父の遺品から知らない会社の「古い株券10万円分」が…!→これってただの「紙切れ」?それともまだ価値があるの?
税務処理や配当請求に影響を及ぼすこともあるため、古い株券を見つけた場合は、正しい手順を知っておくことが大切です。本記事では、古い株券に価値があるかどうか、配当金の請求期限や相続の手順などを解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
古い株券は価値があるのか
古い株券に価値が残っているかどうかは、発行会社の現状や保有状態によって異なります。ただし、発行企業がすでに倒産している場合は、証券としての価値を失っている可能性が高いでしょう。
価値を失った株券は、保有していたことで損失が出たとしても、原則としてほかの所得と相殺することができません。ただし、以下の3つの条件をすべて満たす場合には「みなし譲渡損」として扱われ、ほかの所得と損益通算できる可能性が出てきます。
・特定口座内で保有していた上場株式であること
・特定管理口座に移され、引き続き振替口座簿に記録されていること
・清算が完了するなどして、株式としての価値を明確に失っていること
該当するかどうかは証券会社に確認しましょう。
株の未受領配当金を相続できる期限
相続された株式そのものには時効が設けられていませんが、配当金については「受け取り期限」が設けられていることが一般的です。
多くの企業で配当金の請求可能期間は5年とされています。5年を過ぎると、配当の請求権は消滅し、受け取りはできなくなる可能性が高くなります。ただし、この取り扱いは企業ごとの定款や株主規定によって異なるため、必ずしも一律ではありません。
一方で、相続税の面では、被相続人の死亡から5年を超えて発覚した株式については、原則として課税対象から外れると考えられています。ただし、税務署から通知や督促が届いた場合には、時効が中断されるため、例外もあるようです。
古い株が見つかったときの対応
古い株券が遺品の中から見つかったとき、その株が誰のもので、相続の対象になるか確認が必要です。仮に被相続人が保有していたものであれば、株券も相続財産の1つとして扱われる可能性があります。
その場合、最初に遺言書の有無を確かめておくことを推奨します。遺言によって特定の相続人に株式の承継が明示されているケースもあるためです。もし遺言が存在しない、または株式に関する記載がない場合は、相続人全員で話し合って誰がどの財産を引き継ぐかを決めることになるようです。
株式の名義変更は、通常その株が保管されている証券会社に問い合わせて手続きを進めるとされています。もし証券口座が見つからない場合は、株式の発行元や証券保管振替機構などを通じて確認する方法もあります。
こうした手続きと並行して、相続税の申告と納税についても考慮が必要です。相続開始を知った日から10ヶ月以内に申告する必要があるとされています。
古い株式を発行した会社が倒産している場合、価値がなくなっている可能性がある
今回は、古い株券の価値や見つけたときの対応について解説しました。古い株券に価値があるかどうかは、株券の発行会社の状況や保有の記録により異なります。換金や名義変更が可能になる場合もあれば、すでに価値を失っている場合もあるため、証券会社に確認する必要があります。
配当金の請求期限や相続税の時効にも注意が必要です。相続開始が明確になったら、10ヶ月以内に申告しましょう。見つかった株券を適切に扱うためにも、不明点がある場合は、企業への照会や専門家へ相談することを推奨します。
出典
国税庁 No.1475 破産等により株式の価値が失われたときの特例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
