毎日の「ビール1本」を我慢してNISAで投資すれば、30年後には「ベンツ」が買える!? 毎日240円を“5%で運用”するとどうなるかFPが解説
しかし、毎月の積立金額は小さくても、複利の力を使えば将来的に大きな資産になります。たった1日240円の積み重ねであっても、30年後には数百万円の成果につながるのです。
本記事では、1日240円ずつを年5%で積立運用した場合のシミュレーションと、実際に5%という利回りを目指せるのかどうかを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
1日240円の節約が、30年後に600万円になる理由
毎日240円、1ヶ月を30日として月額7200円でも、毎月コツコツ積立運用を続けると、将来的には大きな資産になります。理由は複利の力が効くからです。複利とは、利子にも利子がつく仕組みのことをいいます。
例えば、7200円を年5%で運用すると、1年目の利息は360円にすぎません。しかし2年目は、7200円に加えて1年目の利息である360円にも5%の利回りがかかるため、リターンは360+18=378円と前の年に比べて増加していきます。
複利が効くと、資産は雪だるま式に増加します。7200円は1年後には7560円、2年後には7938円にしかなりません。それでも10年後には1万1728円、20年後には1万9104円と、時間とともに複利の力がどんどん大きくなるのです。
結果、毎月7200円を30年間積み立てたときの元本は259万2000円ですが、年5%で運用することで約340万円の運用益が見込め、合計で約599万円になります。新車のベンツAクラスや、中古のCクラスなら十分に手が届く金額です。
資産運用で非課税の恩恵を受けられる「NISA」とは
資産運用で得た利益には通常税金がかかるため、30年間の積み立てで資産が599万円になっても、この全てを自由に使えるわけではありません。
投資信託や株式で得た利益には、所得税と住民税を合わせて約20%の税金がかかります。今回のケースでは、約599万円のうち運用益は約340万円なので、約68万円の税金が発生します。これにより、実際に手元に残るのは約531万円に減ってしまうのです。
これを防ぐために活用したいのが、NISA(少額投資非課税制度)です。NISAとは、投資で得た利益や分配金が非課税になる制度で、年間最大360万円、合計1800万円までを非課税で運用できます。NISAを使えば、約599万円を丸ごと自分の資産として受け取れるのです。
非課税で運用できる分、複利の効果もより強く働きます。税金で資産を削られないためにも、NISAの活用を積極的に検討したいところです。
「年5%運用」は現実的? 長期投資で目指すための考え方
年5%の利回りと聞くと、高すぎる目標に感じるかもしれません。しかし、長期・積立・分散の基本を押さえながら、株式を中心とした資産運用をすれば、決して非現実的な数字ではありません。
年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国内株式は4.0~7.5%、海外株式は4.6~8.1%を「期待リターン」として設定しています。
もちろん、全ての国内株式・海外株式がこのリターンを達成するという意味ではありません。それぞれに広く分散投資したときの期待リターンであり、例えばトヨタ1社の株式を買えばこのとおりになる、というわけではないのです。
分散投資と聞くと難しく感じるかもしれません。しかし、国内株式や海外株式に自動で分散投資できる投資信託を使えば、GPIFが試算する期待リターンに近い成績を目指すことも可能です。
ネット証券から購入できるこうした投資信託を活用し、NISA口座で積み立てていけば、年5%前後の利率で運用を目指せる環境は十分に整っているといえるでしょう。
もちろん、こうしたリターンは保証されるものではありません。特に株式はリスクが高いため、市場環境によっては短期的に大きく値下がりすることもあります。
それでも、長期で積み立てを継続することでリスクは平均化され、リターンも安定しやすくなるといわれています。一時的な下落があっても、慌てずコツコツ積み立てを続けることが大切です。
1日240円の積立が、将来の選択肢を広げてくれる
毎日ビール1本分の出費を我慢して、コツコツと投資を続けるだけでも、30年後にはベンツが買えるほどの資産が築ける可能性があります。大切なのは、時間を味方につけ、無理のない金額を継続して積み立てることです。
年5%という利回りは、長期・積立・分散中心という基本を押さえることで、十分に現実的な目標となり得ます。無理のない金額から、資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。
出典
金融庁 NISAを知る
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
