更新日: 2019.06.14 NISA
投資と向き合うことで見えてくる「自分に向いている投資」
口座を開設している人は20代から40代までで7割を占め、若年層への広がりを見せています。投資に興味がなかった人、投資は今まで躊躇していた人も始めていると言えるでしょう。
つみたてNISAは長期・積立・分散が自然にできる仕組みになっています。
執筆者:杉山夏子(すぎやま なつこ)
2018年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員
一般社団法人 家族信託普及協会®会員
大学卒業後外資系IT企業にて金融機関のシステム営業に従事。その後シンガポールへ移住しファンド会社に就職。
帰国後ファイナンシャルプランナーの資格を取得し、資産形成から保全にいたる多くの知識と経験を駆使し、ファイナンシャルスタイリスト(R) として、ライフプラン、資産形成、保険見直し、相続等の相談業務、セミナー、執筆業務を実施。
つみたてNISAとは
つみたてNISAは2018年から始まりました。通常は20.315%かかる、投資で得た分配金や利益に対する税金が、非課税となる制度です。日本にお住まいの20歳以上の方は1人1口座開設でき、毎年40万円まで投資することが可能です。
金融庁に届出されている投資信託とETF(上場投資信託)の対象商品は、2018年10月31日時点で162本あります。これらは、販売手数料がないこと、運用期間中にかかる信託報酬も法令で決められた範囲以下であること、毎月分配などの運用はしていないことといった制限があります。
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「長期・積立・分散」で貯金が苦手な人も貯められる体質に!
毎年40万円で20年間積立てると、800万円になります。急には準備できない金額ですが、20年間という長い年月をかければ、これだけの資産を築くことができます。
つみたてNISAの場合は、毎月積立になりますから毎月2万円、プラスボーナス月に8万円を積立てるなどという設定をします。
投資と言うと、100万円単位でのお金が必要だと思う人も多いですが、少額から始めることができます。長期でコツコツ貯めていくことを仕組み化すると、貯金が苦手な人でも天引きでできるようになります。
投資ですから、一時的に値段が下がっても大きな金額を投資しないようにし、当面の生活には影響のない範囲に下げるのを抑えます。投資で無駄に資産を減らす必要はありません。
さらに、資産分散されている投資信託で運用しますので、気付いたら「長期・積立・分散」ができているというのが、つみたてNISAの魅力です。
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ドルコスト平均法は長期・積立の強い味方
投資は値動きするもの。安い時に買って、高い時に売りたいと思っても、「もうはまだなり、まだはもうなり」という投資格言がある通り、自分でタイミングを見極めるのは難しいものです。
この人間の欲を排除して、自動で積立にしてしまうので、タイミングを気にする必要はありません。「ドルコスト平均法」と呼ばれる方法です。
もう少し詳しく考えてみます。投資信託などの値動きがある金融商品は、価格が高い時には数量は少ししか買えませんが、価格が安い時にはたくさん買うことができます。例えば、りんごで考えてみましょう。2000円分のりんごを4回、合計8000円分買うとします。
りんご1個の値段が、1回目80円、2回目100円、3回目50円、4回目80円だとすると、全部で110個のりんごが手に入ります。この時、1個あたりは約73円になります。この時点で、1個73円より高く売れれば利益が出ます。
さらに、このりんごを1個100円で売ることができたら、100円×110個=1万1000円の売上になり、3000円の利益が手元に残るのです。価格がずっと100円であれば、毎回20個ずつ80個のりんごしか手に入りませんから、利益はありません。
値動きがあるからこそ効果が期待できるのです。投資信託のように値動きのある商品を積立で買うメリットはここにあります。
投資信託で資産分散
さらに、つみたてNISAでは投資信託かETFを買います。投資信託もETFも、投資先が日本や海外、株式や債券などに分散されます。
株を買ってみようと思うと、数万円から数十万円で1社の株を買うことになります。しかし、投資信託は多くの人がお金を入れて、ファンドマネージャーと呼ばれる人が運用しますので、少額からの投資が可能です。
さらに株の場合、その会社の業績が悪くなり、値段が大きく下がってしまうことがあります。これも、たくさんの会社に分散して投資することで平準化され、大きな損失を被ることを避けられます。
注意点は?
つみたてNISAは今のところ、2037年までの制度です。2019年から始めた人は、19年間が非課税対象となります。
投資ですので値動きがあり、値下がりする可能性もあります。値下がりした時に売ってしまうと損をしますので、5~10年以内に使う見込みのあるお金は手元に残すか、定期預金や国債などで確保しておきましょう。
出典:金融庁HP「つみたてNISA」
執筆者:杉山夏子(すぎやま なつこ)
2018年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員
一般社団法人 家族信託普及協会®会員