため、どの方法が向いているかは資産形成に充てられる余裕資金・期間にも左右されます。しかしながら、毎月定額を拠出する「確定拠出年金」に限って言えば、相場の乱高下による影響は「こういう時期もある」程度に捉えておくのが無難かもしれません。
まとめ
動向予測の容易ではない世界経済が関係する金融リスクは、当然ながら資産形成にも影響を及ぼしますが、そうしたリスクを分散・低減して長期的に投資を行えることこそ、確定拠出年金やNISAなどの最大のメリットといえます。短期的な値動きだけで損益を判断するのは難しいため、老後までのトータルで捉えたほうがよいでしょう。
出典
株式会社野村総合研究所 相互関税の再推計:世界のGDP押し下げ効果は0.6%から0.9%に拡大
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
