更新日: 2019.06.18 その他資産運用
実際に外債に投資をするうえでの注意点はどこに
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー
証券アナリスト、FP1級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
国内外の金融機関で、マーケットに関わる仕事に長らく従事。
現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、マーケットに関する情報等を発信している。
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外債の利回りは常に変動している
債券の利回りというのは、中央銀行が操作する政策金利や、市場での需給など、さまざまな要因で変動します。債券の魅力は投資時点で利回りが確定していることにありますが(固定利付債や割引債の場合)、利回りの高い時に購入するほうが、より望ましいのは当然です。
米国ではそろそろ利上げ終了か、という観測も出ています。利上げがまだ続くとすれば、米ドル建ての外債の利回りも、それにつれて上昇する可能性が高まります。
もし、一層の利上げを予想するなら、当面は外貨預金、あるいは外貨MMF(投資信託で元本保証はないが、元本割れのリスクが相当に低く、換金性の高い商品)にしておいて、タイミングを計ることも一考に値します。
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債券の期間の長さと利回りのバランスを考える
債券では多くの場合、償還までの期間が長いほど、利回りが高くなります。これは、現在のドル建て債についても当てはまります。
しかし、その期間を延ばすことによる利回りアップのメリットが、最近はそれほど大きくありません。米国債で見た場合、2年債と10年債の利回り差は3月13日現在0.17%程度です。
このため、今投資するなら、まずは2~3年の期間のドル債を選ぶのも良いと思います。その債券の償還時に米国の金利が一層下がってしまっている可能性もありますが、ご自身の資金計画や金利観に応じた期間と利回りのバランスを考えてほしいと思います。
償還までの期間に関してはもう一つ、期間が長くなるほど発行体の信用力が変化する可能性が高まることにも留意してください。
信用力が悪化すれば、債券の価格が下がりやすくなり、最悪の場合には元利払いが滞るリスクにつながります。償還までの期間が長い債券ほど、信用力の高い発行体を選ぶことがより重要であるということです。
発行体の信用力を図るには、スタンダード&プアーズ社や、ムーディーズ社といった大手格付け会社の格付けが参考になります。
外債はどこで買うか
外債は大手銀行や証券会社で購入することができます。ただ、外貨預金の金利が銀行によって違うように、外国債券も販売会社によって取り扱う銘柄が異なるだけでなく、同じ銘柄であっても利回りが違うことが多くあります。
また銘柄によって最低投資金額が定められている場合が多いので、可能であれば、いろいろと比較して検討することをお勧めします。
外債の個別の銘柄を選ぶことが難しいと感じる場合、外債を運用対象としている投資信託を購入することも選択肢となります。投資信託であればプロが選んだ多数の銘柄に分散投資しているため、発行体の信用力悪化による損失のリスクは相当軽減されると考えられます。
しかし、投資信託の場合には元本保証はない点と、保有する間は手数料が運用成績から差し引かれる点には留意してください。
最後に、ここまで述べてきた外国債券には、「仕組み債」と呼ばれるものを含めていないことには注意してください。
仕組み債には、その含まれる仕組みによって、特有のリスクや値動きの特徴があります。このため、購入される際には販売会社から十分に説明を受けることが絶対に重要です。
外貨建て商品の中でも比較的安全性が高いとされる外国債券について、同様に元本が確保されている外貨預金と比較しながら、2回に分けて紹介しました。流動性の高い外貨預金か、高利回りの外国債券か、自分の資産運用の目的に照らし合わせてうまく取り入れてみてほしいと思います。
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー