50歳から「月1万円」でNISAを始めても無意味でしょうか?老後の生活費の足しにしたいのですが…

配信日: 2025.07.28
この記事は約 4 分で読めます。
50歳から「月1万円」でNISAを始めても無意味でしょうか?老後の生活費の足しにしたいのですが…
少し金銭的に余裕が出たなどの理由で、50歳からNISAなどの投資を始めようとする人もいます。50歳から始める場合、老後の資金の足しにできるでしょう。ただし、老後の生活費に足りるかは状況により変わります。
 
今回は、月1万円の投資でも老後の資金作りに役立つのか、また老後の生活費の目安や、老後のライフプランの考え方などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

月1万円の投資でも老後の資金作りはできる?

NISAを利用すると、一定の条件のもと投資で得られる運用益に課税されないため、得た収益をそのままの金額で受け取れます。月1万円からの投資も可能ですが、収益がいくらになるかは利回りによっても変わるでしょう。
 
今回は、運用利回りが3%、5%、7%、9%の場合で、NISAで月1万円を投資したときに積み立てられる金額の目安を比較しましょう。なお、投資期間は50歳から65歳までの15年間とします。
 
条件を基にシミュレーションをすると、15年間の投資期間における5年ごとの積立金額は表1の通りです。
 
表1

年数(元本) 3% 5% 7% 9%
5年目
(60万円)
65万円 68万円 72万円 75万円
10年目
(120万円)
140万円 155万円 173万円 194万円
15年目
(180万円)
227万円 267万円 317万円 378万円

※筆者作成
 
実際には状況によって収益は変動する可能性があります。利回りが高いほど積み立てられる目安の金額も高くなりますが、その分元本割れリスクも高まる点は留意しておきましょう。
 

老後に必要な貯金はいくらくらい?

総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上かつ単身無職世帯における1ヶ月の平均支出は消費支出が14万9286円、税金や保険料といった非消費支出が1万2647円でした。
 
対して、年金などによる実収入は平均で月13万4116円です。平均支出と平均収入を比較すると月2万7817円不足することになります。
 
収入だけで足りない分は、貯金などから補てんが必要です。月2万7817円だと、年間で33万3804円不足します。例えば、先ほど試算した利回り3%のときの積立金額だと6年と半年分ほどの金額になるでしょう。
 
一方、9%のときの試算額である378万円があると、約11年分の貯金になります。仮に65歳から年金と貯金だけで生活すると考えると、11年分でも76歳までです。
 
厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によれば、日本人の平均寿命は令和5年時点で女性が87.14歳、男性が81.09歳のため、NISAによる積み立てだけでは老後の生活費に足りなくなるでしょう。
 
投資のほかに、できるだけ早いうちから老後の資金作りを始めたり、自分のライフスタイルでいくらくらいの生活費がいるか計算してみたりする必要があります。
 

老後の生活費を考えるときのポイント

平均額も目安にはなりますが、実際に必要な老後の金額は人によって異なります。実際に必要な老後の金額の目安を知りたいときは、自身のライフプランを考えてみるとよいでしょう。
 
老後のライフイベントでいくらくらい必要か、医療代はどれくらいあればよいかなどが分かると、貯金の目標額を立てやすくなります。趣味を楽しみたい人は、趣味にかかる費用の計算も必要です。
 

意味がないわけではないが積み立て以外の貯金も必要になる可能性がある

NISAで毎月1万円ずつを15年間積み立て投資すると、利回りが3~9%の場合で227万~378万円ほど、貯められる可能性があります。ただし、投資なので金額が変動する可能性がある点は理解しておく必要があります。
 
老後の平均支出や収入と比較すると、227万~378万円の貯金はおよそ6年半~11年分の不足分を補える計算です。そのため、積み立て投資が無意味になることはないでしょう。
 
ただし、投資で貯めた金額だけでは80歳以降まで生活することが難しい可能性があるので、投資とは別に貯金が必要です。自身の老後のライフプランも考慮しつつ、貯金の目標額を決めるとよいでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命(2ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問